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静寂な太刀は椿の如し  作者: 東風
第三章 東桜高校
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負けたくない 番外編

 ある日の終礼が終わったのと同時に、アイツがいつものように俺の席へ訪れる。


「今日帰れる?」

「あぁ別に構わないが」

「よし、決まりだね」


 ガッツポーズをし、何故か嬉しそうにしている。木漏れ日の青空の元で帰路についている途中だった。


「そうだ。裕朔、一緒にゲームしようよ」

「ゲーム、それは囲碁将棋か?」

「違うよ。剣術のし過ぎで古くなったんじゃない」


 山にいたからか、据え置き機やら、ゲーム機なんぞ置いてなかったし、師匠とやることは剣術か学問、将棋やら囲碁だの駒台しかやっていなかった。


「とりま、ゲームしようよ。家にあるしさ」

「分かった。正々堂々と勝負をしよう」

「決まりだね」


 さっそく望海の家へと向かうやいなや、ゲーム機の準備を行いコントローラーを握る。今回ヤツが持ってきたのは対戦型シューティングゲームである。


 操作方法を覚えいざ……


「スタート」


 始めた瞬間、アイテムを拾い戦いに出ようとしていたが――


「甘いね」


 すぐさま撃ち抜かれてゲームオーバーだ。刹那的に終わり桜の花びらが散ったかのように負けた。


「…なぁ」

「やった〜勝った」

「まだ時間はある」

「望むところだ。どんな手でも勝って見せてよ」


 その後も、何回も望海に挑み策略も練った、何度も完璧な攻略法を見つけ出したはずなのに。


「また勝ちぃ」


 歯が立たず、敗北が続く。将棋や囲碁なら負けない自信はあるのだがな……


 だが何故かアイツにだけは負けたくない。そんな意味のない対抗心を燃やしてしまう。


「諦め悪いなぁ、負けを認めたらいいのに」

「認めたら、そこで戦さは終わる」

「ゲームなんだけどなぁ」


 望海は呆れたように笑いながらコントローラーを置く。


「でも少し安心した」

「何がだ?」

「努力の剣聖にも負けず嫌いなところがあっただなんてね」

「……勝敗の世界で生きてきたんだ」

「認めたらいいのに」


 吹き出しながらコントローラーを持ち、笑いながらこちらに顔向け。


「なぜ笑う?」

「昔の意地を張った顔になってるから」

「意地を張った顔を知らんのでな。さぁ試合を始めるぞ」

「はい、はい。いつもの照れ隠しね」

「照れてなんてない」


 再戦し、今度こそはとしっかり相手の期待に照準を合わせ、撃ち落とそうとする。だが上に上がるのは読んでいる。


「ほぉ……少しはやるようになったねぇ」

「学習した」

「だけど僕にゲームで勝つなんて百年早いよ」


 そうすると望海の機体が降下し燕返し、躱そうとコントローラーを動かすとその時には俺の機体は撃墜された。


「……そうかならば、百年分の学習を積む」

「は?」

「お前に勝つまでやればいい話だ」

「いや待って、怖い怖い怖い」


 結果三時間以上、勝敗を挑んだが負けた。窓から夕焼けが射し込む。


「本当に諦めないなぁ」

「勝つまでだ」

「まぁ、裕朔に勝つの楽しいからいいんだけどね」


 そこから更に数十分やっても敗北した。

……不本意だ。惜しい時はあったものの追撃される。


「満足した?」

「してない」

「だろうね」

「だが、次は必ず勝ってやる」

「はいはい」


 望海は笑いながらゲーム機の電源を落とす。


「裕朔、楽しかった?」

「……あぁ」

「ならよかった。またやろうよ」


 こうして帰宅した。だが久々にテレビゲームをしたが、たまにはいいかもしれない。

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