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異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜  作者: 渡琉兎


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第167話:心配事とやる気の楓

「それでは僕たちは失礼します」

「シュシュシュー」


 楓がクロウから話を聞き終えたことで、レイスたちは従魔具店をあとにした。

 クロウの従魔具に使えそうな材料も色々と提供してもらい、楓は早く従魔具を作りたい欲に駆られている。

 ヴィオンは護衛としてついていこうかと提案したが、クロウがいるから大丈夫だとレイスに断られてしまった。


「気をつけてくださいね」

「何かあればいつでも声を掛けてください」


 楓が心配そうに声を掛けると、ヴィオンも見送りに出てきてくれた。

 二人はレイスたちが見えなくなるまで見送ると、そのまま従魔具店の中に入る。


「オルダナさんたちは、先にあがって大丈夫ですよ」

「それは嬉しいが、いいのか?」

「このあとティアナも来る予定ですから、安心してください」


 オルダナが申し訳なさそうに聞いてくると、ヴィオンは別の心配について答えてくれた。

 楓とヴィオン、男女が二人で部屋にこもることを心配していると思ったのだ。


「あ、いや、そこは信頼しているから気にしていなかったんだが……」

「え? なんの話ですか?」


 女性である楓の方がヴィオンとオルダナの心配に気づいておらず、二人は苦笑いを浮かべてしまう。


「俺もうクタクタ~」

「私も疲れちゃいました」


 するとリディだけではなく、珍しくミリーも疲れたと口にしたため、オルダナは二人を孤児院まで送り届けて、そのまま帰宅することにした。


「あまり根を詰めすぎるんじゃないぞ」

「お疲れ様でした。オルダナさん、リディ君、ミリーちゃん」


 オルダナたちを見送ると、入れ違いでティアナがやってきた。


「間に合ったー!」

「お疲れ様です、ティアナさん。何に間に合ったんですか?」

「何にって、ヴィオンと二人きりにしないためよ!」

「え? 何か問題があるんですか?」


 実のところ、ティアナは大急ぎで従魔具店までやってきていたのだが、どうして彼女がそこまで心配していたのかを、楓はまたしても気づいていなかった。


「……えっと……カエデ? あなた、女の子よね?」

「嫌だなー、ティアナさん。女の子って年齢じゃないですってー!」

「……どうしよう、ヴィオン!」

「そこで俺に話を振るな、ティアナ」

「え? なんですか? どうして二人だけで分かり合っているんですか!?」


 自分のことを言われているとは思っていない楓は、ティアナへ体を寄せながら問い掛けた。


「カエデも女性でしょ? それなのに、男女が一つの部屋で二人きりになるのは心配だった、って話をしているのよ!」

「ちなみにだが、俺もそれが気になってオルダナさんに話をしていたんだ」

「え? そうだったんですか? でも、ヴィオンさんですよ? 私みたいな何もない行き遅れに手を出すはずがないじゃないですか! ヴィオンさんに失礼ですよ!」


 自分には女性としての魅力などこれっぽっちもないと自信満々に言い始めた楓を見て、ティアナとヴィオンは大きくため息を吐く。


「え? どうしたんですか?」

「すまん、ティアナ。俺からはこれ以上、何も言えん」

「分かってるわよ、ヴィオン。これはきっと、私の責任だわ」

「えっと……とりあえず、クロウの従魔具を作り始めてもいいですかね?」


 従魔具の話になると目を輝かせ始めた楓を見た二人は、今度こそ彼女が魅力的な女性であることを納得させることができないと諦め、ここでも盛大にため息を吐いた。


「もう、それでいいと思うぞ?」

「今度はアリスとスズネを連れて、きちんと説得しなきゃいけないけどね!」

「説得? ……まあ、今は従魔具を作りますね!」


 それから楓が奥の作業部屋へ移動を始めたため、ティアナとヴィオンも呆れた様子でついていく。


「いろんな材料を用意してくれたおかげで、クロウにも満足してもらえそうな従魔具が作れそうなんです! 楽しみだなー!」

「カエデが作ってくれる従魔具に満足しない従魔なんているのかしら?」

「意見も汲み取ってくれるのだから、いないんじゃないか?」

「コンコン」


 楓は職人として、作って終わりだとは考えていない。

 作ったあとに従魔に身に着けてもらい、満足してもらえて初めて一息つくことができる。

 しかし、そこまでこだわって従魔具を作ってくれる職人はそう多くない。

 そのことを知っているティアナとヴィオンからすれば、楓は一流の職人であり、従魔も大満足に決まっていると分かっている。

 実際に楓の従魔具を作ってもらったレクシアも大きく頷いていた。


「〈従魔具職人EX〉によると、クロウは影に入ったり、影に溶け込んだりする能力を持っています。そして、同じような能力を持った従魔具が作れるみたいなんです」

「へぇ、すごいわね。それってつまり、本当にクロウにしか使えない従魔具ってことよね?」

「オーダーメイドだからこそ作れる従魔具だということか」

「はい! だから、早く作ってあげたいんです!」


 これ以上やる気満々な楓を留めておくのは可哀そうだと判断したティアナとヴィオンは、苦笑しながら頷いた。

 こうして、楓のクロウのためのオーダーメイド従魔具作りが始まった。

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