515話 食の祭典 1日目 16
紺菱銀四郎視点です
今回は長めになってます
開場してから30分経つが
俺らのところにはまだ報道陣がきていない
周りを見ると試食品を食べているみたいだから
それが終わったら一斉に動き出しそうな気がする
店舗の様子を見ると…助っ人として来て貰った面々が
緊張している様子だった
逆にみさきと芽衣は普段通りの様子で
芽衣にいたっては14歳の姿に変身しているようだった
「なぁ めい 14歳の姿になってるようだが?」
「はい 7歳の姿だと色々と作業するのも支障が出ますので
変身しておきました この方がなにかと楽でしょうから」
「そ、そっか…確かに子どもの姿だと手伝えることも限られるな」
「はい そうです」
この子は幸正様と関わるようになってから
前にも増してしっかり者になってしまったようだ
親としては嬉しい反面、少し淋しくも感じてしまう
そんなこんなをしていると
どうやら試食が終わったみたいで
月皇陛下、ゆかり様、皇太子殿下とともに
政府関係者や報道陣が多数…こちらの方にやってくるのをみて
俺は姿勢を正して対応に集中することにした
俺の他に対応を担当してくれるのは
日本の方から桜木旅館の葵さんが引き受けてくれるようだ
日本の洋服については…まだまだ俺にはわからないことも多々あるから
今回の助っ人としてありがたい限りだ
「紺菱の主人 よいか?」
月皇陛下が俺の元にやってくるとお声をおかけくださった
俺は一礼をしてから応対をはじめる
「はい なんなりと…ですが、洋服に関しての
ご質問は…こちらの桜木葵さんに…お聞きいただければと…存じます」
「ふむ そうじゃな 日本の洋服のことは
葵殿の方がよいな よろしいか?」
「はい わかる範囲でよろしければできる限り…お答えします」
さすがに月皇陛下の応対には緊張している様子で
表情も硬くなっているようだが…それでもしっかりと対応してくれるようだった
「それでは…そこにいる政府関係者と報道陣に一通りの説明を
お願い出来ぬか?」
「はい 畏まりました」
葵さんが政府関係者の方をみて笑顔に…営業するときの笑顔みたいだが
家が接客業だからか…やはりしっかりしているようだ
「まず、こちらに出品させて頂いているものは
下着は新品を買い集めておりますが下着以外のものは
申し訳ございませんが古着屋で買い集めたものになります」
「古着なのですか? そのようにはみえないのですが」
政府関係者の方が驚きながら葵さんに聞き返してる
「一応はあまりにも痛んでいるものなどは日本の店でも
売られていないみたいで…中には数回しかきてないものも
あるかも知れません」
「数回?」
「そんな数回で捨てるのですか?」
「もったいない」
葵さんの説明を聞きながら驚きつつ色々呟いている記者達をみて
葵さんも苦笑いを浮かべつつ回答を続けるようだ
「そうですね もったいないですね
ですから古着屋さんなども存在しますし
富裕層じゃなく…お金に大変な人たちには
助かっていることもあります」
「「「「「「なるほど」」」」」」
「どうして下着は新品にしたのです?」
ある記者さんが気になったみたいで聞いてきました
「さすがに直接肌につけるもの
とくに女性の下着は…古着だと売る方も少ないと言えます
…特殊な需要もありますが」
葵さんは最後の方は小声で言っているようで
記者達にも聞き取れなかったようだけど
下着を売るのも確かに勇気がいりそうだし
女性にとっては恥ずかしいことだろう
「古着より新品の方が安心だからと言うことでしょうか?」
「そうですね こちらの国だと…どれくらいのサイズまで
用意したらいいのかわかりかねましたので
AカップからDカップ辺りまで用意しました」
「カップというのは?」
記者さんが首をかしげながら聞いてくると
葵さんの横で芽衣が下着を数点持って来て記者達に見せていきます
「ご覧の通りの胸に当たる部分のことです
お椀のことをカップと言いますので…意味的にはおわかりいただけますか?」
「あ…はい」
聞いた記者さんが赤くなりながら俯いてしまったようだ
さすがにこういうのを男性記者が質問するのはいかがなものかと思う
そのあとも冬物の洋服色々と説明したり
ファスナーの仕組みなども葵さんがわかる範囲で説明をしていた
こうして一通り説明が終わると
一部の記者達はまだ残って店舗内を色々見ながら
質問等を繰り返しており
陛下達は家電展示の方に移動するようだった
「葵さん 色々とありがとうございます」
俺は改めて葵さんに頭を下げた
「いえいえ 明日と明後日が本格的に買い物客で賑わうと思いますので
明日からが大変でしょう 女性客の対応が大変になりそうです」
「はい 実際にブラを着用しているのが芽衣とみさきぐらいしかいないので
明日も葵さんにはご迷惑をおかけすることに」
「侍女さん達にも応援要請頼むしかないですね」
「そうですね」
俺たちが会話していると幸正様と美穂様達がやってくる
「葵さん達 お疲れ様です」
「あら 幸正くん みほちゃんとみくちゃんも…それと響子さん
どういう組み合わせなのです?」
葵さんが幸正様達を見て首をかしげて問いかけている
「会場の様子を撮影していたところです
葵さんの説明様子も撮っていますので編集して
このあとのニュース番組に…よろしいです?」
「わたしのところもですか? 仕方ないですね どうぞ」
「ありがとうございます」
「あ そうだ みほちゃんと未来ちゃん 響子さんも明日は時間あります?」
「「「とくには平気です」」」
「見ての通りブラの着用説明をする人が少ないようで
着用している人たちで女性客に対応お願いしたいかなと」
「確かに…そうですね わたしんちだと…音美は居酒屋チームでだめですが
下の方の妹もいますのでそちらも含めて…こちらにつきます」
「わたしは問題ないです」
「わたくしも…お客さん達の方が萎縮してしまいそうですが」
言われてみれば…美穂様も未来様も皇女様でいらっしゃるわけだから
そのような方に対応して頂くのは…気が気でなくなりそうだ
「二人とも仮面でも付けておいたら?」
幸正様がふたりに提案している
「確かに」
「その手がありますね」
「それじゃ、ぼくたちは色々と撮影して響子さんが編集したあとで
お昼過ぎに全国民に流す予定です」
「幸正様は相変わらずとんでもないことを」
思わず口にしてしまう
「本来は…この国の報道機関がすることですが
技術的に追いついてないので今日もずるをすることに」
「なるほど…」
幸正様達が…この場から去って行くのを見届けたあと
俺は残っている報道陣の応対に励むことにした




