251.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
「はぁ、はぁ……。これで文句ないだろ」
俺はコンビニの袋をテーブルにドサリと置いた。
熟成サラミ、プレミアムプリン、高いアイス。
しめて三千円。
俺のなけなしの小遣いが、この白い毛玉の胃袋へと消えていく。
『うむ! 見事じゃ! 褒めて遣わす!』
フェリはサラミの袋を抱きしめ、ご満悦だ。
『さて、約束じゃ。追加料金も払われたことだし、始動キーを変更してやろう。「イグニッション」でも「セットアップ」でも、好きな言葉を選ぶがよい』
フェリが寛大な王様のように言う。
だが、俺は少し考え込んでから、首を横に振った。
「……いや、いい」
『あん? なんじゃと?』
「最初のやつでいい。『フェリ様、大好きちゅっちゅ♡』で」
俺が真顔で告げると、フェリは意外そうに目を丸くした。
『正気か? あんな恥ずかしいセリフ、死んでも言いたくないと申しておったではないか』
「ああ、言いたくない。絶対に言いたくない。……だからこそ、いいんだ」
俺は冷静に分析する。
「もし始動キーを『起動』とか『炎よ』みたいな、かっこいい言葉にしたとするだろ? そしたら、日常会話でうっかり言っちまった時、暴発する可能性がある」
『ふむ』
「その点、『大好きちゅっちゅ』なら、俺が日常生活で口走る可能性は万に一つもない。つまり、誤作動防止のセーフティとしては最強ってことだ」
背に腹は代えられない。
暴発して家を吹き飛ばすリスクを考えれば、俺の羞恥心など安いものだ。
俺の決断を聞いたフェリは、ニヤリと口角を上げた。
『……くくっ。やはりお主、見込みがあるのう』
「あ?」
『我があえてあのようなふざけた言葉を選んだのも、まさにそれが理由じゃ。日常で絶対に使わぬ言葉こそ、最強の鍵となる。お主ならそこに気づくと思うておったわ』
「お前……」
ただの嫌がらせじゃなかったのか。
こいつ、見た目は愛玩動物だが、中身はちゃんと『王』をやっているらしい。
少しだけ見直した。少しだけな。
「じゃあ、さっさと儀式をやってくれ」
『うむ。では庭に出るのじゃ』
◇
俺たちは家の裏手にある庭に出た。
夜風が涼しい。
フェリは庭の中央にある石の上に座ると、スッと居住まいを正した。
その瞬間、場の空気が変わる。
サラミの匂いをさせていた駄犬の雰囲気が消え、神聖な気配が漂い始めた。
『我、霊王フェリの名において命ず』
フェリの声が朗々と響く。
その体から淡い光が溢れ出し、周囲の草木がざわめいた。
『精霊たちよ、聞け。これより、我はこの者と契約を結ぶ』
フェリの金色の瞳が、俺を射抜く。
『始動キー(鍵)が回されぬ限り、この者に魔力を貸すことまかりならん。いかなる呼びかけにも応じるな。……これぞ、王命なり』
ザッ! と風が吹き抜けた。
見えない何かが、俺の体の中に入り込んでくる感覚。
全身の魔力回路に、重い南京錠がかけられたような圧迫感がある。
『さあ、仕上げじゃ。鍵の言葉を唱えよ』
フェリに促され、俺は覚悟を決める。
誰も見ていないとはいえ、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
俺は拳を震わせながら、虚空に向かって叫んだ。
「……フェリ様、大好きちゅっちゅ♡」
カッ!!
俺の言葉に呼応するように、目の前で光が弾けた。
眩しさに目を細める。
光が収まると、そこにはいつも通りの庭と、あくびをしているフェリがいた。
「……これでおわり?」
『うむ。完了じゃ』
フェリはポリポリと耳の後ろを掻いた。
『これで、お主が今のセリフを言わん限り、魔法は一切発動せぬ。安全装置の装着完了じゃな』
「そっか……」
実感はあまりないが、体の中で暴れまわっていた魔力の奔流が、今は静まり返っているのが分かる。
とりあえず、一件落着か。
『ふぁあ……儀式したら腹減ったのう。おい、サラミを開けるのじゃ』
威厳たっぷりの姿から一転、フェリはまた食い意地の張った毛玉に戻っていた。
俺はため息をつきつつ、サラミの袋を開けてやるのだった。
【おしらせ】
※2/2(月)
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