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【Web版】異世界行ったら長野の神になりました  作者: 茨木野
第3章

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251/255

251.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

「はぁ、はぁ……。これで文句ないだろ」


 俺はコンビニの袋をテーブルにドサリと置いた。

 熟成サラミ、プレミアムプリン、高いアイス。

 しめて三千円。

 俺のなけなしの小遣いが、この白い毛玉の胃袋へと消えていく。


『うむ! 見事じゃ! 褒めて遣わす!』


 フェリはサラミの袋を抱きしめ、ご満悦だ。


『さて、約束じゃ。追加料金も払われたことだし、始動キーを変更してやろう。「イグニッション」でも「セットアップ」でも、好きな言葉を選ぶがよい』


 フェリが寛大な王様のように言う。

 だが、俺は少し考え込んでから、首を横に振った。


「……いや、いい」

『あん? なんじゃと?』

「最初のやつでいい。『フェリ様、大好きちゅっちゅ♡』で」


 俺が真顔で告げると、フェリは意外そうに目を丸くした。


『正気か? あんな恥ずかしいセリフ、死んでも言いたくないと申しておったではないか』

「ああ、言いたくない。絶対に言いたくない。……だからこそ、いいんだ」


 俺は冷静に分析する。


「もし始動キーを『起動』とか『炎よ』みたいな、かっこいい言葉にしたとするだろ? そしたら、日常会話でうっかり言っちまった時、暴発する可能性がある」

『ふむ』

「その点、『大好きちゅっちゅ』なら、俺が日常生活で口走る可能性は万に一つもない。つまり、誤作動防止のセーフティとしては最強ってことだ」


 背に腹は代えられない。

 暴発して家を吹き飛ばすリスクを考えれば、俺の羞恥心など安いものだ。


 俺の決断を聞いたフェリは、ニヤリと口角を上げた。


『……くくっ。やはりお主、見込みがあるのう』

「あ?」

『我があえてあのようなふざけた言葉を選んだのも、まさにそれが理由じゃ。日常で絶対に使わぬ言葉こそ、最強の鍵となる。お主ならそこに気づくと思うておったわ』


「お前……」


 ただの嫌がらせじゃなかったのか。

 こいつ、見た目は愛玩動物だが、中身はちゃんと『王』をやっているらしい。

 少しだけ見直した。少しだけな。


「じゃあ、さっさと儀式をやってくれ」

『うむ。では庭に出るのじゃ』


    ◇


 俺たちは家の裏手にある庭に出た。

 夜風が涼しい。

 フェリは庭の中央にある石の上に座ると、スッと居住まいを正した。

 その瞬間、場の空気が変わる。

 サラミの匂いをさせていた駄犬の雰囲気が消え、神聖な気配が漂い始めた。


『我、霊王フェリの名において命ず』


 フェリの声が朗々と響く。

 その体から淡い光が溢れ出し、周囲の草木がざわめいた。


『精霊たちよ、聞け。これより、我はこの者と契約を結ぶ』


 フェリの金色の瞳が、俺を射抜く。


『始動キー(鍵)が回されぬ限り、この者に魔力を貸すことまかりならん。いかなる呼びかけにも応じるな。……これぞ、王命なり』


 ザッ! と風が吹き抜けた。

 見えない何かが、俺の体の中に入り込んでくる感覚。

 全身の魔力回路に、重い南京錠がかけられたような圧迫感がある。


『さあ、仕上げじゃ。鍵の言葉を唱えよ』


 フェリに促され、俺は覚悟を決める。

 誰も見ていないとはいえ、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。

 俺は拳を震わせながら、虚空に向かって叫んだ。


「……フェリ様、大好きちゅっちゅ♡」


 カッ!!


 俺の言葉に呼応するように、目の前で光が弾けた。

 眩しさに目を細める。


 光が収まると、そこにはいつも通りの庭と、あくびをしているフェリがいた。


「……これでおわり?」

『うむ。完了じゃ』


 フェリはポリポリと耳の後ろを掻いた。


『これで、お主が今のセリフを言わん限り、魔法は一切発動せぬ。安全装置の装着完了じゃな』

「そっか……」


 実感はあまりないが、体の中で暴れまわっていた魔力の奔流が、今は静まり返っているのが分かる。

 とりあえず、一件落着か。


『ふぁあ……儀式したら腹減ったのう。おい、サラミを開けるのじゃ』


 威厳たっぷりの姿から一転、フェリはまた食い意地の張った毛玉に戻っていた。

 俺はため息をつきつつ、サラミの袋を開けてやるのだった。

【おしらせ】

※2/2(月)


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『加護なしの第八王女は、前世が社畜だったので王宮生活がイージーモードにしか見えない』


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