252.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
一件落着。
俺は心底ホッとして、庭の芝生に腰を下ろした。
これで、くしゃみをした拍子に街を消し飛ばしたり、寝言で禁呪を放ったりする心配はなくなった。
最強のセーフティ(ただし解除コードは恥ずかしい)を手に入れたのだ。
「……さて」
俺は視線を巡らせる。
庭の隅には、心配そうにこちらを見守っていた天使トゥアと、その監視役である神界の使者モリガンが立っていた。
魔法の暴発問題は片付いたが、こちらの問題はまだ残っている。
「なぁ、モリガンさんよ」
俺は努めて冷静に切り出した。
「トゥアの処遇についてだけどさ。あいつが俺みたいな人間を『神』として崇めたのが罪なんだろ? なんとか見逃してもらえないか?」
トゥアは、俺を信仰対象として崇拝してしまったため、異端として処分される危機にある。
だが、今の俺にはフェリという強力なバック(駄犬だが)がついている。
交渉の余地はあるはずだ。
「俺からも頼むよ。この通りだ」
俺が頭を下げようとした、その時だった。
「――御意」
「へ?」
予想外の言葉が返ってきた。
顔を上げると、そこには信じられない光景があった。
あの厳格で、人間など虫ケラのように見ていたモリガンが、その場に片膝をつき、恭しく頭を垂れていたのだ。
その姿は、主君に仕える騎士そのものだった。
「その件については、すでに解決済みです。トゥアハーデに対する『異端審問』および『処刑命令』は、たった今、白紙撤回されました」
「は……? 撤回って、なんで?」
俺はポカンと口を開ける。
あんなに「神界の掟は絶対だ」とか「汚らわしい異端者め」とか言っていたのに。
急な手のひら返しに、思考が追いつかない。
「理由なら明白です」
モリガンは顔を上げ、濡れたような瞳で俺を見上げた。
そこには、畏怖と崇拝の色が混ざり合っている。
「貴方様が、我らが頂点に立つ『最高神』となられたからです」
「…………はい?」
俺の口から、間の抜けた声が漏れた。
サイコウシン?
なんだその、ラスボスみたいな響きは。
「ちょ、ちょっと待て。俺はただの人間だぞ? フェリと契約して、魔力を制御してもらっただけで……」
「その契約こそが証です」
モリガンは流暢に説明を続ける。
「霊王フェリ様は、すべての精霊と魔力の源流を司る、この世界の根幹たる存在。そのフェリ様と対等の契約を結び、その力を身に宿した貴方様は、もはや人ではありません」
「じゃあ何なんだよ」
「神です。それも、既存の神々を統べる、新たな『主神』です」
モリガンは断言した。
「トゥアハーデの罪は『偽の神を崇めたこと』でした。しかし、貴方様が『真の最高神』となった今、彼女の信仰は『正当なもの』となります。よって、罪には問われません。むしろ、先見の明があったと称賛されるべきでしょう」
無茶苦茶な理屈だ。
つまり、「無職のおっさんを社長と呼んだら怒られるが、そのおっさんが本当に社長になれば問題ない」みたいな話か。
スケールが大きすぎて頭痛がしてくる。
「……おいフェリ。これマジか?」
俺は足元でサラミを貪っている毛玉に問いかける。
フェリは口の周りを脂でベタベタにしながら、面倒くさそうに答えた。
『んむ、まあそうなるのう。我の魔力を扱える時点で、そこらの雑魚神より格上じゃし』
「お前なぁ……! そういう大事なことは契約する前に言えよ!」
俺は頭を抱えた。
魔力暴走を止めるために契約したのに、気づけば人間を辞めて神様になっていた。
しかも、その神様の力の封印を解く鍵が『大好きちゅっちゅ♡』だなんて。
威厳もへったくれもない。
「ああ、我が神よ……!」
事情を知らないトゥアが、感極まった様子で駆け寄ってくる。
俺の足元にすがりつき、涙ながらに叫ぶ。
「やはり私の信仰は間違いではなかったのですね! 貴方様こそが、この世界を導く真なる光……! 一生ついていきます、ご主人様ぁ!」
「やめろ、すがりつくな! 俺は神様業なんてやらんぞ!」
夜の庭に、俺の悲痛な叫びが響き渡る。
平穏な日常を守るための契約だったはずが、俺の人生はますますカオスな方向へと加速していくのだった。
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