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【Web版】異世界行ったら長野の神になりました  作者: 茨木野
第3章

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252/255

252.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

一件落着。

 俺は心底ホッとして、庭の芝生に腰を下ろした。

 これで、くしゃみをした拍子に街を消し飛ばしたり、寝言で禁呪を放ったりする心配はなくなった。

 最強のセーフティ(ただし解除コードは恥ずかしい)を手に入れたのだ。


「……さて」


 俺は視線を巡らせる。

 庭の隅には、心配そうにこちらを見守っていた天使トゥアと、その監視役である神界の使者モリガンが立っていた。

 魔法の暴発問題は片付いたが、こちらの問題はまだ残っている。


「なぁ、モリガンさんよ」


 俺は努めて冷静に切り出した。


「トゥアの処遇についてだけどさ。あいつが俺みたいな人間を『神』として崇めたのが罪なんだろ? なんとか見逃してもらえないか?」


 トゥアは、俺を信仰対象として崇拝してしまったため、異端として処分される危機にある。

 だが、今の俺にはフェリという強力なバック(駄犬だが)がついている。

 交渉の余地はあるはずだ。


「俺からも頼むよ。この通りだ」


 俺が頭を下げようとした、その時だった。


「――御意」

「へ?」


 予想外の言葉が返ってきた。

 顔を上げると、そこには信じられない光景があった。


 あの厳格で、人間など虫ケラのように見ていたモリガンが、その場に片膝をつき、恭しく頭を垂れていたのだ。

 その姿は、主君に仕える騎士そのものだった。


「その件については、すでに解決済みです。トゥアハーデに対する『異端審問』および『処刑命令』は、たった今、白紙撤回されました」

「は……? 撤回って、なんで?」


 俺はポカンと口を開ける。

 あんなに「神界の掟は絶対だ」とか「汚らわしい異端者め」とか言っていたのに。

 急な手のひら返しに、思考が追いつかない。


「理由なら明白です」


 モリガンは顔を上げ、濡れたような瞳で俺を見上げた。

 そこには、畏怖と崇拝の色が混ざり合っている。


「貴方様が、我らが頂点に立つ『最高神』となられたからです」

「…………はい?」


 俺の口から、間の抜けた声が漏れた。

 サイコウシン?

 なんだその、ラスボスみたいな響きは。


「ちょ、ちょっと待て。俺はただの人間だぞ? フェリと契約して、魔力を制御してもらっただけで……」

「その契約こそが証です」


 モリガンは流暢に説明を続ける。


「霊王フェリ様は、すべての精霊と魔力の源流を司る、この世界の根幹たる存在。そのフェリ様と対等の契約を結び、その力を身に宿した貴方様は、もはや人ではありません」

「じゃあ何なんだよ」

「神です。それも、既存の神々を統べる、新たな『主神』です」


 モリガンは断言した。


「トゥアハーデの罪は『偽の神を崇めたこと』でした。しかし、貴方様が『真の最高神』となった今、彼女の信仰は『正当なもの』となります。よって、罪には問われません。むしろ、先見の明があったと称賛されるべきでしょう」


 無茶苦茶な理屈だ。

 つまり、「無職のおっさんを社長と呼んだら怒られるが、そのおっさんが本当に社長になれば問題ない」みたいな話か。

 スケールが大きすぎて頭痛がしてくる。


「……おいフェリ。これマジか?」


 俺は足元でサラミを貪っている毛玉に問いかける。

 フェリは口の周りを脂でベタベタにしながら、面倒くさそうに答えた。


『んむ、まあそうなるのう。我の魔力を扱える時点で、そこらの雑魚神より格上じゃし』

「お前なぁ……! そういう大事なことは契約する前に言えよ!」


 俺は頭を抱えた。

 魔力暴走を止めるために契約したのに、気づけば人間を辞めて神様になっていた。

 しかも、その神様の力の封印を解く鍵が『大好きちゅっちゅ♡』だなんて。

 威厳もへったくれもない。


「ああ、我が神よ……!」


 事情を知らないトゥアが、感極まった様子で駆け寄ってくる。

 俺の足元にすがりつき、涙ながらに叫ぶ。


「やはり私の信仰は間違いではなかったのですね! 貴方様こそが、この世界を導く真なる光……! 一生ついていきます、ご主人様ぁ!」

「やめろ、すがりつくな! 俺は神様業なんてやらんぞ!」


 夜の庭に、俺の悲痛な叫びが響き渡る。

 平穏な日常を守るための契約だったはずが、俺の人生はますますカオスな方向へと加速していくのだった。

【お知らせ】

※2/5(木)


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