青春の5ページ
そうして体育祭は終わり。
セミの鳴き声がうるさくなり始める頃。
「お前らー。夏休み中は羽目を外しすぎないようになー。事故とか起こすなよー」
担任の気の抜けた声が教室に響く。
その瞬間。
クラス中から歓声が上がった。
高校生最大のイベント。
夏休みの始まりだった。
いつも通り由眼と帰ろうと下駄箱へ向かう。
すると。
「怜司ー!」
遠くから恒一が走ってきた。
「げっ」
由眼が露骨に嫌そうな顔をする。
「その反応やめてくれないかな」
恒一は苦笑した。
「それより怜司! 夏休み、海行こうぜ!」
「海?」
「みんなでだよ!」
楽しそうに言う恒一。
すると由眼が呆れたように口を開いた。
「わざわざ熱中症の危険がある場所へ行き、大切な肌を傷つけてまで苦労する意味が分からないわ。馬鹿のやることよ」
毒舌だった。
恒一の眉がぴくりと動く。
「そうかい。じゃあ由眼以外の四人で行くか」
すると由眼は少しだけ視線を逸らした。
「……行かないとは言ってないわ」
最初からそう言えよ。
そう思ったが、口には出さない。
怒られるからだ。
結局。
白聖恒一。
聖みこと。
春日ひまり。
諏訪由眼。
そして俺。
五人で海へ行くことになった。
だが、それはまた別の話。
――番外編『五人の海旅行』へ続く。
そして夏休み。
いつものように由眼の部屋でだらだらしていると。
「怠惰とはまさにこのことね」
呆れた声が飛んできた。
クーラーの効いた部屋。
床で寝転がる俺。
確かに反論できない。
「これは怠惰じゃない」
「へぇ?」
「由眼のパンツを覗くという使命を果たしただけだ」
沈黙。
数秒後。
由眼の顔が真っ赤になった。
そして白杖を床につく。
「おい待て待て待て!」
嫌な予感しかしない。
由眼は無表情のまま詠唱を始めた。
「宇宙へ飛ばすわ」
「やめろ!」
「それか今見た記憶を消す」
「もっとやめろ!!」
本気だった。
危うく宇宙の塵になるところだった。
由眼はため息をつく。
「暇なら外へ行くわよ」
「え?」
思考が止まる。
外へ行く。
二人で。
つまり――
(デートじゃねぇか!!)
由眼が即座に反応した。
「デートじゃないわ」
心を読まれた。
「ただの買い物よ」
そういえば心を読めるんだった。
不便極まりない。
こうして俺たちは出掛けることになった。
だがそれもまた別の話。
――番外編『二人の買い物デート』へ続く。
夏はあっという間に過ぎ
五人で映画を見に行った。
恒一と二人でBBQをした。
女子三人はパンケーキ屋巡りをしていたらしい。
笑って。
遊んで。
騒いで。
気づけば季節は移り変わっていた。
そして冬が来る。
「そろそろクリスマスね。」
由眼がぽつりと呟く。
どこか寂しそうな声だった。
「そうだな。だか、クリスマスで相手がいないなんて寂しそうみたいな顔してるな」
「してないわよ!」
すると由眼が小さく呟いた。
「……私がいるじゃない」
だが、その声は玲司には届かなかった。
「ん?なんて?」
由眼は顔を逸らす。
「なんでもないわよ!」
少しだけ声が大きかった。
「クリスマスは家でパーティーよ!!」
そう言う由眼は、どこか残念そうだった。
それもまた――
番外編『クリスマス編』へ続く。
そして冬休み。
「怜司、さすがに呆れるわ。」
由眼がため息をつく。
「冬休みが始まって、もう二週間。一歩も外に出てないわね。」
「冬は籠るのが普通なんだ。」
玲司は布団にくるまったまま答える。
すると由眼は無言で近づいてきた。
そして布団を掴む。
「……」
「おい。」
ぐいっ。
「やめろ。」
さらに引っ張る。
「やめろって!」
由眼は無言だった。
「分かった!分かったから!午後になったら動く!」
その言葉を聞いて、ようやく手を離した。
玲司は布団に包まりながら丸くなる。
その姿はまるで雪だるまのようだった。
由眼はそんな姿を見て、小さく笑う。
平和な冬の日だった。
この時。
誰も予想していなかった。
二年生の始まりと共に。
終わりもまた、始まろうとしていることを。
読んで頂きありがとうございます。綾松です。とりあえずストーリー後半が長くなるので進めたく、青春してる箇所は、番外編として、後々投稿します!なので時間の進みがめちゃくちゃはやい!そんな適当な作品を読んでくれてありがた感謝!




