LOG.22 人生終了ゲーム――みんなでたすけあえない攻略記事
――騎士ハルト検証ログ:起動前
ネットから消えた情報が、紙に残っていることがある。
古い攻略雑誌。
読者投稿欄。
欄外の注意書き。
そして、誰かが赤ペンで残した警告。
今回は《人生終了ゲーム》の記録を確認する。
ただし問題は、その紙面だけではない。
資料確認のはずなのに、なぜか別ジャンルのイベントまで同時進行している。
恋愛ADVの分岐条件は、クソゲーより分かりにくい。
俺は、もう一度ページへ視線を落とした。
ミコの部屋の甘い匂いも、肩に触れる体温も、背後からじわじわ接近してくる恋愛ゲーム的圧力も、いったん脳内の別レイヤーへ退避させる。
今、見るべきは紙だ。
黄ばんだ雑誌の紙面。
荒い印刷。
昭和のゲーム雑誌特有の、勢いだけで読者の不安を煽る見出し。
そして、その中に埋もれている、ネット検索では拾えない一次に近い記録。
《ウワサの超理不尽AVG》
《人生終了ゲーム ―みんなでたすけあおう!―》
副題が最悪だった。
みんなでたすけあおう。
この手の文言は大抵、助け合えないゲームに付く。
助け合いを強要するゲームほど、実際には誰かを見捨てる選択肢を混ぜてくる。友情、協力、希望、みんなで、そういう単語は昔のゲーム広告における危険信号だ。パッケージでは笑顔、内容では殺意。あるあるである。いや、あってたまるか。
俺は紙面の左上から順に情報を拾った。
《開発:(有)夕闇フラワー》
《タイトル:人生終了ゲーム》
《ジャンル:脱出学園パニック推理ADV》
《先行版発売日:昭和58年11月18日》
《販売場所:影都デパート特設売場》
《推定流通数:約200本》
《想定クリア時間:不明》
ここまでは、ゲーム紹介記事として成立している。
いや、成立しているように見える。
だが、そのすぐ下にある補足が、すでに成立していなかった。
《同日夜、市内暴動による火災により影都デパート全焼》
《通常流通前の在庫・販促物・関連資料の大半が焼失》
《一部購入者およびマニア所有分のみ現存と推測》
「……昭和五十八年十一月十八日」
俺は呟いた。
ミコが隣で首を傾げる。
「その日付、気になる?」
「気になるに決まっている」
俺は指先を紙面に近づけ、触れないぎりぎりで止めた。
「影都デパート。市内暴動。火災。全焼。流通本数約二百本。これだけなら、希少レトロゲームとして珍しいが、まだ理解できる。だが、俺たちは今日、《SIREN_CITY》を起動した」
「うん」
「《SIREN_CITY》は影村学園の学生運動、旧校舎占拠、暴徒八〇〇人、警察突入、市街地火災、影都デパート全焼らしき記録を内包していた」
「……うん」
「つまりだ」
俺は息を吸った。
喉の奥が少しだけ冷たい。
「《SIREN_CITY》で語られている“サイレンの鳴り響く街”の出来事。その余波で、あるいは同時に、《人生終了ゲーム》を先行販売していた影都デパートが焼けた可能性がある」
ミコの表情から、少しだけ甘さが消えた。
「それって……二つのゲームが、同じ事件に繋がってるってこと?」
「可能性はある」
「偶然じゃなくて?」
「偶然なら、かなり性格の悪い乱数だ」
俺は紙面を見た。
印刷された箱絵らしき画像。
夕焼けのように赤い空。
校舎。
窓。
そして、不気味な笑顔の“先生”。
顔だけが妙に鮮明で、ドットの粒が荒いのに、こちらを見ている感じがする。レトロなファミコン風のビジュアルだ。色数は少ない。黒、赤、黄、暗い青。なのに、やけに記憶に残る。
古いゲームにおける恐怖とは、解像度の低さそのものだ。
情報が少ないから、脳が勝手に補完する。
目が点でしか描かれていないのに、こちらを見ている気がする。
口が線でしかないのに、笑っている気がする。
背景が校舎のつもりなのか街のつもりなのか分からないから、逆に逃げ場がない。
そして記事には、こうあった。
《先生を“倒す”という現象について》
本作の中で、プレイヤーの前に何度も現れる謎の“先生”。ただのナビゲーターかと思いきや、一部の条件を満たすと突如として“敵”として出現するらしい。その条件および手順を以下に紹介する。
※効果・発生条件は未確認です。
俺は眉を寄せた。
「未確認情報を攻略記事に載せるな」
「昔の雑誌って、そういうの多いの?」
「多い。多いが、だからといって許されるわけではない。しかも、この書き方は攻略ではなく誘導だ。読者投稿を装って、危険なイベントを踏ませに来ている」
「危険なイベント?」
「見ろ」
俺は発生条件の欄を読んだ。
《発生条件(投稿者談)》
《二周目以降であること》
《すべての生徒を最低一回は助けること》
《学校内のすべてのトイレを調べること》
《校長室の本棚を「左から三番目、上から二番目、右から一冊目」を読む》
《放送室で「きく/はなす/しらべる」をこの順で実行》
《その後、体育館ステージへ向かう》
《先生に三回話しかけてもヒントをもらわない》
《「なにもしない」を選び続ける》
「…………」
俺は黙った。
ミコが不安そうに覗き込む。
「ハルトくん?」
「これは、ひどい」
「そんなに?」
「ひどいなどという生易しい表現では足りん」
俺は紙面を睨んだ。
「二周目以降で全生徒を最低一回救助。ここまではまだ分かる。周回前提の隠しイベントだ。だが、学校内すべてのトイレを調べるという時点で、探索導線がすでに狂っている。さらに校長室の本棚で位置指定。これはノーヒントだとしたら完全な悪意。放送室でコマンド順指定。さらに先生に三回話しかけてもヒントをもらわない。つまり、通常なら情報を得るために話しかけるNPCを、あえて無視しなければならない。そして最後に“なにもしない”を選び続ける」
「何もしないのが条件なんだ」
「ああ。最悪だ」
「どうして?」
「ゲームにおいて“何もしない”は、一番検証しにくい」
俺は指を折る。
「戦う、調べる、話す、移動する。そういうコマンドは結果が見える。だが、何もしない、待つ、放置する、選ばない、これは検証範囲が広すぎる。何秒待つのか。何回選ぶのか。どの場所で待つのか。内部カウントか。実時間か。周回数か。乱数か。プレイヤーには分からない」
「SIREN_CITYみたい」
ミコが小さく言った。
俺は頷きたくなかった。
だが、否定もできなかった。
放置しても襲撃が来る《SIREN_CITY》。
何もしないことが条件になる《人生終了ゲーム》。
別々のゲームのはずなのに、設計思想が似ている。
プレイヤーの操作だけではなく、操作しない時間までゲームに取り込む。
それは、ゲームというより監視装置に近い。
「……続きがある」
俺は記事の右側へ視線を移した。
《誰も知らない!? 先生を倒すイベントを発見!!》
《真偽不明!? このイベント、本当に発生するのか……?》
見出しの横には、金色に近いドットで描かれた“先生”の顔があった。
眼鏡。
不自然な笑み。
左右対称に近い顔。
古いゲーム特有の粗い描画なのに、視線だけが妙に生々しい。
記事はさらに続く。
《イベントの流れ(目撃情報より)》
《1 ステージ上に先生が現れる》
《2 突然としてBGMが逆再生に!》
《3 そして……バトル画面へ!!》
俺は顎に手を当てた。
「BGM逆再生」
「怖いやつ?」
「怖い以前に、容量の使い方がおかしい」
「そこ?」
「そこだ。低容量のADVで、通常BGMとは別に逆再生演出を入れる。単純に波形を逆再生しているわけではないなら、音源データか演奏順序の制御が必要になる。わざわざ入れる意味がある。しかもイベント発生時に画面が歪み、先生の顔がこちらを向き、戦闘画面へ移行する。つまり、この“先生”はナビゲーターではなく、一定条件で敵化する」
「先生を倒すゲームなの?」
「記事タイトルはそう言っている。だが、倒せるとは書いていない」
俺は撃破方法の欄を読む。
《撃破方法(これもウワサ!)》
《「たたかう」を選ぶと、一撃でやられてしまう》
《「にげる」は成功しない》
《HPを0にするとイベントは強制終了?》
《唯一残る方法は□□□□(入力不能)を選ぶことらしい……?》
「…………」
「ハルトくん、また怖い顔してる」
「これは、クソゲーだ」
「うん」
「しかも、かなり高度なクソゲーだ」
俺は声が少し震えていることに気づいた。
怒りと興奮と嫌悪と恐怖が混ざっていた。
「戦闘コマンドがある。たたかう。にげる。だが両方失敗する。HPを0にしても強制終了。つまり、通常のゲーム内行動では突破不能。唯一の方法は“入力不能”とされる謎コマンド。これは、コマンド外行動、特殊入力、二コンマイク、同時押し、コントローラ抜き差し、電源操作、あるいは特定条件下でだけ出る非表示選択肢の可能性がある」
「それ、普通の人は分からないねぇ」
「分からないように作ってある」
俺は低く言った。
「人を試している。いや、折りに来ている。この時点でほとんどのプレイヤーは心が折れる、と欄外にも書いてある」
左下の青い欄には、こうあった。
《この時点で、ほとんどのプレイヤーは心が折れてしまう!!》
「雑誌が言うな」
「ふふ」
「笑い事ではない。攻略誌なら救え。読者を煽るな」
だが、それ以上に気になったのは、赤い注意欄だった。
《注意事項》
《このイベントが発生すると、データが破損する可能性があります》
《実機でのプレイを強く推奨します(エミュレーターでは未確認)》
《絶対にマネをしないでください》
《責任は一切負いかねます》
「……実機推奨で、絶対にマネするな」
俺は呟いた。
「矛盾してるね」
「ああ。完全に矛盾している。だが昔の怪しい記事としては、この矛盾こそ誘導だ。“危険です。真似しないでください”と書かれると、真似する奴が出る。特に俺みたいな終わった検証者が」
「自覚あるんだぁ」
「ある。だから腹立たしい」
俺はさらにページをめくった。
別の号らしき切り抜き。
こちらの見出しはもっと悪い。
《緊急投稿!》
《屋上から美人女子高生が転落!?》
《阻止できなければ即ゲームオーバー!!》
俺は読む前から嫌な予感がした。
画面写真は三枚。
一枚目。
屋上の柵の向こうに、眼鏡の女子生徒らしきドット。
二枚目。
彼女がこちらへ背を向けたまま、柵を越える。
三枚目。
選択肢画面。
《話しかける》
《助ける》
《手をつかむ》
《引き止める》
《何もしない》
記事の横には投稿者コメント。
《まさか屋上に着いただけでこんなイベントが起きるとは思いませんでした》
《約30時間かけてプレイし、生存者を助け、謎を解き、すべてうまく進んでいたのに》
《突然あの子が落ちてしまい、何もできずにゲームオーバー》
《何が原因なのか、ヒントすらありません》
《もしご存じの方がいましたら、情報をお願いします》
俺は息を吐いた。
「これも同じだ」
「同じ?」
「プレイヤーが助けようとすると失敗するタイプだ」
紙面には編集部の見解も載っている。
《本イベントは、プレイヤーの心理的動揺を誘導することを目的とした“理不尽演出”の可能性が高い》
《教育的・倫理的意図は一切不明》
《今後のアップデートやパッチ配布の予定も未定》
《真偽は不明》
《公式発表を待ちたい》
「公式発表を待ちたい、だと」
俺は思わず笑った。
「公式は焼けている可能性があるだろうが」
「影都デパートの火事で?」
「販売拠点は焼けた。流通資料も焼けた。夕闇フラワーという会社も今のところ不明。つまり、待っても公式発表など来ない可能性が高い」
ミコが静かに言う。
「だから、誰かが雑誌に投稿したんだね」
「そうだ」
「怖かったから?」
「怖かったから。分からなかったから。自分だけじゃないと思いたかったから」
言ってから、俺は自分で少し黙った。
読者投稿。
それは、古い時代のログだ。
今ならスクショを貼る。動画を上げる。SNSに流す。掲示板に検証スレを立てる。
だが当時は違う。
手紙を書く。
雑誌へ送る。
編集部が採用するか分からない。
数ヶ月後に載るかもしれない。
載らないかもしれない。
それでも送る。
なぜか。
自分の見た理不尽が、本当に自分だけのものではないと確認したいからだ。
誰かに見てほしいからだ。
ミコの指が、そっと紙面の端をなぞるように動いた。
触れてはいない。
触れないようにしている。
「この人も、怖かったんだね」
「たぶんな」
「でも、消えなかったね」
「……ああ」
「ハルトくんが今、読んでる」
その一言が、妙に重かった。
俺は記事を熟読した。
先生イベント。
屋上転落イベント。
学校内のトイレ全調査。
校長室の本棚。
放送室コマンド。
何もしない選択。
実機推奨。
データ破損。
入力不能コマンド。
全てが、ひどく歪んだ形で繋がっている。
脱出学園パニック推理ADV。
つまり、舞台は学園。
プレイヤーは生徒を助ける。
先生という存在が案内役であり敵。
助けられないイベントがある。
何もしないことが条件になる。
データ破損の噂。
火災で消えた流通。
市内暴動。
影都デパート。
俺は背筋が冷えた。
もしかして。
《SIREN_CITY》で起きたことが、過去に現実であった。
そして、その現実の火災によって、《人生終了ゲーム》は市場から消えた。
だが、完全には消えなかった。
一部のマニアが持っていた。
彼らが雑誌に投稿した。
その投稿が、ミコの家に紙で残った。
そして今、俺が読んでいる。
これを偶然と言えるか?
言えるなら、かなり幸せな脳だ。
俺の脳は、残念ながらそこまで幸福ではない。
「……ハルトくん」
ミコの声が、すぐ後ろから聞こえた。
「近い」
「うん」
「うんではない」
「一緒に読みたいんだもん」
次の瞬間。
背中に柔らかい圧がかかった。
ミコが後ろから抱きついてきた。
正確には、俺の肩越しに雑誌を覗き込むように、両腕をゆるく回してきた。
そして。
非常に。
非常にまずいことに。
豊かな胸部装甲が、俺の背中に完全に接触していた。
「…………」
俺の思考が止まった。
止めるな。
止まるな。
今は重要資料を読んでいる。
《人生終了ゲーム》の流通記録。
影都デパート火災。
先生イベント。
屋上転落。
入力不能コマンド。
これらを整理しなければならない。
だが背中が。
背中への入力情報が強すぎる。
これは割り込み処理である。
極めて悪質なヒロイン接触イベントである。
「ミコ」
「なぁに?」
「近い」
「後ろからの方が一緒に見やすいよぉ」
「見やすさの問題ではない」
「じゃあ、何の問題?」
「入力情報過多だ」
「えへへぇ♡」
「笑うな!!」
俺は振り向こうとして、そこでさらに固まった。
ミコは、メイド服だった。
黒と白。
フリル。
リボン。
胸元を強調するデザイン。
膝上のスカート。
そして、黒いニーハイ。
太ももとの境界線。
いわゆる絶対領域。
圧倒的だった。
暴徒八〇〇人より圧がある。
「……貴様」
「うん?」
「なぜメイド姿なんだ」
「これからご飯作るから♡」
「料理服として情報量が多すぎる!!」
「メイド喫茶で着てるやつだよぉ」
「なぜ自宅で装備する!!」
「ハルトくんに見せたかったから」
「直球を投げるな!!」
「似合う?」
「…………」
これは選択肢である。
明確な選択肢だ。
《似合う》
《似合わない》
《資料に戻る》
《仕様か?》
どれが正解だ。
考えろ。
冷静に考えろ。
ここで「似合わない」は論外。幼馴染好感度が大幅に下がる。しかも嘘になる。実際、似合っている。似合いすぎている。
「資料に戻る」は逃げだ。ミコはたぶん膨れる。だが最も安全に見える。しかし安全そうな選択肢ほど地雷なこともある。
「仕様か?」は俺らしいが、絶対に怒られる。
つまり。
「……似合っている」
俺は言った。
ミコの顔が、一瞬で明るくなった。
「ほんと?」
「ああ」
「かわいい?」
「……まあ」
「まあ?」
「か、かわいい……のではないか」
ミコは両手を胸の前で合わせた。
「えへへぇ♡ ハルトくんに言ってもらえたぁ♡」
「ログに残すな」
「心に保存したよぉ」
「もっと危険だ!!」
ミコは楽しそうに笑いながら、俺の背中にもう一度くっついた。
「じゃあ、ご飯作る前に、もう少し一緒に読も?」
「その姿でか」
「うん♡」
「集中力デバフが強すぎる」
「じゃあ、私が音読してあげよっか?」
「やめろ。耳元で読まれると別の意味で危険だ」
「別の意味って?」
「聞くな!!」
俺は必死に紙面へ視線を戻した。
これは第二ラウンドだ。
第一ラウンドは、宵崎家到着から部屋侵入まで。
第二ラウンドは、人生終了ゲーム資料確認中のメイドミコ接近戦。
ジャンルが混線している。
ホラー。
クソゲー検証。
レトロゲーム資料解析。
ラブコメ。
全部が同時に走っている。
普通なら破綻する。
だが、今日に限っては破綻している方が正しい気がした。
なぜなら、そもそも《人生終了ゲーム》というタイトル自体が破綻しているからだ。
俺は雑誌を見下ろし、もう一度、紙面の箱絵を見た。
夕焼けの校舎。
笑う先生。
赤い文字。
《人生終了ゲーム》
そして、その横で俺の肩に顎を乗せるミコ。
「ねぇ、ハルトくん」
「何だ」
「そんなに謎のゲームなの?」
「謎というより、消え方が異常だ」
「ふぅん」
「反応が軽いな」
「だって、私からすると、ハルトくんが怖い顔してる方が気になるもん」
「俺より資料を見ろ」
「見てるよぉ。でも、ハルトくんも見てる」
「俺を見るな」
「やだぁ」
「なぜだ」
「好きだから♡」
「…………」
処理落ち。
本日何度目か分からない処理落ちである。
俺は思った。
《人生終了ゲーム》は確かに理不尽だ。
だが、今この瞬間のミコも相当理不尽である。
好意が強い。
距離が近い。
服装の攻撃力が高い。
しかも、こちらの逃走コマンドが機能しない。
これはもう、脱出学園パニック推理ADVではない。
幼馴染密着ラブコメ推理ADVである。
想定クリア時間。
不明。
《人生終了ゲーム》の記録は、ただの古い噂では終わらなかった。
影都デパート。
市内暴動。
火災。
流通本数約二百本。
そして、《SIREN_CITY》との接続疑惑。
紙に残った断片は、ネットのログとは違う重さがある。
誰かが見た。
誰かが怖がった。
誰かが投稿した。
誰かが残した。
そして今、ハルトがそれを読んでいる。
……もっとも、今回最大の理不尽イベントは、ゲームではなくミコだった気もする。
――騎士ハルト検証ログ:保存後




