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Gl1tch//RaidERs  作者: 時任 理人


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15/24

LOG.15 ラブコメみたいな帰り道は、一通のメールで終わった

 ――騎士ハルト検証ログ:起動前


 放課後とは本来、疲弊した高校生が日常へ復帰するための休憩フェーズであるはずだった。


 だが、俺の放課後は違う。


 黒zip、一一二KB、ディスクシステム疑惑、そして有栖川ガレージに鎮座するディスクライター。


 普通なら絶対に同じ盤面へ並ばない単語が、今だけは不気味なほど綺麗に接続している。


 仕様か。


 バグか。


 裏技か。


 乱数か。


 開発者の悪意か。


 まだ分からない。


 だが、ひとつだけ確かなことがある。


 この放課後イベントは、ただの帰宅イベントではない。


 電子の迷宮が、現実側へ一歩、足を踏み出してくる検証ログである。


 放課後の校門を抜けた瞬間、俺の脳内では、すでに《有栖川ガレージ突入チャート》が高速で走り始めていた。


 今日の目的は明確である。


 黒zipから出てきた一一二KBのゲームデータらしきファイル。


 ディスクシステム疑惑。


 そして、その実機確認に必要となるディスクライター。


 普通の高校生なら、放課後という単語から連想するのは、寄り道、買い食い、部活、あるいは友人とのだらだらした時間なのだろう。


 だが俺、有栖川ハルトにとって、今日の放課後は違う。これは移動イベントではなく、検証フェーズへの移行であり、ディスクライターという昭和末期ゲーム流通史の聖遺物を再起動させるための前段階であり、黒zipという電子化された悪意の迷宮が、ファミコンディスクシステムという物理媒体へ接続している可能性を確認するための、極めて重要なルート分岐だった。


 まず帰宅後、ガレージのシャッターを開ける。


 次にディスクライター筐体の外装状態を確認する。


 その後、電源ケーブル、ヒューズ、スイッチ、AC入力部、内部配線、基板上のコンデンサ膨張、腐食、コネクタの緩み、ドライブユニットのベルト劣化、ヘッド周辺の汚れ、過去に誰かが雑に修理を試みた形跡がないかを洗う。


 さらに、ナギカから黒zip解凍後のデータを受け取り、ファイルサイズ、ハッシュ、先頭バイト列、末尾データ、ヘッダの有無、ディスクシステム用イメージとの整合性を確認する。


 できれば今夜中に最低限の切り分けまで行きたい。


 それが俺の脳内チャートだった。


 だが、現実というクソゲーは、常にプレイヤーの想定外へ意味不明イベントを差し込んでくる。


 現在、俺の左腕には宵崎ミコが完全に接続していた。


 腕を組んでいる、という表現では足りない。


 あれはもはや、幼馴染属性による強制リンクである。


 認証不要。


 許可不要。


 ログ確認なし。


 接続完了済み。


 しかもミコ本人は、それを当たり前のように行っている。


「ハルトくん、今日すっごく楽しみだねぇ♡」


 ミコは俺の腕へふわりと体重を預けながら、まるでサ終寸前のソシャゲで、最後の大型イベント告知を見つけた限界オタクのように目を輝かせていた。


 この女は本当に厄介である。


 外見だけ見れば、完璧美少女だ。


 柔らかい笑顔。


 近すぎる距離感。


 ふわふわした声。


 周囲へ自然に溶け込む対人能力。


 だが、中身は完全に破滅的なオタクである。


 サービス終了告知文を読んで泣ける。


 誰も来なくなったコメント欄に残された「ありがとう」を、感情の化石みたいに拾い上げる。


 更新停止した個人サイトの最終更新日を見て、「この人、最後の日も好きだったんだねぇ」と静かに呟ける。


 そんな女が、俺の隣で嬉しそうに腕を組んでいるのだから、普通の人間ならラブコメイベントとして処理するのだろう。


 だが俺にとっては、処理負荷の高い常時発動イベントである。


 そして、その様子を右側から見ていた久羅木ナギカは、心底嫌そうな顔をしていた。


 ただの嫉妬ではない。


 いや、そもそもナギカが俺に嫉妬するという解釈自体が、電子迷宮の奥にあるバグった隠しルートみたいなものなので、一旦捨てる。


 あれは通信解析者の顔だった。


 ナギカは、ミコと俺の距離を「人間関係」ではなく「接続状態」として観測している。


 認証手順がない。


 暗号化されていない。


 距離が近すぎる。


 相互承認が曖昧。


 それでいて接続が切れない。


 つまりナギカの目には、宵崎ミコという存在が、人間の形をした高危険度通信プロトコルに見えているのかもしれない。


「……アンタ達って、付き合ってるの?」


 ナギカが嫌そうに訊いた。


 その瞬間、ミコの腕の圧力がわずかに増した。


 観測可能な変化だった。


 力の入れ方が変わった。


 呼吸が少し浅くなった。


 視線がこちらへ寄った。


 返答待機状態。


 期待値上昇。


 まるで掲示板で重要レスが投下された直後、スレ民全員が次の発言を待つ一瞬の静寂みたいだった。


 だが俺は、事実を言う。


「違う。ただの幼馴染だ!」


「そこ、即答するんかい!」


「事実だからな」


「へぇ……」


 ナギカの「へぇ」には、明確な毒と呆れと、ほんの少しだけ意味不明な苛立ちが混ざっていた。


 一方で、ミコはなぜか嬉しそうに笑っている。


「えへへぇ♡ ただの幼馴染だってぇ♡」


「貴様、何故そこで嬉しそうなんだ」


「ううん、なんでもないよぉ♡」


 分からん。


 本当に分からん。


 恋愛イベントは鬼畜クソゲーより難しい。


 少なくとも鬼畜クソゲーなら、ノーヒント分岐、隠しフラグ、乱数調整、1フレーム入力、セーブデータ改竄、メモリ破損利用といった攻略の糸口がある。


 だが幼馴染イベントには攻略Wikiがない。好感度ゲージもない。分岐条件も表示されない。しかも本人は笑っているので、成功しているのか失敗しているのか分からない。完全に開発者の悪意である。


 だから俺は、その理不尽を別方向へ転換した。


「どうした久羅木。まさか貴様も腕を組みたいのか?」


 言った瞬間、ナギカの応答が止まった。


 普段なら即座に「キモい」「死ね」「近寄るな」「存在がブラウン管」あたりが飛んでくる場面だが、今回は違った。


 間がある。


 短いが、確かな間だ。


 通信遅延。


 CPU使用率急上昇。


 キャッシュ破損。


 動揺フラグ検出。


「は?……何でそうなるのよ!」


「クククっ……羨ましそうに見えたぞ?」


「見間違い」


「見えた」


「見えてない!」


「顔面温度が上昇しているではないか!!」


「サーモグラフィーかお前は!」


「フハハハハハ! やはり通信の魔女にもそういうフラグが存在したか!」


「存在してない! お前の脳内で勝手にイベント発生させるな、キモ騎士!」


 ナギカの罵倒は鋭い。


 だが、いつもより少し荒い。


 ナギカは、相手の言葉の脆弱性を突くように罵倒する。侵入解析で認証穴を見つけるように、会話の隙間へ毒を差し込んでくる。


 だが今は違う。


 感情パケットが混ざっている。


 精度が落ちている。


 これは面白い。


 非常に面白い。


 俺が勝利を確信しかけた瞬間、ミコが番外の一手を打った。


「ねぇ、ハルトくん♡」


「何だ……?」


「ハルトくんは、ナギカちゃんと腕を組みたいのぉ?♡」


 なっ、なんだこの盤面返しは……。


 俺は一瞬、本気で処理に詰まった。


 今の質問は危険である。


 俺がナギカへ向けた煽りを、そのまま俺の側へ跳ね返してきた。つまりミコは、ただふわふわと腕を組んでいるだけではなく、この場の感情ログを読んでいる。誰が何に反応し、どこで視線を逸らし、どの言葉で処理落ちしたかを拾っている。


 これはコメント欄分析やファンダム観測に近い。


 ミコは、人の「好き」や「気まずさ」の残響を読む。


 古いコメント欄から当時の熱量を読むように。


 削除済みアカウントの残骸から、誰かが何を愛していたかを読むように。


 今も俺とナギカの会話から、余計な感情のノイズを拾っている。


「……なぜそうなる」


「だって、ハルトくんがナギカちゃんに聞いたんだよぉ?」


「それは俺が久羅木を煽っただけであってだな」


「じゃあ、ハルトくんは組みたくないんだぁ?」


「いや、そういう問題ではなく」


「へぇ♡」


 ミコの笑顔は甘い。


 甘いが、逃げ道がない。


 すると、さっきまで防戦一方だったナギカが、一気に勝者の顔になった。


「フフフッ」


「何だ、その笑いは」


「いや、最低だなって」


「何故だ!」


「自分から煽っておいて、聞かれたら逃げるとか最低じゃん」


「貴様、さっきまで被害者面していただろうが!」


「今は観測者だから」


「立場を変えるな!」


「キモ騎士、ログ改竄しないでくれる?」


「貴様に言われたくない!」


 ミコは俺の腕を抱いたまま、楽しそうに笑っている。


「ふふ、今日のナギカちゃん辛辣だねぇ♡」


「楽しむな、ミコ!」


「だって、ハルトくんとナギカちゃん、すごくレスバっぽいんだもん♡」


「レスバではない。これはレトロ媒体解析者と通信解析者による専門性の衝突だ……!!」


「そういうところがキモいって言ってんの!」


「久羅木ィ!」


 放課後の道は完全にカオスだった。


 左腕には距離感バグ系幼馴染。


 右側には通信解析の毒舌天才。


 目的地は電子遺跡観測基地《有栖川ガレージ》。


 手元には黒zip、一一二KB、ディスクシステム疑惑。


 そして俺の脳内では、ディスクライター修理、人生終了ゲーム紙資料確認、ナギカの黒zip解析、ミコの感情ログ観測が複雑に絡まり合っている。


 普通の高校生活など、初日からとっくに破綻している。


 だが、悪くない。


 理不尽なイベントが多ければ多いほど、攻略対象は増える。


 俺はそうやって自分を保ってきた。


 理不尽へ勝利した瞬間だけ、自分を保てる。


 だから笑う。


 だから高笑いする。


 怖いものを怖いと言う前に、攻略対象へ変換する。


 その時だった。


 スマホが震えた。


 たった一度。


 短く、重い通知だった。


 ミコの連続通知ではない。


 2xch専ブラの更新音でもない。


 メールだった。


 俺は反射的に画面を開いた。


 件名なし。


 差出人不明。


 本文は一行だけ。



《――お前をみている》



 そこで、世界の解像度が変わった。


 音が少し遠くなった。


 ミコの腕の感触も、ナギカの罵倒も、夕方の住宅街のざわめきも、全部が薄い膜の向こう側へ引いていった。


 俺の中の高笑いが止まる。


 完全に止まる。


 まず時刻。


 受信タイミング。


 差出人欄。


 件名なし。


 本文一行。


 句読点なし。


 「見ている」ではなく「みている」。


 漢字変換しなかったのか。


 意図的にひらがなへ落としたのか。


 幼稚さの演出か。


 機械的テンプレートか。


 あるいは、昔のオカ板系チェーンメールに寄せた文体か。


 ヘッダを見たい。


 送信経路を見たい。


 認証情報を見たい。


 だが今は路上だ。


 十分な環境がない。


 そして、それ以前に、この一文には嫌な匂いがあった。


 古い個人サイトの掲示板に突然投下される意味不明な書き込み。


 都市伝説チェーンの最後に混ざる「お前を見ている」。


 閉鎖済みファンサイトの魚拓に残った不自然なコメント。


 犯行予告未満の釣りレス。


 ブラクラ前の誘導文。


 そして、誰かが消える前に残る、妙に短い記録。


 俺はそういうログを見てきた。


 だから分かる。


 これは雑なイタズラとして処理してはいけない種類の文面だ。


 背中が冷えた。


 比喩ではない。


 本当に冷えた。


「ハルトくん?」


 ミコの声がした。


 さっきまでの甘さが薄れている。


 ふわふわした語尾が、少しだけ落ちた。


 ミコは俺の腕に触れたまま、俺の反応を読んでいる。俺が本当にまずいものを見た時、ギャグをやめることを知っている。急に比喩が減り、テンションが落ち、観察だけが細かくなることを知っている。


 ナギカも気づいた。


「……キモ騎士?」


 いつもの罵倒が弱い。


 これは毒舌ではない。


 確認だ。


 通信解析者が、異常な応答を検出した時の声だ。


 俺はすぐには答えなかった。


 答えなかったのではなく、答えられないと見せかけて、頭の中でログを走らせていた。


 昼休みのミコの通知。


 こちらの会話タイミングと妙に噛み合っていたメッセージ。


 ナギカと監視や盗聴の可能性を話していた時の違和感。


 黒zip。


 人生終了ゲーム。


 一一二KB。


 ディスクライター。


 そして今。


 差出人不明のメール。


《お前をみている》


 仕様か。


 バグか。


 乱数か。


 裏技か。


 開発者の悪意か。


 違う。


 これはゲームの内側ではない。


 外側から来ている。


「……何でもない」


 俺は言った。


 言ってしまった。


 言った瞬間、自分でも分かった。


 下手だ。


 あまりにも下手だ。


 普段の俺なら、ここでくだらない高笑いか、厨二病的な誇張か、ネットスラングのツッコミを挟む。


 だが今の「何でもない」は、何でもなくない時の声だった。


 ミコの腕の力が少しだけ変わった。


 ナギカの視線が俺のスマホへ落ちた。


 二人とも気づいている。


 俺が隠そうとしていることに。


 だが、今はまだ見せない。


 路上で騒ぐべきではない。


 周囲の環境が雑すぎる。


 安全にログを確認するなら、ガレージへ戻ってからだ。


 ヘッダを取り、スクショを保存し、ナギカに解析させる。


 ミコには、感情ログとして文面を見せる。


 そう決めて、俺はスマホを伏せた。


「急ぐぞ」


「……ハルトくん?」


「ディスクライターは待ってくれん」


「待つでしょ、機械なんだから」


 ナギカがそう言ったが、声音にはいつもの鋭さがなかった。


 疑っている。


 完全に疑っている。


 俺は高笑いを戻そうとした。


「フ、フハハハハ! 文化遺産が俺を呼んでいるのだ! 黒zip、一一二KB、ディスクシステム、そしてディスクライター! この電子化された悪意の迷宮を前に、立ち止まっている暇などない!」


 声は大きくした。


 テンションも上げた。


 だが、自分で分かる。


 少しズレている。


 いつもの高笑いではない。


 笑っているのに、呼吸が浅い。


 テンポがわずかに速い。


 言葉の選び方が荒い。


 ミコがそれを拾った。


 ナギカも拾った。


 俺はそれ以上何も言わず、二人を連れて有栖川家へ向かった。



 ガレージへ着いた時、俺はいつものように勝ち誇った声でシャッターを開けるつもりだった。


 だが、実際に手をかけた瞬間、指先がほんの少し止まった。


 鍵。


 シャッター。


 隙間。


 足元。


 郵便受け。


 窓。


 外壁。


 昨日と変わった点はないか。


 誰かが触れた跡はないか。


 薄い埃の乱れ。


 シャッター下の擦れ。


 ドアノブの角度。


 郵便受けに挟まったチラシの位置。


 普段なら見ないものまで見ていた。


 いや、普段も見る。


 だが、見方が違う。


 今はレトロ機材の配置確認ではない。


 侵入痕跡の確認だ。


 俺の領域ではない。


 これはナギカの領域に近い。


 だから余計に嫌だった。


「……ハルトくん」


 ミコが低く言った。


「何だ」


「今日、変だよ」


 ふわふわした声ではない。


 ミコの声から、萌えキャラ的な柔らかさが少し消えていた。


 感情の観測者の声だった。


 俺が、何かを怖がっている。


 それをミコは読んでいる。


「いつもなら、帰ってきたらすぐに2xch開くよねぇ」


「……今日は先に環境確認だ」


「うん。だから変だねぇ」


 逃げ道を塞がれた。


 ミコは怒っていない。


 責めてもいない。


 ただ、俺の癖と違う行動を観測している。


 ナギカが横から言った。


「……何かあったのか?」


「何がだ」


「メールか通知。さっきスマホ見てから、挙動が変わった。目線が周囲確認に切り替わってる。ドア、窓、シャッター、郵便受け、全部見てる。普段のキモい文化財鑑賞じゃなくて、侵入痕跡確認の目」


 やはり気づく。


 ナギカは気づく。


 通信解析だけではない。


 こいつは人間の挙動もログとして読む。


 いつもと違うパケットは全部拾う。


「話せる時に話す……」


 ナギカは一瞬だけ黙った。


 その沈黙で、理解したらしい。


 こいつも本気モードへ入り始めている。


「……分かった」


 短い返事だったが、毒舌がない。


 つまり、これは本当に危険側へ傾いている。


 俺はシャッターを開けた。


 ガレージ内部から、古い電子機器の匂いが流れ出す。


 埃。


 樹脂。


 金属。


 劣化したケーブル。


 基板。


 磁気媒体。


 ブラウン管の残熱。


 俺にとっては落ち着く匂いだ。


 普通の人間ならジャンクの山と言うだろう。


 だが違う。


 ここにあるものは死体ではない。


 まだ復元できるかもしれない記録だ。


 そして、俺の生活の大半を食い潰している未発見イベントの墓標たち。


「うわぁ……」


 ミコは小さく呟いた。


 彼女はこの空間を知っている。


 以前にも来たことがある。


 だが、今日の俺がいつもと違うことも知っている。


 普段ならここで俺は高笑いしながら専ブラを起動し、2xchの未保存レス数を確認し、黒zip関連スレのログを保存し、ミコが呆れるくらいの速度でキーボードへ向かう。


 しかし今日の俺は、まず部屋を見回した。


 CRTの上。


 棚の影。


 工具箱。


 ディスクライターの裏。


 配線の乱れ。


 窓際。


 ルーター周辺。


 電源タップ。


 昨日と違うものがないか。


 置いた覚えのないものがないか。


 触られた形跡がないか。


 ナギカはそれを黙って見ていた。


 ミコも黙って見ていた。


 高笑いは便利だ。


 理不尽も、恐怖も、理解不能な現象も、とりあえず攻略対象へ変換できる。


 だが、今回ばかりは少しだけ違った。


 件名なし。


 差出人不明。


 本文は一行。


 《お前をみている》


 たったそれだけの文字列が、黒zipよりも、ディスクライターよりも、ずっと冷たく現実へ食い込んできた。


 これはゲームか。


 記録か。


 誰かの悪戯か。


 それとも、もうこちら側を観測している何かなのか。


 答えはまだ出ない。


 だからこそ、ログを取る。


 恐怖を分類する。


 そして、攻略する。


 ――騎士ハルト検証ログ:保存後


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