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方言だけ最強。機人×魔法の学園で逆転  作者: 黒鍵
第二章 塩の大地と金色の誓い

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170 朝靄の中の再会

暑い中、読んで頂きありがとうございます<(_ _)>

 俺は夜の森の中、枝葉の隙間から覗く月を見つめながら、これからどうすべきか考える。


 ――ヤクモと一緒に王都へ戻るべきか、一人残ってファンドウに潜入すべきか。


 いくら考えても答えは出なかった。どれほど時間が経ったか分からないが、ヤクモが目を覚まし、上半身を起こした。


「助かった。かなり楽になった。お前も休め」


 軽く頭を振り、眠気を払うヤクモを見つめ、俺は呟く。


「きなっせ」


 目の前の空間が捲れ、亜空間へと繋がる。俺はその中から眼鏡を取り出し、ヤクモに手渡した。


「ああ、悪いが、そうさせてもらう。俺も疲れた」


 ヤクモは眼鏡をかけ、小さく頷いた。結局、何も思い浮かばなかった。だが、少し休めば頭もすっきりする。いい案が浮かぶかもしれない。


 俺は両手を上げ、背を伸ばすと、そのまま後ろに倒れた。夜空に浮かぶ月を見つめる。シロエも同じ月を見ているかもしれない――そう思い、静かに目を閉じた。



――――――――――――



 まどろむ意識の中、誰かが呼ぶ声が聞こえた。少し懐かしい声に心が落ち着く。たしか俺はヤクモと交代し、休ませてもらったはずだ。


 もう起きる時間なのかもしれない。だが、その声はヤクモではなかった。シロエとも違う柔らかな声。重たい瞼をなんとか開く。


「……ウガ」


 突然、朝日が差し込み、視界がぼやける。目元を擦り、ゆっくりと上半身を起こす。次第に意識がはっきりしてきた。


「ソウガ」

「ソウガ!」


 その瞬間、俺は声がするほうを向く。そこには、心配そうにこちらを見つめるハンナと、眉を下げて肩をすくめるナツメの姿があった。


「……どうして、お前たちがここに?」


 眠気が抜けておらず、まだ少し思考がぼやけている中で、うわ言のように呟く。夢かもしれないが、二人に会えて嬉しかった。


 自然と笑みが零れると、ハンナとナツメが目を見開き、直後、頬を染めて俯く。夢にしては、あまりにも像がはっきりとしている。


 俺は起き上がり、両手で頬を叩く。


「ようやく目覚めたか、ソウガ」


 じんじんとした痛みに目を細める俺に、ヤクモが声をかけた。振り返り、息を呑む。やつの隣には、リュウゾウ先生とカジコさんが立っていた。


「おはよう、問題児。ったく、心配をかけるな」

「おはよう、ソウガ君。清々しい朝だね」


 リュウゾウ先生は肩をすくめ、カジコさんは笑顔でパイプを咥え、紫煙を吐き出した。それは空へと上り、朝靄と混じり合う。


 思わず顔を上げる。昨日と変わらないアクアクサの空。だが、少しだけ青く澄んで見えた。ようやく、今が夢ではないと確信する。


 俺は大きく息を吸い込み、深々と頭を下げた。


「すいません。先生、カジコさん。そして、ナツメ、ハンナ。本当に悪かった」


 何も告げずに王都を出たことを詫びた。少なくとも、リュウゾウ先生には相談すべきだった。


「いや、悪いのは俺だ。ソウガに秘密にしてほしいと頼んだのだからな。先生たちを信用していないわけではないが――」

「私たちを巻き込みたくなかったってことだよね」


 ナツメが真っすぐヤクモを射抜く。その紺碧の瞳から放たれる視線は鋭く、重かった。隣を見ると、ハンナもじっとやつを見ていた。


「……そうだな。確かにソウガを連れて行くなら、婚約者のお前たちにも一言あるべきだった。本当にすまなかった」


 やつは背筋を伸ばし、二人の視線をまっすぐ受け止めてから、静かに頭を下げた。自らの過ちを素直に認め、すぐに謝罪するその姿はどこまでも真摯だった。


 やはりコイズミ陛下とは違う。俺は改めて、ヤクモの王としての器の大きさを思い知らされた。


「まあまあ、とにかく今はここから離れよう。じっくりと話し合いをするには、いささかここは物騒だ」


 カジコさんが紫煙を吐き出し、遠くを見つめる。その先には、ファンドウの町が見えた。俺たちが休んでいる間に、正門には多くの機人たちが並んでいた。


「見たことがない機人だな……」


 リュウゾウ先生が呟く。その眼差しには研究者らしく、興味の色が滲んでいた。だが、かなり遠く、その姿をぼんやりとしか捉えることができない。


 ただ昨夜、町中で見た下半身が魔導車のような機人とは、明らかに形が違っていた。足はあるが、太くて歩きにくそうだ。


 そして、何よりも右腕が異常だった。離れていてもはっきりと分かった。通常の機人の二倍以上太く、その手には巨大な槍が握られていた。


 その数は十や二十ではなかった。入念に準備されていたと悟る。俺は俯き、歯を食いしばる。


「ソウガ、顔を上げろ。お前は住民たちを救うことに全力だった。あいつらの計画に気づく余裕なんてなかっただろ」


 ヤクモがファンドウの前に並ぶ大勢の機人を見ながら、顔を歪める。その横顔に、俺は苦笑いを浮かべる。


(それは、お前も一緒だろう……)


 俺が肩をすくめると、ヤクモは踵を返し、足早に歩き出した。俺はその背中を見つめ、後を追った。

貴重な時間の中、読んでくださり感謝です(//Д//)

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― 新着の感想 ―
 ハンナさんとナツメさん、  リュウゾウ先生にカジコさんまで合流する流れにびっくりです。  斜め上をいく予想外の展開に思わず引き込まれました。  片腕が異常に太い奇人たちとのバトルはあるのか?  …
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