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慣行(鴨宮のドサ回り日記13)

7月に入り首都圏と古都との中間地点から

どちらかというと首都圏に近い

リゾート地というか観光客が多い地方都市へ


雨季で突然のスコールが発生する時期なので

地元のリゾート不動産を修繕補修したりする

1人親方職人って感じな人々が

風雨で屋外作業が休みになってしまったからと


同業者団体の内輪たまり場となっている

ヘルスセンターに来て

温泉につかって雑談をしに集まっている。



誰も芝居なんか見ちゃいない


飲んだくれて思い思いに鬱憤晴らし喋り

舞台でセリフを言っている役者よりも

大きな声で俺様節を歌うかのように喋っている。


座長も途中で、それに気づき

凄く巻いた感じで早めに上演を終わらせた。


暇なので、何を大声で話しているのだろうな?

と思って一番、声が大きなオッサンの集まりの近くへ



 首都圏の小金持ちにリゾート不動産を売りつけ


 リフォーム業者として、その物件を毎年、修繕補修

 もちろん、作業中に次の補修作業を依頼せざるを得ないように

 建物に負荷がかかる破壊作業みたいなものを細工して


 ずーっと金を搾り取る算段



というような内容を語りあう


「俺様が今年、言いくるめた小金持ちは

 地元なら誰も手を出さない問題物件を

 高値で買ってくれた」


「ウチラが奴等に売りつけたのは

 海辺のイカす物件ってヤツだ

 潮風で色々と錆びてしまうから

 錆び止め塗装が、ほぼ毎年のように必要になって

 ウチラのリフォーム会社に外壁塗装料金が

 ほぼ毎年のように入ってくるって寸法よ」


などなどと誰が一番、首都圏の小金持ちから

金をボッタくれたかの自慢話に続き


「さーて、今年も雨季に暴風雨が吹き荒れて

 修繕補修が必要になる道路やら施設が出る

 地域の役所から依頼がくるワケだけれども


 この地域密着型の同業者団体

 室外装飾業者連合会の支部で

 どんな配分にするかを

 俺様が仕切って決めてやるから安心しろ」


と、強そうな横綱キャラなオッサンが

大きな声で仕切って指示している。


どの業者さんも、スキンヘッドとか、パンチパーマとかで


 一見、どこのマフィアのフロント企業に人間?


ってくらいにガラが悪く物言いも荒っぽい。


そこから少し離れたあたりでは

そこらの同業者団体さんに融資している

金融機関の営業さん数人が酔っぱらって世間話


「昔、首都圏にある本社の首都圏営業部にいた頃は

 良かったなあ


 まさか、地方都市の営業所を

 数年ごとに転任させられる事になるとは

 思ってもみなかった


 まあ、でも、同期入社で

 無能だから任せられる仕事が無くなって

 社内格付けが降格させられて

 完全歩合制で半年更新契約社員な

 営業職員にさせられて

 という感じで仕事が無くなって金が無くなって

 地方都市の親元に帰ったのよりはマシだ


 でも中小企業のオーナー社長一族とかで

 親とかが金持ちだから

 田舎に帰って泣きつける奴等は、いいよなー


 御前とか、もし営業成績が

 業績査定システムで会社から契約解除させられる

 くらいの業績でクビになったら、どうする?」



「自分なんか親は中小零細企業の会社員

 同業者ピラミッドの底辺に近い会社の所属で

 しかも高齢になると仕事が無くなる職人職種

 その会社の親方にすら、なれていない


 管理職とか営業とかなワケじゃないから

 田舎に戻っても、コネで何かの仕事があるワケじゃない


 ゼロから、やり直しになるだけですからねー


 こういう金融機関は最初に入社した会社をクビになったら

 つぶしが、きかないってか転職先は無いですからねー


 会社の経営者になるにしても

 どの同業者団体に所属する中小企業の経営なら

 やってけるかなって考えると無理


 どこかの会社の社内管理会計とか税務会計をする

 経理で雇ってもらっている出向した人に

 拝み倒して雑用係で雇ってもらうくらいしか

 転職先が無いでしょうからね


 なんとか、今回のAIバブルが崩壊した後の

 次の不景気でも生き残れるように頑張るしかないっす」



・・・



ヘルスセンターの演芸会場で同じ週に出演する人々も


今までのように大衆演劇の劇団とかじゃなくて

過激なコントをするコメディアンな人々


色んなコメディアンが、次から次へと出てきて


 誰が一番過激な真似を出来るか


 誰が面白過激な公共電波じゃ放送できないけど

 こういう刺激を求める地域でウケるか


馬鹿な真似を競うかのように

派手で痛そうな、ドツキアイや

過激な言葉の暴力での殴り合いを披露して


それを酔っぱらった客が笑う。


とてるもなく、ゲスい笑いだ


 デヘヘヘヘー ンゲヘヘヘー

 ザマーミロォ イイ気味だぁ


そんな感じの笑い声が鳴り響く演芸会場


突っ込まれるボケが酷い目にあえば、あうほどに

過激な言葉の暴力で殴られるほどに

客が大きな声でボケの不幸を笑う


という悪趣味な空間が繰り広げられる。


 ここは、こういう土地柄なのだ

 世の中は広いから、こういう地域もあるのだ

 嫌悪感を出しちゃいけない

 態度や言葉にして批判しちゃいけない

 ここには、ここの日常があるんだから


と、自分で自分に言い聞かせては、みるものの

なんとも、言えない冷ややかで残虐な空気は

この感覚に慣れ親しんでいない人間を

弾き飛ばすような拒絶するような空気だった


 笑わせる作りこまれた笑いはウケなくて


 笑われる痛い想いをする生贄を笑う感覚はウケる


そういった感覚が支配している。


 こんな殺伐として本当にリゾート観光都市?


とすら思える


 いや、観光客とかリゾート別荘所有者とかには

 イイ顔をしている客商売をしているから

 その反動の鬱憤晴らしをしているのが

 この地元の人間しかいない地元密着型同業者団体の

 集会場になっているヘルスセンターだからなのか?


とも思えた。


観光都市として、やっていくために

首都圏から観光客が来るようにするように

人気を維持するためのアレコレというのは

結構に大変なんだろうし


もし、人気が落ちて観光客が来なくなったら

という不安も抱えているんだろう。


 観光客相手の商売人とか

 リゾート不動産関係の営業とか


 リゾート不動産建設業界から出現した

 建設族な政治家様とか


色んな人がゴッチャになって酔っぱらって

一緒に過ごしている


他のトコじゃ、ココまで


 同じ地域に住んでいる人々で発生する地縁


というものが濃くなくて


同じ会社にいる集団縁や、親戚同志の血縁とか

の方が濃いのが普通だろうに


ちょっと異常なほどの地縁の濃さだ。


でもそれは、この観光都市で生きている人にとって

生きていくために必要な事なのだろう


・・・たぶん・・・知らんけど。


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