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商魂(鴨宮のドサ回り日記11)


ドサ回りも首都への折り返しに入って

6月も半ばを過ぎて梅雨に入り、雨の日が続く


今週は(いにしえ)からの商都と言われている地域

商魂と書かれたTシャツを来ている人とか

商売っ気を丸出しにしている


 やる気の源は金、


 人間関係は共通の利害関係がるか無いか


 関わりたい人は関わって金になる人


到着してから関わった人の全てが、そんな感じ

世間話のハシバシから、そんな空気が漂う


なので公演場所に集まるのも


同じ地元密着型の同業者団体に所属する

利害関係が一致する皆さま方の内々の集まり

といった人々


もしくは、それらの人々に何かを買って貰おうと

寄ってきている物売りな人々


だいたい、その2種類だ


公演が終わった後の宴会場のような場所に

最後まで残っているのは物売りな人々の一人

今日は見込み客になってくれそうな人が

見つからなかったからなのだろうか

でも、ひょっとしたらで残っているように見えた。


「最後まで残るなんて、つきあい良いですね?」


話しかけてみる


『いやぁ、今日は逸れてしまいました


 まあ、3月までの営業ノルマが販売会社に残れる

 ギリギリの営業成績だったんで

 アパートの家賃すら払えなくなってしまいましてね


 今は9月までに、もっと営業成績を挙げて

 アパート家賃くらいは払えるようになるために

 自動車に営業用の衣装を積んで


 平日も、土日祝日も、朝も昼も夜も関係なく

 24時間、可能な限り年中無休で

 客探しをしたり、バイトをしたりしているんですよ


 この年齢になると物売り仕事くらいしかできないですし

 今更、他の仕事をしようにも無理ですからねぇ


 今日、地元の中小企業オーナー社長様向けの商品を

 勧めるというか、商品必要性の説明をさせてもらえるくらいまで

 客との親密化ってもんが出来るかなと思って来たんですが


 いやー、もう既に・・・何に金を使うかとかが

 固まっている人が多いですからねー難しいですわ』


「へぇ? でも凄いですね・・

 こういった社長様の集まりに入り込んで

 威圧感のある方とかいて、話しかけにくい人とかも

 いるでしょうに」


『いやー、話しかけやすい、自分が話やすい人にだけ

 話しかけて、少しでも威圧感があったりする人には

 何も話せなくなるってんじゃー物売りは、やってけないんで


 でもまあ、中には、いますね

 たとえば、6・7月営業強化月とか言って

 6月20日の翌銀行営業日、今年だと6月22日ですか


 その日までに言いくるめられそうな

 小中学校の同級生を探しておいて、

 強引に買わせるセールスとか


 口喧嘩を売って、相手の頭の中に住み着いて

 ずーっと何かを買わせているセールスを追い出して

 今まで、そのセールスが勧めた商品を買っていた金で

 自分が勧めるように追い込む販売スタイルするのとか


 あーゆー、知人友人契約? あれをやっている物売りが

 嫌でね、私は、やった事ありませんが


 それとか、高齢になって仕事が無くなった知人を

 言いくるめて、営業所の頭数そろえのために

 見習いセールスをやらせて


  自分でも会社の商品を理解するために買え


 とノルマ未達成ペナルティで

 前職の退職金や貯金が無くなるまで

 自社商品を買わせて社内御客様に嵌め込んで


 金が無くなってノルマ未達成だったら

 自動的に販売員資格が喪失ですからねぇ


 後は無くなった金と時間を後悔するだろうけど

 どうやって黙らせて


 貴方も、セールスやってたから、わかるでしょ?

 販売活動に協力してくれない?


 と言いくるめる


 客観的に見ると酷いけれど、嵌め込まれたのは

 何故か気づかないってね・・・不思議でしょ?

 でも、よくある話なんですよ、この商都じゃ


  自分の商売なのに自分で、わかってなくて

  同じ商売をする人に言いくるめられて損をするのは

  未熟な自分が悪い


  悔しかったら、その損をさせた分だけ儲けた

  未熟者を利用する側に、なれば、いいんじゃないのか?


 そういう常識なんでね


 だから、今月も22日の午前中には


  4月度から6月度までの最低ノルマ未達成で

  客にされて金を払う側に嵌め込まれた社内御客様


 が、どの自社商品を買ってノルマの穴埋めをするか

 それを見る事になるワケなんですよね


 いやー、キツイ、ツライ、でも、この商都でしか

 もう生きていけないんで仕方ないんですよね


 会社が売れと言っている商品を売れる優良営業成績者


 内輪で優績者って呼ばれている存在が

 内輪の神で、何をしても正しいって存在ですからなぁ

 ここでは・・・』


「そうですかー、大変なんですねー

 自分とかは、一週間だけいて

 この街からは出ていく存在なんで、よく、わかりませんが

 頑張って、この街で生き残って下さいね」


『はい、また、もし、この街に来る事があったら

 私、この販売会社で働いておりますので』


そう言って名刺を渡してきた


まあ、たぶん、一生

もう二度と会う事は無いだろうけれど

一応は言ってみる


「そうですね、では、また会いましょう」


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