原案
なんか知らんがリハーサルに呼ばれなくなった
農作業用魔物 Aの被り物をして他の役者さんが
セリフを言って立ち回るのを見ているだけなんだから
たしかに当日、行って被っているだけなので
リハーサルにいても、いなくてもいいという
判断が下されたっぽかった
その代わりに、魔物農場の後に
魔物農場の統括者というか
オーガ王国の貴族となって
ある程度の領地を統括するようになった
フジワーラ一族に生まれた
ジロー・フジワーラ
を主人公にした、ほぼ次郎物語パロディな
続編の脚本を書く手伝いをする事になってしまった
確かに子供の頃というか中学校くらいの時に
テレビドラマだの映画だので
ひっきりなしに見た事があった次郎物語の
士族は、公のための存在でなければ、ならぬ
同じ一族とはいえ、甘える事は許さぬ
同じ家族ばかりに眼を向ける事なく生きるのが士族ぞ
という感覚、更に病弱だった実の母親と疎遠だった次郎が
育ての母親に懐くが、実の母親が結核で亡くなる間際に
ようやっと理解しあえるという
当時は良くあった
武士の面目のために家族を蔑ろにしていいから
強く育ち、皆のために生きるのが士族
という風潮を皮肉る部分とかが刺さった事を
言ったのは自分では、あるものの
それを成り上がり魔物一族の家に置き換えて
家族愛って結局は、なんだろうね?
みたいな物語を構成してみるって事になって
それを自分が書く事になるとは思ってもみなかった。
・・・
というワケで初回は、その発端となった
自由連想集会の延長みたいな感じで
とりあえず、なんかアイデアを出せって事で
魔物農場とかの台本を書いた人が
進行役となっての、アイデア会議
「単純に次郎物語パロディじゃなんだから
ステレオタイプな悪役が欲しいよね。なんかない?」
「江戸時代に各藩にいた普請奉行の末裔と
その指示に従って普請忍足や人足を
集めてた口寄せの極悪なの
その仲間な人足棟梁とか
天下普請とか言って江戸幕府がやってたのが
明治政府による公共事業になったとはいえ
同じように農家の次男や三男を
安く使える人足、今の土木作業員として使って
たまたま関わった次郎も
その自分達の世界に引き釣りこもうとする悪役」
「毒が足りないなー、もっと極悪な感じじゃないと」
「いや、だから、そこは人でなしって感じ丸出しに
人足を奴隷のように扱うシーンを足せば
極悪ぶりが出るのでは?
んで、その悪役から次郎が逃れる所までを、1幕
母子の情愛物語な部分を、2幕ってな感じにするとか」
「母子の情愛物語って
今時、それってウケるかな? 無理なんじゃないかな?」
「次郎物語1部の基本テーマは、それって事だけど?」
「んじゃ、基本テーマを変えた方がいいんじゃないかな?
それって難しいし、下手をすると凄く陳腐に成るから」
「そっかなー、直接表現で、母子の情愛を語ると
ちょっと馬鹿げた感じになるかもだけど
間接表現なら、いけるんじゃないかな?」
「いやー間接的にしても
家族愛と思いやりって・・・ケツ痒くなんねぇ?」
「うん、御武家様の強く雄々しい存在感表現に
確かに邪魔だね、うんうん」
・・・
あれや、これやと語る内に時間は過ぎ
その日は終わった。




