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魔物農場 シーン6 管理オーク誕生


毎週月曜日になると穏健派オーガのボビーが

農場外との交渉のために農場を訪れるようになった。


彼は頬ひげを生やし狡猾そうな見かけをしていて

とても小さな取引だけを扱う事務弁護士ではあったが、

魔物農場が必要としている仲介人として有益な存在ということに

農場にいる誰もが想う程には有能だった。


魔物たちは彼が来ると元農場主オーガを連想し

警戒心を抱え、避けていたが


オークのフジワーラが、オーガのボビーに指示する光景は

農場にいる魔物達のプライドを刺激し、

新しい農場運営協力者になんとなく折り合いをつけさせた。


魔物農場の魔物と鬼人との関係は

以前ほど対立的では、なかった。


ただしオーガ街に住む鬼人たちの

魔物農場への差別意識は、

魔物農場が設立された時と比べて変わっておらず

鬼人達は魔物農場を運営する魔物達を

差別される側の存在に戻したがっていた。


鬼人たちは皆、遅かれ早かれ、魔物達が自立して

農場を維持する事は不可能で、農場運営は破綻し


交渉で運営に必要な諸々を調達しても

愚かなオークごときには農場運営は無理で

絶対に破綻するものだろうと思い込んでいた。


街のオーガは酒場に集まって、

あの農場がどうなるかを賭け事の一種として

成立させていた、


一番、多くの鬼人が賭けている魔物農場の未来は


 奴等は内輪もめにより殺し合いを初めて

 3年後までに農場運営は破綻し

 鬼人農場主が農場を買い戻し

 生き残った魔物は奴隷や食用に戻る


という展開であり、


魔物農場が誕生してから3年後に

そうなると予想したオーガに掛け金が分配される

そう思っているオーガが多数派なのだった。


しかし彼らの思惑に反して魔物たちは協力して

魔物農場設立3年を経過しても

内輪もめによる破綻は訪れず


鬼人農場主による支配に戻らず

オークが新しい統治者となって農場運営を継続し

一定の信用と取引関係や利害関係を構築していった。


一つの兆候はオーガ達が魔物農場と

魔物達の主張する名前で呼び始めたことだった。


また元農場主を擁護することもやめたため

彼は農場を取り返す望みをあきらめ

この農業地帯にあるオーガ街からも出て行った。


今のところボビーを通して以外は

魔物農場と外の世界の接触はなかったが


 フジワーラが隣接する農場を運営する農場主と

 事業提携契約を結ぼうとしている


という噂は常にあった。

ただし噂によると契約を結ぶのは


西に隣接する農場か、東に隣接する農場


その、どちらか片方だけという事であった。



魔物農場設立から3年が経過した、その頃

オークたちは元農場主のオーガ屋敷で生活するようになった。


魔物たちは、元農場主の屋敷で鬼人のように生活する事を禁じる

魔物主義による掟を思い出して反対の声を挙げたが、


再びヒデヨッシーがこれは何の問題もないことだ語り

彼らの反感を鎮めるための説明会を開催した。


(ヒデヨッシーと、魔物達が舞台へ登場)


「我々がオーガ屋敷で執務を行う事は

 この農場を運営するために必要なことなのだ。


 我々、オークは農場の頭脳である

 であるからして、農場運営方針を検討する場が必要なのだ


 今まで居住していたオーク小屋ではなく

 オーガ屋敷に住み、そこで検討することは

 指導者の尊厳を考えてみても適切なことなのだ


 それから、我々、いや君たちも


 フジワーラ同志の事を指導者と呼ぶようになったであろう?


 我々にとって重要な存在であり


 オーガ街にいるオーガ達にとっても

 この魔物農場に関する全ての交渉を取り仕切る農場主であり

 我等の指導者である彼には


 外のオーガと会う時には威厳や格式が必要なのだ

 それを示すためにもオーガ屋敷を仕方なく使う事にした


 決して魔物主義による掟を忘れたわけでは無い

 魔物農場を3年前に設立した時の初心を忘れてはいない


 現実に魔物農場を運営するためには必要な事なのだ


 理解してくれるな? 我等のための新常識を?」



と語った。


しかし魔物たちの一部はオークたちが台所で食事をとり

客間を娯楽室として使うだけではなく、

さらにはベッドで眠るということを知って困惑した。


(ペガサス夫婦と娘ペガサス、立ち上がる)


熱狂的なヒデヨッシーの信奉者である雄ペガサスは

いつものように「ヒデヨッシーは常に正しい!」と言ったが


その番である雌ペガサスは


ベッドで眠る事を禁じる掟を憶えていて、

説明会会場である納屋に書かれている

魔物農場の掟を読もうとしたが


結局、自分には3文字の言葉が読めず

理解できない事を自覚すると


彼女は娘であるペガサスに言った。



「私に四つ目の掟を読んでちょうだい。


 ベッドで眠ってはいけない


 というようなことが書かれていない?」



少し苦労しながら娘はそれを読んだ。



「『魔物はベッドで眠ってはならない。シーツを敷いては。』

 と書いてあるわね」



と娘ペガサスは告げた。


奇妙なことに雌ペガサスは四つ目の掟が

シーツに言及していたことを憶えていなかった。

しかし壁にそう書いてある以上、確かにそうだったに違いない。


そのやりとりを目ざとく耳にしたヒデヨッシーは

その疑問に対して答えた。



「ペガサス同志


 君たちは我々オークが

 屋敷のベッドで眠っていることを聞いて

 何故なのかを不思議に感じたのかね?

 そして疑問に思ったのか?


 以前ベッドを禁止する掟が制定されたはず


 オーガのように生活する事は

 全て悪い事と決められたはず


 そう思ったと言うのかね?


 ベッドというのは単に寝る場所を意味するだけだ。

 魔物舎の藁の山も正しくはベッドと見なされるのだ。


 この規則は鬼人の考案したシーツというものを

 使って眠る事を禁止しているんだ。


我々は屋敷のベッドからシーツを取り除き

 毛布にくるまって眠っている。ベッドは非常に快適だ!


 しかし現在、我々オーガがおこなわなければならない

 全ての頭脳労働を勘案すれば快適すぎるということはない


 君達は我々の労働に必要な休息を奪う気ではないだろう?


 君達は我々が果たすべき義務により

 疲れ果ててしまい職務に差し支えが出て

 元農場主が農場を奪還できるような致命的な間違いを

 寝ぼけて実行してしまう事を望んでは、いないだろう?


 まさか、我等オークが間違いを犯し


 元農場主であったオーガが御主人様として戻ってきて

 この魔物農場がオーガ農場101と呼ばれていた


 昔 に 戻 り た い


 などいう馬鹿げた間違った事を考えているのでは


 あ る ま い な ?


 それは我等に対する裏切りであり反逆であり

 魔物農場の掟に反した思想だ

 オーガによって植え付けられた常識は

 全て我等の心の中から消し去らねばならない。よいな?


 わかったか? まだ、わからんのか?


 魔物農場にいる誰もが理解している我等の常識が?


 わからないなどと言うのでは? あ る ま い な ?


 おや? 納得してくれたようですな


 では、説明会を終わるとしよう


 皆の者、農場での担当作業に戻ってくれたまえ」



そしてヒデヨッシーに言いくるめられた雌ペガサスは

疑問を心に抱える事をやめ


農場にいる魔物達全員が

オークたちがオーガ屋敷のベッドで眠ることが

当たり前な事と思うようになり

誰も疑問にすら想わなくなったのであった。


さらに何日後かに、これからオークは他の魔物よりも

朝、一時間遅く起きるという新常識が告知がされたときも

それに対する不満を語る魔物は農場には、いなかった。


・・・・


「えーと、雌ペガサスの役を、やるのはー」


『わたくしで ございますわー』


「いや、前の劇の御嬢様キャラで話さなくていいから

 今回は、奥様ペガサスってか母親ペガサスって設定なんで

 家族のために魔物農場について疑問を抱えるが

 ヒデヨッシーに言いくるめられて黙らされ

 自分なりに考える精神を破壊されていくってなシーン

 なんだよね? わかるかな?」


『はーい、わかって、おりますともー、ほほほー


 いつも通り今まで通りの日常を変えてオークに

 疑問を抱えて元に戻そうと意見を言うけれども


 我等の決定に異を唱えるな黙って従え


 と言われて黙るわけざましょ? わかっておりますわ』


「うん、そうなんだけど、変な特徴的なキャラにしないで

 なるべく普通の、どこにでもいる感じで、よろしくね」


『はーい、わかっておりますーぅ!』


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