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流行


首都に来てからの毎日は

ほぼ、バイトが中心な日々だった


オイルマネーで潤った資源国で戦争が発生した後の好景気


国際為替調整で円高になって

国内で製造して輸出する製造業は

円高不況で打撃を受けたものの


今まで2000万円以上は払わないと

来日してくれなかった外国人タレントが

1000万円代で呼べるようになった事で

首都圏での来日公演が増えた


バイト先は、そういうロックスター来日公演の

機材を運んだり、舞台セットを組み立てたりの

力作業をするためにバイトを集めている

イベント会場設営会社のコンサート会場設営部署


今日は、この会場、明日は、この会場と

地方都市とかだと週末しかないようなイベントが

首都では、ほぼ毎日のように開催されていた


毎日、作業場所に張り付くルーチンワークというものが

必要無い、土地とか会社とかを所有している人が多いからか

人口が多いからイベントを開催すれば集客できるからか。


平日の夜だってのに、残業とかもしないで

夜遊びの入口として、イベント会場に足をはこぶのは

いかにも暇な金持ちって感じや、その子息って感じの人


最新の流行の服を着ていて、流行の化粧とかをして

普段おいしい物を食べていますってな体形な人々


自分みたいに貧乏くさい服を着て

貧相に痩せている人はいない


設営した後、撤収作業をするまで

会場警備って名目で歓声をあげる客席の方を向いて

騒ぐ人々を見ていると、毎晩のように思う。


いつか、自分も、あんな感じで

誰かを働かせている側の人間になりたいな。と


来日する洋楽バンドも、ずいぶんと変わったらしい

イベント設営の社員であるイベンターさんとかが

口癖のように語るのは、こんなセリフ


「数年前までは盛んに来日してた


 フォーク・ロックとか、カントリー・ロックとか

 いうジャンルのバンドが流行遅れになったな


 もう来日しても客が入らない事を理解したからか

 呼ばなくなったな


 まあ、興行スポンサーが、つかないから

 呼ばないんじゃなくて呼べないんだけど。



 パンクとか、ニューウエーブとか

 最近になってからのシンセサイザーソング

 を演奏するバンドとか


 ハード・ロックじゃなくて、ヘヴィーメタル

 って呼ばれるようになった

 32ビートや、16ビートにリズム・トラックに

 ゴッリゴリな感じの歪んだ早弾きギターが乗った音で

 ハイトーン・シャウトなボーカル・トリックて歌う


 ってな ヘビメタ・バンドとか


 数を呼んでいる内に、どれか生き残るだろうって

 数を打ってるよね


 どれが生き残るか、わからないからか


 あーあ、早くイベンターから出世して

 プロモーターに、なって

 イベンターを使う側に、なりたいなぁ」



・・・



首都へと出てきて、暇な時にブラブラしていて

視界に入るのは


 ”ひょうきんに明るく元気良く働く事は素晴らしい”


そんな感じのキャッチフレーズな広告


 テンション高く明るく元気に色んな人を巻き込んで

 楽しい毎日を送れるように毎日を頑張ろう


そんな感覚が賛美されているのが

テレビとか雑誌とかでも眼につく。



 ”暗く自分の世界にこもるオタクにだけは成るな”


  一人よがりに自分世界に閉じこもって

 誰にとっても無意味で面白がっているのは自分だけ

 そんな馬鹿げた事をするのは時間の無駄


と、賛美される感覚を引き立たせるために

否定される10年前の流行


 重厚趣味なテーマの映画とか


 抒情派な歌詞を歌う情念こめた音楽とか


ほとんどが、”暗い流行遅れな過去の遺物”として

批評家がテレビとか雑誌で否定されて

少なくとも自分の視界から消え


 映画からテレビへと乗り換えた製作会社によるドラマとか


 歌詞なんか、どうでもいいって感じの洋楽パクリ楽曲な音楽とか


前時代の感覚からすると


 軽薄に流行へ飛びつきて何も考えずに行動して


 カラ回りしただけで過ぎた 青 春 時 代


そんな感覚が流行していた。


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