第546話 命輝跡王
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アシュリード達が戦っていた裏側、カログリア達との…
ディオス達が、アシュリード達と分断されて、高次元へ昇っていく。
ディオスが艦橋にいる機神型時空要塞戦艦エルディオンと、それに併走していく時空要塞戦艦アヴィシャガンと、時空要塞戦艦・轟天。
この三艦が到達する高次元には、レオニドスとメファノタスの二柱が待ち構えている。
ディオスは渋い顔をしていると、昇っていく途中で、アシュリード達がいる宇宙へ神城が突き刺さる姿を見た。
その神城には、あのカログリア達がいるのも…。
ディオスは後ろを振り向き
「用意はいいか?」
と、二人に語りかける。
その二人とは、ライアーとアルシュである。
アルシュが
「本当にオレは…」
ディオスが
「やって貰うしかない。不安か?」
アルシュは首を横に振って
「いいや…」
と、自分の左手にはまっている指輪を見る。
その指輪は、ディオスから提供されたアースガイヤ製の双極の指輪だ。
そう、アルシュはとある三人と繋がっている。
その三人とは…。
この事態の前にアルシュは、ライアーを伴ってディオスか説明を受けた。
「そんな…不可能だ!」
アルシュは拒否した。
ディオスは真剣な顔で
「そうでなければ…困る」
ライアーは頷き
「確かに、それが道理かもしれん」
アルシュが困惑で
「オレに押しつけているだろうが!」
ディオスが
「君が、この力を…これに至れれば…君の国を、世界を守るに大いに役立つ筈だ。その利益を考えれば…」
アルシュが自分の胸に手を当て
「オレには、そんな才覚なんてない!」
ディオスが
「才覚の話ではない。資質があるか、ないか…。それならある。君にはね。だが、君一人に負担を負わせるのは、些かムリがある。だから…」
と、ディオスは双極の指輪を渡した。
アルシュは渡されて悩み、答えが出なかった。
そして、その気持ちを…彼女達に告げた、というより愚痴ってしまった。
言ってスッキリした後、他の方法を編み出して貰おうとディオスの元へ行こうとしたが、彼女達三人は、アルシュから三つの双極の指輪を取って指に填めた。
驚愕するアルシュに、三人の内の一人、姉に当たる彼女が
「良いじゃない。アタシもアルシュだけに負担を押しつけたくなかったから」
許嫁である彼女が
「私も、ただ、アルシュを待つだけは嫌だから」
そして、友人である彼女は
「まあ、つき合ってあげる。ただし、男としての責任は取ってよね」
結局、ディオスの作戦通りに実行される事になった。
ディオスの機神型時空要塞戦艦エルディオンから、ライアーとキャロルの、ゼウスエフェントリスに乗ってアルシュが、神城へ向かう。
三人が向かう場所は、神城の中核にいるカログリア達だ。
高次元と宇宙との間に浮かぶ宇宙サイズの神城を、超光速で疾走するライアーとキャロルのゼウスエフェントリス。
その肩に乗るアルシュ。
この決着は、彼らでなければならない。
神城は、アシュリード達に集中しているので、カログリア達の元まで容易にたどり着けたが…グゥディオ・ソルを上に掲げる四人の黒き花嫁修道女達は、頭部を覆って隠すブーケを取り素顔を見せる。
その顔は、全員が笑っている。
ライアーが鋭い顔で
「久しぶりだな…」
アルシュはライアーのゼウスエフェントリスから下りて、カログリア達のヴィクティナ、ルーディシア、アルティシミナ、ラティファーナが頭を下げ四人同時に
『お待ちしておりました。今代の方…』
アルシュは四人を見詰めて
「オレがやる事は…」
ヴィクティナは微笑み
「ええ…分かっておりますが。何分…この力は…わたくし達を強制的に守ります。手加減は出来ませんので」
アルシュは、深紅の光を爆発さえ巨竜人になる。
それに呼応して、グゥディオ・ソルが漆黒の光を放ち、その光が竜の顎門になり、アルシュとライアーへ襲いかかる。
アルシュは、深紅の巨竜人の顎門を開いて、襲ってくる霧の竜達を破壊する。
ライアーもゼウスエフェントリスから破壊光線を放って応戦する。
無限に湧き出てくる霧の竜達にアルシュは
「切りが無い」
と、して深紅の巨竜人を変化させる。
翼に特化した深紅の巨竜人に変化させ、特攻と全面攻撃をして、グゥディオ・ソルへ突貫した。
アルシュがグゥディオ・ソルに入ると、ライアーがゼウスエフェントリスで四人のカログリア達に疾走して、巨大な一撃を放つ。
ケンタウロス型機神の一撃が四人に衝突する寸前に、グゥディオ・ソルから放たれる防壁によって防がれる。
ライアーが
「キサマ等は…そうやってノウノウと生きて…所詮は、相手を食い殺す獣だな!」
ルーディシアが悲しげな顔で
「獣だったらまだ、良かった。私達は最愛の人を食い殺して生きながらえるバケモノになった。自ら死ぬ事が出来ない哀れな存在。永遠に後悔と懺悔を繰り返す。
あの時、どうして…貴方の忠告を重く受け止めなかったのか…。
死にたいほどの絶望が私達を満たしているのよ」
アルシュは、グゥディオ・ソルの中を進む。
それは前進しているのか?落ちているのか?分からないが、とにかく進んでいる無限迷宮のようなトンネル。
こんな無限に続くトンネルの中でも、アルシュには不安はない。なぜなら
『ほら、しっかりとする』
と、アルシュの右後ろに姉のアルテナ
『大丈夫。私達がいるから』
と、背中に許嫁のルシェル
『心配する必要はないわ。私達がいるから』
と、友人から許嫁になったクレティア
その三人が繋がった証の光の残像が、アルシュの背中にある。
そう、一人ではない。その繋がりがアルシュを、この永劫と続く無限トンネル迷宮での不安を消してくれる。
そして、無限トンネル迷宮の風景が変わる。
それは、四人の彼女達、カログリアとなった者達の後悔の瞬間だ。
世界が、ワールストリアが争いに包まれ、何とかしようと力を求めた。
その時、共にあった伴侶、アルシュと同じ超越位の者の力を引き出す実験をしてしまった。
その瞬間瞬間に、ライアーがいて、ライアーが…シンタロウが必死に止めるも、実行されて失敗、世界に大きな災厄をもたらし、そして…実験に参加した四人は、どの時代でも死んでしまった。
その後、彼女達は必死に国を立て直し、自死したが…実験の際に連結された事で、伴侶で実験体にされた彼らの魂と繋がり、超越の力を放つシステムになった。
それを何とかしようと奔走する課程で、ホーリートライアングルのアルダ・メルキオールに遭遇、アルダ・メルキオールが自分の為に超越の力を提供する見返りに、必ず融合した超越者達の魂を解放する…と。
アルシュは、無限のようなトンネルの先に、それを発見した。
同じ超越である事と、心を繋げた彼女達との輪によって、そこまで到達できた。
煮えたぎる黒い塊、その中心には、あの犠牲になった超越の四人が固まっている。
グゥディオ・ソルの核に到達したアルシュは、その核に触れる。
四人の意識が流れてくる。
荒廃する世界、争いが頻発して死者が増える時代、彼らは自分より大切な伴侶の彼女達を守る為に、世界を救う為に…身を捧げた筈だった。
だが、それが失敗して、このように汚泥のごとく固まっても、大切な己の伴侶を守る為に、彼女達と繋がった。
死して戻る事がない彼ら超越の四人は、彼女達に幸せになって欲しかった。
なのに、彼女達は自死した。自らの行いに悔いて。
自死した彼女達を見て、汚泥のごとくなった超越の彼は、彼女達を救う為に、こんな無様になっても守ろうとした。
その結果がこれだ。夫達に地獄の贈った妻達は、自ら夫のいる冥府へ堕ちる為に自死したのに、冥府の底にいる夫達は…妻達を救う為に冥府から彼女達を持ち上げている。
死を望む死者、死からの浮上を望む死者。
この矛盾がカログリアの正体だった。
これを何とかする為には…アルシュは溜息を漏らす。
ディオスが言っていた。
”アルシュ君、君が…カログリアの超越の力をブースターにして、アシュリード君のように至る事だ”
癪だが、ディオスの言葉の通りだ。
アルシュは、意識を集中させる。
このグゥディオ・ソルの核の核、四つの超越が合わさった超高密度の超越に手を伸ばして掴む。
「ぐ、ううう、何て…」
アルシュに凄まじい超越の力が注ぎ込まれる。
意識が飛びそうになるが
「ガンバ!」とアルテナ
「大丈夫よ」とルシェル
「アンタ一人じゃあない」とクレティア
三人が支えて、アルシュを持ちこたえさせる。
そして、アルシュの目の前が変化する。
一気に黄金の領域へ入り、足下には砂粒のように小さくなった無限の数の宇宙達があった。
そして、アルシュの目の前には、極天の誉れの光の彼女と、大いなる父母の陰陽がいた。
その極天の三つが微笑み。
アルシュが命輝跡王へ至った。
グゥディオ・ソルが砕けて閃光に変わった。
グゥディオ・ソルが終わった。
解放された四つの彼らが、各々の伴侶の前に来ると、彼女達は涙して微笑み。
お互いに抱き合う。
黒い花嫁修道女達は、純白へ変貌して、迎えに来てくれた自らの伴侶と共に、光となって消えて行く。
昇華して消える彼らを前にするアルシュと、ライアーにキャロル。
ヴィクティナがアルシュへ
「ありがとう…」
と、感謝を告げた後、全員が昇天して消えた。
今度こそ…道を間違えず共に生きる輪廻の先へ…。
ライアーが
「勝手にスッキリして…」
と、何処か不満げだ
アルシュは、命輝跡王となり、五つの光の龍を背負い纏っている。
そして、遙か高次元を見上げ
「ディオス達は…?」
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