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天元突破の超越達〜鉄拳の女王〜  作者: 赤地鎌
ゼーレ・ヴィアジャル(魂の旅路)
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第540話 リザーナの願い

次話を読んでいただきありがとうございます。

よろしくお願いします。


ロゴスリアの胎中、錯綜する者達、そこにはロゴスリアであるリザーナの…

 アンティークの電話機の受話器から、アヌンナキの一柱が告げる。

「この胎中から脱出するには、この孤児院教会の地下にある棺を開ければいい」


 ディオスが鋭い顔で

「信用できない」


 受話器の向こうのアヌンナキが

「この胎中は、彼女…ロゴスリアの後悔で出来ている。彼女…リザーナ・ブレンザは…レオニドスとメファノタスが戦士として戦っていた宇宙で孤児院を運営しながら、その適性がある子供達を戦場へ送っていた。

 要するにだ…命を育みつつ、命を消費する事をしていたのさ。その証拠が地下にある。彼女達が派遣する宇宙軍と繋がっていた端末が、そこにあり、それを開示させるという事は、この胎中の真実を突き付ける」


 アルシュが

「なるほど、つまり自分の見たくない秘部を曝した事で…」


 受話器のアヌンナキは

「一気に瓦解して、この胎中に取り込まれた者達も一緒に、吐き出されて解放される。そういう事だ」


 ディオスが鋭い顔のまま

「それがお前にとって何の得があるんだ?」


 受話器のアヌンナキが

「君達がこのまま胎中に居続ける事は、アルダ・メルキオールの進化にとって非常に都合が悪い。我らアヌンナキは、完璧なるモノ、ホモデウス(神人)だ。不完全な要素は排除したい。そういう事だ」


 ディオス達は信じられないで黙っている。

 だが、受話器のアヌンナキは

「じゃあ、直ぐに戻る事を待っているよ」

と、アンティークの電話機が空間に溶けるように消えた。


 ディオスは、アルシュと視線を合わせる。

 お互いに信じられないという顔だ。


 雷御は眉間を寄せて、それを隣にいる奏が見詰めていた。


 デウスエクスの女神達のリュシュオルが

「とにかく、地下へ…行ってみましょう」



 そうして、一同は地下室へ向かう階段を下りて地下へ入ると、食料や日用品を収納した棚達があり、アルシュが

「棺なんて無いじゃあないか」


 ディオスがとある場所を示し

「あそこ…」

と、とあるドアを指さす。

 そこには、十字架を抱えたリザーナの絵が描かれたドアがあった。


 ディオス、アルシュは視線を交差させ、雷御と奏は黙って見詰め、デウスエクスの女神達のリュシュオル・ユティス・イエツァ・マレーナの四人とアシュリードは、そのドアを見詰める。


 ユティスが

「リザーは、前に言っていたわ。わたしは、背負いきれない罪を抱えている…と」


 背負えないから、抱えて涙するしかない。

 それを示しているドアに一同が沈黙すると、アルシュが

「とにかく、確認だけでも…」

と、ドアを押す。


 そして、その部屋は…本棚があり、中央に棺が置かれている。


 あのアンティークの電話機のアヌンナキの通りに、その棺があった。


 全員が動きを止めている背中に

「おい」

と、ライアーがキャロルを伴って現れライアーが

「こんなモノを入手したぞ」

と、一冊の本をディオスへ投げた。

 

 ディオスは受け取り、本を開くとそこには

「な…んだ…と」


 その本には、生体と兵器を繋げた設計図に、それに組み込まれたであろう人物のデータも記載されている。


 キャロルが

「一応は、あの電話機野郎が言った事には筋が通っているようだ」


 全員、棺の事は保留にして、孤児院の教会を徹底的に調べる事にした。


 ディオスは、アルシュにライアーとキャロルを伴ってアシュリードを発見した透明な上層階へ行く。


 アルシュが

「つまり、このクリスタルの骸骨四体は、ディオスとライアー達が戦っていたデウスエクスの戦神達だと…」


 ディオスが頷き

「間違いないと思う」


 ライアーが

「ディオスの仮説通り、我々が残ったのは、アシュリード君からの力のフィードバックが大きかったから、なのは納得できるが…では、コイツ等がこうなっている理由に当てはまらないぞ」


 ディオスが

「そう、コイツ等も同じデウスエクスなら、影響されない筈だ。だから…別の仮説を考えるしかない」


 アルシュが顎を摩り

「別の仮説か…。どこを手がかりにすれば…」


 キャロルが

「ワールストリアのアルシュ皇帝」

と、アルシュを正式名称で呼び

「この胎中を作った女は、こうなる前に何を言っていた?」


 アルシュが記憶を遡り

「確か…頭が良いヤツは、直ぐに真実に到達するとか、真実なんて知らない方が楽とか…何とか…」


 キャロルは考えて

「真実なんて知らない方が楽か…。つまり、逆の捉え方をするれば、楽ではない真実を知っている…」


 ディオス、アルシュ、ライアーは視線を交差させ、ディオスが

「楽ではない、つまり、知っていた。真実を…」


 アルシュが

「この胎中を作ったロゴスリアは、アシュリードが…そういう事だと知っていた」


 ライアーが

「だから、この胎中を…」


 ディオスが驚愕の顔を押さえ

「確か、雷御は…ここの事を詳しかったよなぁ…」


 アルシュも驚愕した顔で

「雷御は神人、デウスエクスは…人神…」


 キャロルが

「また、お前達だけの納得か?」



 雷御は一人、孤児院の外にあるベンチに座っていた。

 そこへ奏が来て

「じゅーくん…ここは…もしかして…私の充座システムと似ている?」


 雷御は無言だ。


 奏にその意味は無い。雷御と奏は表裏一体なのだから。

 奏は雷御の内側にある真実を知って

「そうか…でも、それを選択するのは…あの人達だから」



 アシュリードは、リュシュオル・ユティス・イエツァ・マレーナ達と共に、この孤児院の教会を回っていると、リザーナを見つけた。


 リザーナは外にいて、空を見上げいる。

 その方向は、ディオス達が歩いて来た修羅地獄の方角だ。


 ユティスが近づき

「何を見ているんですか?」


 リザーナは視線を向けたまま

「私は、自分のやっている事を理解しています。戦場へ子供達を送り出し…そして…」


 え?と全員が戸惑う。

 見たくないからこそ、このような歪な事になっていると…そう思っていたが…。


 リザーナが目を閉じて

「わたしは、誰もが安心して翼を休める家になろうと思いました。でも、結局は…賢母という、聖母という言葉に、酔い痴れていただけなのです」

と、告げてリザーナは、アシュリード達五人に振り向き

「ユティス、私から繋がる系譜…。

 リュシュオル…私の親友に繋がる系譜…。

 イエツァ、新たな世界で生まれた系譜…。

 マレーナ…多くの流れ着いた者達の系譜…。

 アシュリード、あの人の魂に通じる、もう一人のあの人」

と、五人に微笑み

「命とは、繋がり紡ぎ合い、繋がっていくモノ。完璧なるモノ(アヌンナキ)は、アルダ・メルキオールは命ではない。命が間違って積層したシステム。

 私達は、人神…デウスエクス、命と神が繋がった者。

 御方を本当の姿に戻してあげて…」

と、微笑み、光の塊をユティスへ渡した次に、リザーナは消えた。


「これは…」

と、ユティスが光の塊を皆の元へ持ってくると、その光が教えてくれた。

光が告げるべき事を言い終えて消えるとアシュリードが

「良いのかい? これをするという事は…」


 デウスエクスの女神達は目を閉じた次に、リュシュオルが

「いずれは、私達で立たなければ、いけない時が来た。そういう事よ」


 ユティスとマレーナにイエツァは頷き、マレーナが

「行こう。雷御 充現の所へ」



 雷御は奏を隣にベンチに座っていると、そこへ

「雷御さん!」

と、アシュリード達が来た


 アシュリードが

「雷御さん。いえ、サタンヴァルデウス。貴方にお願いがあります」


 雷御が渋い顔をしていると…。


 ジリリリリリリリリリリ


 全員の前にあの、アヌンナキのアンティークの電話機が出現し、受話器が上がって

「契約を破棄するのかい? サタンヴァルデウス…雷御 充現」

と、鋭いアヌンナキの声が響く。

「君が裏切れば、君の大切に思う者達に、君の因果が襲いかかるぞ」


 雷御は苦悶の表情をしていると、奏が立ち上がって

「馬鹿にしないで! それほど、私達は弱くない!」


 そこへ「見つけた!」とディオス達が来た。


 雷御達がアシュリード達と揃っているのを見て、ディオスが

「おおよそ、事態が動いたんだな」


 アシュリードは頷き

「はい。願いを受け取りましたから…」


 受話器のアヌンナキが

「再度、聞く。雷御 充現、契約を破棄するのか?」


 そこへ

「ガタガタとうるせぇなぁ…」

と、スコルピオンが来て

「待ちくたびれて、来ちまったぜ」


 受話器のアヌンナキが

「わたしは、雷御 充現と」


「うるせぇ!って言ってんだよ!」

と、スコルピオンが告げ

「オレ達は、雷御が引き寄せる因果に負ける程、ヤワじゃあねぇ! そうだろう。皇帝様、ああ…雷御の嫁さん?」

と、アルシュに奏を見て、奏が

「はい、その通りです!」


 アルシュがフッと笑み

「その通りだ」


 雷御が立ち上がり

「ここでオレのサタンヴァルデットを発動、この胎中に存在する罪、修羅地獄を喰らい尽くす。そして、裸になった胎中の特異点、曼荼羅の中心が彼を…アシュリードをデウスエクスに変える」


 ユティスが

「それが、リザーナの願い」


 イエツァが

「リザーナは、本当の愛の居場所を…」


 マレーナが

「私達も、同じ願いです。あの人に、御方に繋がりの居場所を」


 リュシュオルが

「アルダ・メルキオールがアヌンナキでない、デウスエクス…人神にして、繋がりある命とする為に」


 受話器のアヌンナキが

「一つ忠告を」


 雷御が

「いちいち、お前はウルサい!」

と、雷御の背から無数の喰手触手群が伸びて、修羅地獄を喰らい尽くす。


 消えて行く自分の胎中を見詰めるリザーナは、優しい顔をしている。

 そして、その背に呼びかける人物達がいた。

 リザーナは振り向くと、そこには…子供達と、同じく共にした仲間の女性達がいた。

 リザーナは涙して

「ごめんね。遅くなってしまって」

と、子供達を抱きしめて、皆が来た光の先へ向かう。

 その光を開いているのは、極天の大いなる双極の父母だった。


 リザーナ…デウスエクスになって、数え切れない程の罪の贖罪をしてきた。

 だが、全ては帳消しになる事は無い。

 だからこそ、苦悩して悩み、それでも前に進んできた。

 その終演は、リザーナが会いたかった子供達と、仲間の彼女達のお迎えだった。


 急速に崩壊する胎中。

 その中で、ディオスは…リザーナが多くの子供達と、彼女の仲間達と共に光の先へ帰っていくのを見た。


 そして、別の場所から、エレンティア…レーヴァティンが

「リザー。お前は馬鹿だ」

 そこへリザーナの

”何時か、貴女も分かるわ…”

と、囁いた。

 レーヴァティンは、葉巻を咥えて「フン」と唸った。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

ありがとうございます。

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