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青い空を見た  作者: 原西夏生


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5/8

第5話 新人戦 フィニッシュ

私たちの水域では、オリンピックコースで競技が行われる。

直径2.0km前後の円周に「風上(カミ)」「左(フリー)サイド」「風下(シモ)」のマークボートが配置される。

スタート地点は、その中心に設定される。

スタート→上→フリ→下→上→下と周回し、スタート地点と同じ位置でフィニッシュする。

競技時間は、60分前後となる。

最後の風上(カミ)マークをトップで回航(奇跡的!)すると、難敵が追い付いてきた。

某国立大学チームのTだ。


同じ浜に艇庫を持つクラブ同士でも、皆ライバル関係にある。

普段は、他校との交わりも少なく、それぞれが自分たちの世界で過ごしている。

レース中に時折顔を合わせるTが、何を考えているのかは皆目わからない。

何だか陰険な印象だ。

ただ、この連中はたしかに頭がよい。

いつまでも練習海面にしがみついている、根性優先の某大学とは違い、短時間でさっさと練習を終える。

それでいて強い。もちろん1部リーグ校。

クソクラエ!


いろいろと仕掛けてくるが、なんとか躱(かわ)して風下(シモ)マークを回航し、フィニッシュラインに向かう。

当然、また仕掛けてくる。

それにしても、なんで艇速があがらないんだ?

イライラ焦るが我慢のしどころ。

最後まで有利位置をキープし、相手を抑え込んでトップでフィニッシュした。

初めて聞いたトップホーン。


勝ったな。。。

何だか、勝利の方程式が見えた気がした。


浜に帰ると、下級生達が艇を受け止めるため出迎えてくれる。

中の1人が、私のクルーに「どうだった?」と聞いた。

クルーは偉そうに「トップや」と答えた。

部員の目がまん丸になった。

人は驚くと、あんなに目が大きくなるんだと妙に感心した。

<参考>

・フィニッシュ:

セーリング競技規則では、ゴールではなくフィニッシュと定義される。

→ 選手たちは、短くゴールと呼ぶことも多い。

トップホーンを聞くことは、選手にとって名誉で、何より嬉しい瞬間である。


<用語>

・トップホーン:1位の艇がフィニッシュした時に鳴らされるホーン

・ラストホーン:最下位がフィニッシュした時のホーン

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