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青い空を見た  作者: 原西夏生


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3/8

第3話 群れから抜け出る

ヨットレースでは、風位(ふうい)に正対して2艇のマークボートを並列にアンカリングし、両艇のマスト見通し線がスタートラインとなる。

右手側が本部船(風上位置という)、左手側が外側(がいそく)(風下位置)となる。

左右どちらからスタートしても理論上の優位性は同じである。


運営上は、両位置同条件に設定されるが、風位は常に安定しているわけでもない。

風位によって風上絶対有利となると、本部船側に艇が集中して混乱を来すことになる。

そのため、レースではラインを長く使えるよう、微妙に風下有利とすることが多い。

運営委員の腕の見せ所といったところか。

スタート前には、第1回航マーク(風上マーク)の位置と風位を見極めなければならない。

私の考えた作戦は、「群れを抜け出て、単独で行動する」であった。

一匹狼で、フレッシュエアを最も受けやすいスタート位置を狙う。

集団の頭を抑える、風下1番 (シモイチ)スタートだ。

リコールすれば、全艇(権利艇)を避けての再スタートとなり、ドンケツスタートのリスクを負う。


インカレが終わり、4年生が引退して私たちが最上級生となった。

私たちの水域では、大きな大会は年に2回ある。

6月に開催されるインカレが最重要の大会となる。

1部から3部リーグまであり、2・3部の上位2校が上部リーグの入れ替え戦に出場できる。

1・2部の下位2校は下部リーグに転落となる。

各校3艇がチームとして出場し、その総合成績で順位が決まる。


次に、秋に開催される新人戦がある。

これはリーグに所属する全チームが参加するオープン戦となる。

参加艇数が多くなるため、インカレと異なり2艇がチームとして出場する。

リーグ順位の入れ替えはなく、新チームの実力テストといった位置づけである。


私は、この新人戦で「一匹狼シモイチ作戦」にトライすることにした。

後のない私にとって、試す機会はもうこの大会しかない。

果たして、成功するや否や。

やるっきゃない・・・

<用語>

・アンカリング:錨打(びょうう)ち

・外側(がいそく):スタートライン風下側マークボート

・リコール:早すぎるスタートを切ってしまうこと(同 フライング)

・権利艇:進路の優先権を持つ艇

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