第2話 イワシの群れ
イワシは弱い魚であるため、数を頼みに身を守る。
自身が狙われる確率が減るからといわれている。
数千匹(時に何万匹)もの丸いボールのような群れとなる。
ところが、大きな魚にとっては格好のエサ場となるため、次から次へと襲われることになる。
ボールは少しずつ小さくなっていく。
次にやってくるのはサメやイルカで、ボールはさらに小さくなる。
最後にクジラが下から大口を開けて、ボールを丸ごと飲み込んでしまう。
・・・それでも生き残る個体はあるという。
ヨットレースのスタートラインでは各艇が密集し群れとなる。
最も大切なことは、フレッシュエアを受けて、マックススピードでスタートすることである。
トップフィニッシュを狙うスキッパーは、この位置取りが優れている。
密集集団の中の風は、風上艇のセイルによって、風位が乱れている。
その上、風力も極端に妨げられてしまう。
飛行機なら失速寸前の状態である。
ちなみに、セイルの機能原理は、飛行機の翼を縦にしたものと考えて差し支えない。
さらに、風上マークまでに多くの先行艇が存在するため、自由に針路を決めることもできない。
順位はどんどん落ちていく。
3年生の私のスタート位置は、正にイワシの群れの中に埋もれていたのだ。
なぜか?
みんなでいればこわくない。。。
まさに、この心理が働いていた。
それは、上位でフィニッシュすることなど、決してできない位置取りであった。
<用語>
・フレッシュエア:乱されていない風
・風位:風が吹いてくる方向




