表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/82

第13話 幕間

 王都。

 蒼天の天秤騎士団が有する、広大な修練場。

 クリスは返り血で頬を汚し、感情の消え失せた冷たい瞳で、対峙する屈強な騎士や魔物たちを次々と地に沈めていた。

 圧倒的な無双ぶりを見せつけているのは、彼だけではない。

 巨大な大剣で訓練用のゴーレムを粉砕するシグマ。

 規格外の破壊魔術で標的を周囲の地面ごと吹き飛ばすクロエ。

 そしてオメガとノアもまた、他の受験者たちとは次元の違う動きで、立ちはだかる試練を蹂躙していく。

 かつて冒険者の頂点にまで登り詰めた【正義の剣】のメンバーたちにとって、騎士団の過酷な入団試験すら、もはやただの作業に過ぎなかった。

 その日の深夜。

 薄暗い兵舎のベッドの上で、クリスは一人、窓から舞い込んだ小さな羊皮紙を強く握りしめていた。

 マリーの美しい筆跡で書かれた、たった数行の報告。

 それを指先でそっとなぞり、クリスは小さく、震える息を吐き出す。

「……よかった。本当に……よかった……セラっ」

 昼間、修羅のごとく冷酷に剣を振るっていた男の目から、ポロポロと大粒の涙がこぼれ落ち、羊皮紙を濡らしていく。

 それは、自分自身の手によって深く傷つけ、追い出してしまった愛する親友が、ようやく救われたことへの、魂の底からの安堵の涙だった。

 誰かを守るために、自ら深い闇へと堕ちていく若きリーダーは、誰にも見られない暗闇の中だけで、ただ静かに泣き続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ