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風吹の部屋に入るのは小学生の時以来だった。
「何か荷物全然ないね。」
「高校上がる時に要らない物は全部片付けたから」
「そっかぁ。」
2人掛け位のソファに風吹が座った。
「羽留こっち来て」
風吹の隣りに座ろうと思ったら手を引っ張られて膝の太ももの上に座ってしまった。
「ごめ…。」
言い終わる前に風吹に後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「何で……高校の事言ってくれなかったの?」
「ごめん……中々言いずらくて」
「俺、羽留が二人であの高校行きたいって言ってたから受けたのに……」
「そうだったの?!ごめん。」
確かに小学生の時にあの高校の制服を風吹とお揃いできたいって言った事がある。
帰りに一緒にデートしたいとも言ってた。
風吹は忘れてると思ってたのに……
「そうだ!お誕生日おめでとう!風吹。プレゼントだよ」
話を逸らしてプレゼントを渡す。
一旦降りようと思ったけど、風吹の腕がしっかり私の体を包んでいたので降りれなかった。風吹の顔を見る。
「うん?どうした?」と笑顔で言われた。
「ううん。風吹の顔ちゃんと見たいなあって思って」と誤魔化してみる。
「分かった」っと言った瞬間横向きに向かされただけだった。
降りて、隣に座ろうと思ったのに……そんな私の事お構い無しに風吹がプレゼントを見ている。
「このタオル使いやすそう。リストバンドも助かる!」
「良かった。凄い悩んだ甲斐があったよ。」
良かった。喜んでる!
風吹凄く嬉しそう。
次に私の作った服を見ている。
「この服、どこの?見た事ないロゴ入ってる」
私の名前にちなんだ羽の絵の中にRが入っているロゴだ。
「気に入らなかった?」
風吹が部活でも着れるように吸収、速乾効果のある生地で作った物と普段着で着れるようなTシャツの2枚をプレゼントした。
「いや。凄いかっこいいから他にも欲しいなって思って」
「そっかぁ。ありがとう!!実は私がデザインして作ったの」
「ええ?羽留が作ったの、これ!すっごい上手じゃん。」
「一応被服コースですから。でも縫い目もまだ少し荒いから売り物には出来ないけど、私の初めてのデザインした、服は風吹にあげたかったから……」
「ありがとう。大切に着るよ」
お互いずっと見つめていた。
今しかないと思った。
「風吹……あの……私……」私の口の前に風吹が人差し指をおいた。
「羽留、待って、俺か」
プルルル……携帯がなる。
「先に出ていいよ」
風吹が笑顔でいう。
胸の高鳴りを抑えながらでる。
「もしもし」
間違ってスピーカーにしていたため相手の子の声が凄く大きく私は耳から外した。
まだ風吹の太ももの上に座っていた。風吹は私を後ろから抱きしめて肩の上に顎をのせていた。
「ごめん!はぁちゃん!夜遅くに!今度遊ぶ日程を決めたくてさあ。蓮と大誠は3日~5日ならOKなんだけど、はぁちゃんはいつなら大丈夫?」
「3日にそっちに戻るから、4日か5日が嬉しいかな。優くんに任せっぱなしでごめんね」
「全然いいよ!お礼はスタバでいいから。また決まったらLINEするから!それじゃごめんね!おやすみ」
「おやすみZZ」
電話を切って風吹の方に振り返る。
風吹が機嫌悪そうな顔をしている。
もしかして?ヤキモチ?ちょっと嬉しいかも……
「あの……ふ」
「いつも遊んでるの?」
「え?いつもじゃないよ。さっき電話くれた優くんと後、大ちゃん、蓮くん、晶ちゃん、菜那ちゃん、私で1つのグループなのペアでする課題もあるけど、グループでする課題もあるから一緒に行動する事があるかな」
「ふーん。楽しそうだね。てか、羽留、喋ってて凄い嬉しそうだったね。笑顔だったし、俺と喋る声よりもワントーン高かったし。」
「そんな事ないよ!風吹の勘違いだよ。」
「違う……その3人の男の中で好きな奴でもいるの?」
「いないよ……」
「ふーん」
どうしよう。告白しようと思ってたのに……
雰囲気がどんどん悪くなってきた。
「風吹だって……藍良ちゃんの事好きじゃん。」
私のバカバカ!!告白しようと思ったのになんでここで藍良ちゃんの話し出しちゃったの!
そうだよって言われたら……告白する勇気無くなっちゃう。
「なんでここで林さんが出てくるんだよ?今は、羽留の好きな男の話だろ?話逸らすなよ。」
なぜか凄く怒ってる。
なんで?
自分の事は聞いて来るなって事?
「だから、何もないよ!優くんも大ちゃんも蓮くんも仲の良い男友達です。3人に限らず男女皆仲いいから」
「あっそう。4月に電話した時も思ったけど普通あんなに仲良く電話なんてしないだろ?好きじゃない限り」
「だから。違うよ!風吹はそうでも皆、そんな事ないよ!」
「羽留は鈍感だから気づかないだけじゃないか?」
なんで?
もしかして風吹ってヤキモチ妬いてるのかなって思ったんだけど、これは幼なじみとして付き合った事のない私を心配してるだけ?
自分は彼女できて恋愛初心者でもないから?
何か切なくなってきた。
振られてもいいって思ってたけど、何か告白することが惨めに思えてきた。
「心配してくれてありがとう。でも本当に大丈夫だから、ほら!コレ見てよ。こんな感じで作業したりしてるんだから!」
風吹に画面を見せる。風吹の顔から殺気が……
何で?って思って画面を見ると大ちゃんが後ろから私に抱きついているように見える写メだった。
実際には私の背中のサイズを測っているだけなんだけど、風吹には抱きついてる様に見えたのかも……
「我慢しようと思ったけど……もう無理」
風吹が低い声で言う。
え?っていう前にぐるっと体が回転し風吹にキスをされていた。
激しくて、息が出来ない。
「ふ……ふぶ、うぷっ」
またキスされる。風吹が息継ぎする為に離れただけだった。
酸欠で頭が回らない。
どういうこと?風吹は藍良ちゃんと付き合ってるのにキスしてきて。
風吹は浮気してるって事?
次の息継ぎのタイミングで思わず言っちゃった。
「か……いるの……に……だめ」
風吹の顔が険しくなる。
「やっぱり付き合ってるんじゃん。」
藍良ちゃんとの付き合ってるって事?でもその言い方だと風吹の事じゃないの?
私は彼女いるのにだめって言いたかっただけ。
「羽留。だめだよ。他の男と付き合うなんて。絶対許さないから」
もう私の知ってるキスじゃない。風吹の舌も入ってきて私の舌も吸われたり絡まされたりして激しくなる。
付き合ってないって言いたいのに……私が話そうとするだびに風吹からのキスも激しくなる。
もう本当に息できなくて無理。
唇が離れて強く抱きしめられる。
私の頬に温かいものが……
風吹を見ると泣いていた。
私は風吹の涙をハンカチで拭くけど止まらなかった。
風吹の目元にキスをする。
「風吹、泣かないで、私が好きなのは風吹だよ。誰とも付き合ってないよ。」
ぎゅっと抱きしめた。
時間が経つにつれて恥ずかしくて顔が赤くなる。
「本当に?俺たち両想いじゃん」
え?
両想いって言った?それって風吹は藍良ちゃんとは付き合ってないって事?
「私を風吹の彼女にしてくれる?」と言って風吹のほっぺたにキスをした。
「うん。俺の彼女になって欲しい。俺も羽留の彼氏になりたい。だめ?」
嬉しくて頭の中ハートでいっぱいになる。
「ダメじゃない。嬉しい。もう1回キスしてもいい?」
「いいよ。」
今度は激しくなく、ソフトなキスを、唇、おでこや頬や首にする。
「風吹?」
「うん?」
「本当に私の事好きなの?」
「大好きだよ。本当は入学式前に告白したかったんだけど、羽留、おばあちゃんの家に行って帰って来なかったから。でも入学したら同じ高校だから会えるしチャンスはあると思ってたんだ。なのに入学式に羽留はいないし、違う高校だし、しかも遠いから毎日会えないし……毎日辛かった。電話に他の男の声が聞こえてきてさっきも嫉妬で狂いそうだった。羽留は可愛いから他の男に取られないか気が気でなかったんだ。さっきの写メでもう無理だった」
「でも!ずっと風吹、藍良ちゃんを見てたじゃん!」
「俺が林さんを?」
風吹はそんな事あったかって言わんばかりの顔をしている。
私の勘違い?
みんな好きだと思ってたよ。
でも風吹は大好きって言ってくれたしいいか。
「俺も電話かかってきた」
発信者は加藤純一くん。小学生から仲のいい友達だった。
「出てもいいよ。」
私の頬にキスをして抱きしめながら電話に出た。




