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第2話 海上自衛隊機動部隊



 海上自衛隊自衛艦隊の下は3個水上戦群がある。


 第1水上戦群は横須賀、第2水上戦群は呉、第3水上戦群は舞鶴にそれぞれ配備されている。


 このうち第1水上戦群と第2水上戦群旗艦にはそれぞれ航空機搭載護衛艦(DDV)『やましろ』級が配備されていた。


『やましろ』級は全長320メートル、全幅90メートルの広大な全通甲板をもち。右舷中央部にミニイージスをもった艦橋を配置している。


 搭載機数は60機。うち、F35C戦闘機を40機搭載するようになっている。




 すべては十数年前、合衆国第一主義を掲げるシルヴァーランドが大統領になってからだった。

 孤立主義を深め、その一環として、世界中に駐留する合衆国軍を大きく撤退させることになった。


 日本の安全保障として由々しき事態となった。横田と横須賀は管理部隊のみ残され、沖縄の駐留戦力は半減した。


 日本は日本人自らの手で守り抜く必要が出てきた。


 日本の軍備は強化された。そのなかで『やましろ』級DDVは誕生した。


『やましろ』は同型艦『しなの』『はりま』とともに、事実上空母として東アジアの安全保障、ひいてはインド太平洋地域の安全保障の一員としての役割を持っていた。




 その『やましろ』は母港横須賀から出向し、今、僚艦を引き連れて、四国沖にいた。


『やましろ』に艦載されていた第101航空群のF35Cが次々と発艦していく。


 これより空対空模擬戦闘が実施される。対戦相手は宮城県新田原基地に進出した航空自衛隊航空戦術教導団飛行教導群アグレッサー。機種はF35B。


『こちら、クロノワ01』


 第101飛行群、第101戦闘航空隊の長峰二佐搭乗のF35C戦闘機がレーダー上に敵航空部隊を捉えた。

 後続の飛行機も徐々に捉えつつある。


『こちらレーダーで敵機を捉えた。AIM260を全機撃ったあと散開せよ』


 各機より了解の返答あり。

 AIM260はF35でも最大の射程をもつミサイルだ。もちろん、演習なのであくまで演習上で、撃ったつもりだが。


 しかし敵の動きの方が早かった。全機ミサイル発射。

 クロノワ全機は散開し、ミサイル回避行動をとる。

 

 敵機を確認。後方につき、ロックオン。


『クロノワ05、敵機撃墜! 敵機撃墜!』


 クロノワ05はいち早く敵編隊に飛び込み。格闘戦を仕掛けた。

 この空戦だけで2機撃墜している。


「三橋のヤロー、早速かっ飛ばしてるな」


 長峰隊長は誰にも聞こえないようにぼやいた。


 


 クロノワにはもう一人エースパイロットがいる。


「くそっ、小癪だな」


 迷彩塗装のあるアグレッサーが操縦桿を握りながら、クロノワ05らしき機影をレーダーと肉眼で確認する。


 あの小癪なやつを落とせば……


 警報が鳴った。被撃墜判定。


「なに!?」


 横を敵機が高速ですり抜けていく。クロノワ09。やはり第101戦闘飛行隊のエースだった。




 最終的な戦闘結果


 第101戦闘航空隊 12機 撃墜


 教導航空群 18機 撃墜


 第101戦闘航空隊の勝利




 F35C戦闘機が次々と着艦していく。


 着艦し、誘導されて、甲板から格納庫の巨大エレベーターに乗って、下部の格納庫に下りていく。


 エレベーターから駐機地点に誘導される。


 コクピットが開き、クロノワ05の三橋健司一等海尉が降り立つ。

 快活そうで、童顔が青年っぽさを際立てる。


「青木!」


 隣に駐機したクロノワ09、青木一あおき はじめ一等海尉はその理知的な顔立ちを三橋に向けた。


 口角が上がったような表情を常に浮かべ、何を考えているかわからなかった。

 自衛隊や米軍関係者から「アルカイックスマイル・マン」と言われている。


「悔しいな、撃墜数は同じだ!」


 そういって三橋は明るい表情を浮かべ、歯を出して笑った。


「まあ、4機だから健闘した方だよ」


 青木はそういった。確かに4機は健闘どころか、第101戦闘航空隊の勝利に導いたといっても間違いない数だった。


「青木、もっと向上心を持とうぜ!」


「善処するよ、三橋」


 そういって青木はコクピットを降りた。


 三橋はやや不満げに、続けてをコクピットを降りた。





『やましろ』CDC区画


 第1水上戦群を指揮する中枢区画であるCDCには、第1水上戦群司令官、中井武郎海将補がいた。


 中井は司令官席に座ってモニターを見ながら、幕僚長の八木一佐に話しかけた。


「うちの航空隊は優秀だな」


「はっ、第101戦闘航空隊は、自衛隊の戦闘機部隊のなかでも練度は有数の高さをもっています。特に三橋一尉と青木一尉は空自のパイロットと比較しても優秀です」


 八木は冷静に、事実を淡々と述べた。


「うーん。心強いな」


 中井は思わず言った。


 中井は頭の中で、きな臭い噂を思い出した。


 日本の南方にある亜細亜太平洋島嶼連邦共和国がここ最近不穏な行動を起こしているということだ。


 中井は思った。


 もっと練度を上げなければ。


 将来の有事のために。


 

  



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