第75話 イケブンブロク島の攻防戦
イケブンブロク島の自衛隊橋頭保に突入する亜連陸軍第1師団と第3師団、さらに第7海兵師団。
自衛隊の第7師団と第9師団、第10師団、さらに第4師団がこれらを食い止める。
「今、両軍だけでこれだけの部隊が張り付いているわけだな」
陸に上がった統合任務部隊司令部で、司令官中尾陸将は天幕の中に広げられたイケブンブロク島の地図を広げ、その上に描かれた矢印などを見つめながら、腕を組んでいた。
「どっちも釘付けだな」
中尾陸将はしばらく考えたのち、発言した。
「もう一度第10師団を輸送艦隊に戻そう。それで護衛艦隊を―――」
イケブンブロク島南東にある首都ティティリンは第2師団の残存兵力と合流した首都防衛師団が守備していた。
その港の沖合に再編された海軍第1艦隊、空軍部隊もいた。
8隻の駆逐艦、フリゲート艦で構成される第1艦隊はこの海域の防衛に当たっていた。
しかし―――第1艦隊は一瞬にして、ミサイル一斉攻撃によって全滅させられた。
駆逐艦、フリゲートは一気にやられていく。
港湾設備を残しておきたいせいか、機雷は敷設されていなかった。
護衛艦隊に護衛された輸送艦隊が第10師団を港湾、沿岸部に上陸させていく。
突然後方をつかれた首都防衛師団は混乱に陥る。
さらに第1空挺団も第10師団近隣に降下し、さらに亜連軍は混乱した。
イケブンブロク島の全亜連軍が混乱し、戦線が一気に乱れた。
その混乱をついて、自衛隊の攻勢がはじまった。
1月19日午前9時
ティティリン市内に第10師団が突入する。
第12普通科連隊、高木二尉は他の連隊隊員とともに官庁街シーナ地区に突入した。
大統領公邸まで到達した第12普通科連隊は、大統領警備師団と交戦していた。
敵が銃弾や砲弾を撃ちまくるなか、第10偵察戦闘大隊の16式偵察戦闘車数両が公邸を砲撃する。
特に広い正門を集中的に砲撃していた。
公邸正面での亜連側攻撃が止む。
すかさず指揮官が叫んだ「突撃!」
100人以上の隊員が広い正面の、穴だらけの階段を上がった。
敵が再び攻撃開始したが、すでに多くの隊員が大統領公邸に進入していった。
高木二尉率いる小隊はすでに10名以上の死傷者を出していたが、それでも前進を開始していた。
階段に到達すると、高木二尉、と呼ばれた。
中隊長の山田一尉だった。通信兵と先任曹長をつれている。
「我が中隊は特別な任務を与えられた、そのなかで君に特に特別な任務を与える」
高木二尉は頷いた。了解、と言った。だが。
「そうしかめっ面をするな」
山田一尉はそう言った。すみません、と自分では変化がわからないまま謝った。
「我が中隊は屋上に行き、頂点に日章旗をかかげる。君の小隊は前進し、頂上にいって、日章旗を掲げよ。他の小隊が掩護する」
「なぜうちの小隊が最前線なんです?」
「君の小隊が一番損耗が低いからだ」
これでうちの小隊が一番低いのかよ。高木は愕然としたが、長くそれに浸ることはなく、先任曹長のリュックから日章旗が取り出され、高木がこれを受け取った。
高木二尉が部下の小隊隊員を集めた。全員で28名。43名がいた隊員が死傷で減っていた、
「我々は屋上、登頂部に行く。師団長じゃないが、歴史に名が残るぞ」
そう冗談めいたが、皆、顔で「そんなことより生き残りたい」といっている。
「他の小隊が掩護してくれる。敵は確実に消耗している。他の小隊とともに敵を一つずつ潰しながら行こう、以上!」
各隊員は了解、と返事をし、作戦にかかる。




