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第74話 機甲戦


 1月18日午後2時。


 陸上自衛隊は沿岸部に陸揚げ後、首都ティティリンに向けて進撃しようとしていた。


 北東方向からこの橋頭保を破壊せんとする、亜連陸軍第3機甲師団、第1師団が進撃を試みた。


 これを陸上自衛隊第7師団、第9師団が食い止め、全力で防戦に当たる。




 陸上自衛隊第7師団は機甲師団である。

 北海道道南に駐屯し、戦車などの機甲部隊を主力としている。


 第3機甲師団も首都近郊に駐屯する機甲師団であり、装備も良く、練度も亜連陸軍内でも高いものがあった。


 この島嶼の奪い合いが主である戦争において、大規模な機甲部隊同士の衝突が生じたのである。 




「撃てェ!」


 第7師団第71戦車連隊第1中隊の10式戦車が砲撃を行った。


 そのなかにいた中隊長の大野一尉は熾烈な戦闘になっていることを当然認識していた。


 飛び交う砲弾、銃弾、ミサイル、煙……


 車外の様子を確認するが、そういうものが飛び交っている様子が確認できる。


(なんてことだ、本当にここは戦場だぜ)


 大野一尉はそんなことを考えたが、それは悠長というものだった。


「徹甲、距離400、撃て!」


 再び10式戦車が火を噴いた。




「3号車に命中! 大破! 脱出者なし!」


 亜細亜太平洋島嶼連邦共和国陸軍第3機甲師団第102戦車連隊第3中隊を指揮していたミア大尉は、隣の車両が破壊されたという報告を受けていた。


 彼がのっていたのはST11戦車。国産戦車だが、技術者たちがイスラエルのメルカバ戦車に感銘を受けて作られたため、メルカバ戦車に酷似した形となっている。


 4人乗りのメルカバ戦車とは違い、こちらは3人乗りである。


 砲手が先の砲撃のショックを顔面にくらい、鼻から血を出しながら照準器を見る。


「敵距離500!」


「よし、徹甲、距離500、撃て!」


 砲撃。しばらくして、500メートル先の戦車に命中する。


「命中、撃破! やった!」砲手が喜びを隠し切れない。


「よし、よくやった、次!」


 しかし、まだ戦闘は終わらない。




 亜連陸軍でイケブンブロク島の守備を指揮していたのは陸軍第1軍団だった。


 今はティティリン市内の地下シェルターに指揮所を構え、運用されている。


 机上に置かれた大型地図には、敵味方の位置を示す凸型のコマと地図に描かれた矢印などがおどっている。


「第2師団は後退して、首都防衛師団と合流した……前進中は第1師団と第3機甲師団だ……」


 軍団長のレン中将はぼやいた。


「海兵隊の様子は?」


「はぁ……海兵隊司令部と連絡がつきません……有線が切断されたようで……」


 参謀長の報告に報告にひでえ連中だ、と心の中で中将は罵った。


「空軍は?」


「現在、猛烈に空爆を行っています。海軍航空隊も同様に空爆を行っている模様」


「水上艦隊は?」


「第1艦隊は電波妨害が激しく、通信が途絶えています」


「くそめ」


 中将は思わずうなった。


 海軍め、いつもいばっていたくせに、航空隊以外は肝心のところでは役立たずではないか。


「海兵隊の指揮権もこちらにほしいものだな」


「はい、ですが、向こうは海軍で、こちらは陸軍でありますから……」


「うん、わかっているよ」


 参謀長の言葉に、少し冷静さを取り戻したかのように答える中将。


「とにかく攻撃は続行だ。敵軍を海に叩き込んでやれ」

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