第72話 輸送船団出航
1月18日早朝。
日本各港から、海上自衛隊の護衛の下、輸送艦、フェリーなどが出航した。
各船団は日本近海に集結した後、大東諸島沖太平洋で全船団が一斉に集結し、亜連に突入。
亜連北西部にある最大の島、イケブンブロク島に上陸する。
海上自衛隊のほぼ全ての護衛艦が投入され、船団の護衛に当たっている。
この船団には陸上自衛隊4個師団を主力した大部隊が輸送されている。
これを海上で迎えうつのは、亜細亜太平洋島嶼連邦共和国海軍第1艦隊だ。
『第1艦隊』となっているが、実際は地方防衛に当たっていた駆逐艦やフリゲートを寄せ集め、イケブンブロク島を警戒させているだけに過ぎない。
いつの間にか先島諸島沖で全滅していた第1艦隊をはじめ、3個の主力艦隊は全滅していた。
しかし、海上自衛隊側は、2隻の空母を含む、大艦隊で護衛された大船団である。
力関係は逆転していた。
「とうとうきやがったな」
ヤー大統領が呟いた。
ここは政府地下シェルター。亜連中央部の島、チナイシチマ島の山の地下にある。
その地下中央指揮所の指揮区画でメインモニターを見ていた大統領は、かなり憔悴しきった、かなり正気を失った様子で興奮気味にいった。
「作戦の第1段階を開始する。弾道ミサイル全弾発射」
ミサイルサイロ、弾道ミサイル搭載型潜水艦から弾道ミサイルが放たれた。
ミサイルサイロから空に向かっていくつもの弾道ミサイルが白い尾をまいて飛んでいく。
また、海でも、潜水艦から発射された弾道ミサイルが、海を突き抜け、空へと飛んでいく。
目標は敵、日本の大船団。
「来ました、弾道ミサイル多数」
『やましろ』のCDCでレーダー員が報告した。
きたか、中井海将補はそう思いながらただちに命令を下す。
「ミサイル迎撃よーい」
艦隊の中にはイージスシステム搭載艦、『たかお』と『みくま』がいた。
この2艦は本土ミサイル防衛のため、本土防空の任務を担っていた艦だった。
しかし、大規模な核攻撃が予想される本作戦において、統合作戦部隊司令部から参加が熱望され、その意見が通った形となった。
『たかお』と『みくま』、そして他の護衛艦から多数の対空ミサイルが発射され、亜連の弾道ミサイル群へと向かっていく。
対空ミサイルも高度を上げ、そして弾道ミサイル群と文字通り衝突した。
亜連の弾道ミサイルは次々と迎撃されていく。
その様子は海上からも、空を仰げば爆発していく様子が確認できたほどだった。
しかし、爆発が段々と高度を落とし、艦隊に迫っていく。
『たかお』と『みくま』は高出力レーザーを放ち、弾道ミサイルや、弾頭を焼いていく。
一部は到達していたものの、多くは不発か、海上に落ちて爆発したものが少数あったくらいであった。
やがて爆発がすっと止み、空に何もなくなった。
「やった……」
『しなの』の見張り員が思わず声を漏らした。
弾道ミサイルの脅威はなくなったのだ。




