第67話 クーデター
1月16日22時
亜細亜太平洋島嶼連邦共和国陸軍首都防衛師団に移動命令が下った。
「なに? 移動命令?」
師団長のロウ少将が声を上げた。
参謀長が頷く。
「軍総司令部からの命令です。我が師団は沿岸部に陣地を張れと……」
「誰が首都を守るんだ?」
「予備の海軍第1海兵師団だそうです」
「うむ……」
ロウ少将は顎をさすって、考え事をしていた。
0時。首都防衛師団は移動したと報告があった。
そこに第1海兵師団がティティリンに入ろうとする。
しかし、第1海兵師団は首都ティティリンに進入する幹線道路で、陸軍首都防衛師団に無数の砲口や銃口を向けられた。
「おい、何だこの騒ぎは?」
第1海兵師団師団長、パス少将は指揮車を降りた。
そこに移動したはずの首都防衛師団のロウ少将がやってくる。
「全員そこを動くな」
ロウ少将は叫んだ。
「諸君らの目論見を暴露されている。君たちは軍総司令官の命令を受け、政府要人等を襲撃し、政権を転覆する目的があるのだろう」
パス少将は奥歯を噛み締めて、ロウ少将を睨んだ。
「ロウ少将、同行を」
そのとき、後方で爆発音と銃声が響いた。
ロウ少将は呟いた。第7海兵師団だ。
パス少将は全員が呆然としているなかで指揮車に飛び乗った。
陸軍歩兵が発砲するが、そのときパス少将はすでに指揮車の中だった。
「部隊前進! 敵性部隊を実力排除し、各目標を達成せよ」
第1海兵師団は再び前進を開始した。
別の方面から首都ティティリンに第7海兵師団も突入する。
ティティリンは戦場と化した。
首都防衛師団と第1海兵師団、第7海兵師団が市内各所で交戦している。
その上空を第1海兵師団のヘリコプター部隊が通る。対空火器や敵対ヘリの動きに注意しながら、大統領公邸に向かっていく。
大統領公邸上空に達すると、小型ヘリ数機が対空兵器に対し、ロケット弾をぶっ放す。
同時に輸送機から屋上にロープがたらされ、兵士たちが降下していく。
兵士たちは大統領公邸に突入する。すでに頭に叩き込まれた図をもとに、閣議室へと向かう。
大統領警護隊の兵士がサブマシンガンで抵抗するが、すぐにアサルトライフルや手榴弾で沈黙させられる。
突入部隊の指揮官は思う。
今、閣議室には大統領はじめ閣僚がいるはずだ。
しかし……これだけの抵抗……もしや……
兵士たちは閣議室に突入する。
しかし、誰もいなかった。思った通りだ。突入部隊の指揮官は舌打ちをした。
「どこかに大統領や他の閣僚がいるはずだ! くまなく探せ!」
指揮官は叫んだ。
しかし、大統領公邸には大統領はじめ閣僚はいなかった。




