第64話 海上自衛隊水上艦隊再編成
海上自衛隊水上艦隊のうち、第3水上隊群は無傷でいた。
第1水上隊群は数隻の護衛艦を大破、沈没、もしくは損害を受けさせられた。
第2水上隊群は旗艦『しなの』を失った。それ以外の護衛艦はほぼ無傷であった。
1月15日 19時
よって第1水上隊群と第2水上隊群は合流し、新しい第1水上隊群として再編成された。
司令官の中井海将補は、自衛艦隊司令部で自衛艦隊司令官と、自衛艦隊司令官室にて会合をしていた。
「第1水上隊群と第2水上隊群を合わせれば、以前の水上隊群よりも艦の数が多くなる」
自衛艦隊司令官がソファーに座ってそういった。向かいには中井海将補が座っている。
「大艦隊ですな」
中井がそう言うと、自衛艦隊司令官はまさに、と頷く。
「第1水上隊群には輸送船団の護衛をしながら、敵主力艦隊を殲滅してもらうことになる。まあ、つまり決戦してもらうことになるな」
自衛艦隊司令官はため息をつきながら、後頭部をかいた。
「政府も必死だよ。防衛省や統幕からも敵の核戦力を完全に壊滅させろ、とか、戦力を壊滅させろ、という圧がすごい」
「私も先ほど防衛省に行きましたが、凄かったですよ。背広組(防衛省の文官)からも詰められました」
「うん……いや、まあ、3つも原爆を落とされて、300万近く死傷しているからね……そうもなるのはわかるが……」
「正直、米軍の介入はあり得ますか? 自衛隊のみでは……」
「今のところは望み薄だよ。西太平洋に戦力を集めつつあるが、ホワイトハウスが全く乗り気ではない。連中も核を撃たれたくないのだろう」
まあ、そりゃあ、と中井海将補。
「核撃ちまくって、自棄になっているとしか思えない国家と戦争はしたくないでしょうね」
「向こうの気持ちはわかるが、我が国としては納得できない。米国大使館は連日デモ隊に囲まれている。火炎瓶も毎日投げつけられている。職員も大使館から出られず、家族も国外退避している状況だよ」
「随分と治安が悪いですな」
「アメリカ人を主に、外国人への犯罪も激増している。昨日は日米安保条約発動を要求して、包丁片手にコンビニに立てこもった兄ちゃんがいたよ。警察にすぐしょっぴかれたが、ネットでは気持ちはわかるとして釈放署名運動が起こっているらしい」
「……切迫していますね……」
「うん、どうにもシャレにならん。こいつを何とかするための期待が俺たちにかかっているわけだ」
中井海将補は深いため息をつきました。
「……我々にその力はあるとは思えませんが」
「それでもやらなければならない」
「……そうなりますよね。なるべく部下も死なせないように、任務を遂行いたします」




