第63話 『龍の角』作戦概要と準備
『龍の角』作戦Dプランは亜連全土制圧を目指すものである。
目的は亜連政府の降伏と同国の核戦力を含めた作戦能力を完全に殲滅することである。
亜連全領土を制圧し、全ての軍事力を制圧することにある。
全自衛隊の輸送戦力、さらに民間のフェリーなどを使い、全島嶼部を移動、占領しながら、島を制圧する。
地上戦、全ての島嶼部制圧のため、陸上自衛隊4個師団を動員する。
統合幕僚監部は陸上自衛隊第4師団、第7師団、第9師団、第10師団を中核とする大規模な地上部隊を編成、その指揮官に北部方面隊総監が選ばれた。
1月15日18時
「まさか、大規模な対外上陸作戦を指揮することになろうとはな……」
北海道札幌市、陸上自衛隊札幌駐屯地。北部方面総監部。
北部方面総監の中尾陸将はぼやいた。
「しかし」と横にいた北部方面総監部幕僚長が言った。
「かなり無理のある作戦ですね」
「相当無理のある作戦だよ」中尾陸将はそう返した。
「上の方でもわかっていると思うが、自衛隊は国外への進攻作戦なんて想定してなかったからね」
しかし、と中尾は続けた。
「まさか自衛隊が他国で、これほどの作戦を展開するなんて思いもよらなかった」
私もそう思います、と幕僚長は同意した。
北海道千歳近郊に部隊を置く陸上自衛隊第7師団はそのほぼ全部隊が苫小牧港に集結しようとしていた。
そこには自衛隊の輸送艦艇の多くや民間のフェリーが停泊しており、陸上自衛隊唯一の機甲師団たる第7師団は戦車や装甲車両が各艦船に搭乗していく。
「ほんとに4個師団も投入するんですかね?」
埠頭で作業しているのを傍で見ながら、陸上自衛隊第7師団第71戦車連隊第2中隊の小暮三等陸曹は小声で、隣にいた三宅二等陸尉に言った。
「上がやるっていってんだ、やるしかねぇだろ」
小暮三曹は、三宅二尉の言葉を聞いて、頷いた。
(できるかなんて、俺だって不安だよ)
三宅二尉は内心でそう思った。
しかし、とも思う。
一度命令が下れば、我々はその任務を遂行しなければならない。
彼は戦車が乗船する様子を見ながら、決意を新たにした。
東海・北陸地方を警備する陸上自衛隊第10師団もそのほぼ全ての部隊が名古屋港に集結していた。
民間から徴収されたフェリー、客船が集結しており、自衛隊員たちはそこに搭乗していた。
「すげえ、海外に行くとは思わねぇ」
客船の廊下で、ある普通科隊員が、他の仲間たちに言った。
「本当にやるんだろうか」
別の隊員が言う。
「やるにきまってるんだろ、浜松や甲府、千葉とかの仇を打つんだよ」
「けどよぉ、ほんとにこの装備で敵前に上陸できんのかよ」とまた別の隊員。
「するんだよ、上が言うんだからさ」
「俺、不安だな」
一人の隊員の呟きは、他の隊員たちの気持ちの代弁でもあった。
そこへ一人上官がやってきて、解散となった。
自衛官たちはそれぞれの思いを胸に、作戦準備をすすめていた。




