第57話 先島諸島空戦
自衛隊は旗艦『しなの』とともに第2水上戦群司令官―――すなわち先島諸島方面の自衛隊統合任務部隊、JTF-龍の牙さくら部隊の指揮官を失った。
最先任は陸上自衛隊水陸機動団団長の水崎陸将補だ。よって、彼がJTF-龍の牙さくら部隊の新しい指揮官は水崎陸将補となった。
「指揮官といわれてもな」
海上自衛隊輸送艦『おおすみ』に搭乗していた水崎陸将補は、副団長にぼやいた。
「まさか『しなの』が沈められるとは思いませんでしたね」
副団長が言った。
「そこが想定外だったとは、我々の落ち度だ」
水崎は深いため息をついた。
「とはいえ、私も『しなの』が沈むとは思わなかった。こういう表現はしていいかわからないが、敵ながらあっぱれ、だと思う」
「同感です」
「とはいえ、私が今は統合任務部隊の指揮官だ。市ヶ谷の司令部が支援してくれるといったが、そこは指揮官としてしっかりしないとな」
与那国島から宮古島までを占領した亜細亜太平洋島嶼連邦共和国だったが、陸上自衛隊は各島々に同時多発的に攻撃、上陸することになっていた。
海上自衛隊第2水上戦群の『しなの』が沈んだことにより、自衛隊は有力な航空戦力も失った。そこは航空宇宙自衛隊の戦力が補うことになっていた。
那覇基地から飛び立った三沢基地の第8飛行隊所属のF2戦闘機20機がF15戦闘機群の支援を受けて、先島諸島に向かっていた。
(大編隊だな)
あるF2戦闘機パイロットが周囲を見て思った。
作戦のため、青森県三沢基地から沖縄県那覇基地まで展開していた。
『全機、目を開け、敵機だ』
無線の声が響いた。
前方にAaF11戦闘機が4機。海軍の艦載機ではなく、空軍のものだ。
F15戦闘機数機が前方に向かう。
先島諸島空戦がはじまった。
「敵機だ」
宮古空港の滑走路横に配置された40ミリ対空機関砲が、空に向かって砲火を放った。
他にも同じように配備された対空機関砲が火を噴く。
直前には対空ミサイルを放ったが、電子妨害によってほとんどが外れた。
指揮官である陸軍大尉が双眼鏡を上空に向けて、状況を確認する。
「敵機直上! 爆弾投下!」
大尉は叫んだ。
直前に周囲で爆発。自衛隊機が爆弾を投下したのだ。
「1番砲大破! 3番砲連絡なし!」
「滑走路に複数の穴!」
「本部との無線連絡途絶えました!」
数々の、悲惨な報告が飛び込んでくる。
指揮官横にあった機関砲も爆風を受けて、発射が不可能になった。
「こちらも攻撃不能!」
「くそっ」
大尉は呟いた。
そして伝令が、また別の報告をもってきた。
「敵、上陸部隊接近!!」




