第38話 2度目、3度目の核攻撃
亜細亜太平洋島嶼連邦共和国の首都ティティリンの地下総指令所ではヤー大統領が決断を下した。
「大統領……!」
とっさにリー・ラン外務大臣は起立し、声を上げた。
ヤー大統領は着席したままだった。
そして、言葉を発した。
「我々は日本を手に入れる、次はアジアと太平洋だ。もっと日本を揺るがす必要がある」
大統領は反射的に立ち上がり、叫び声のような声を上げた。
「我々は自らの使命を遂行するため、あらゆる手段を講じる!!」
1月14日早朝。
日本全土に向けて、中距離弾道ミサイルが300発以上発射された。その多くは南関東に向けられていた。
日本上空では迎撃ミサイルと弾道ミサイルが衝突し、そこかしこで爆発の発光が見えた。
しかし―――
神奈川県川崎市 沿岸 工業地帯
1発のミサイルがある化学工場に着弾した。
工場は爆発に包まれ、同時に破損箇所から危険なガスが発生。
工場は24時間稼働だったため、工員数名が死亡、十数人が怪我を負った。
消防は化学災害を想定し、化学防護をして出動、消火や救護活動を行った。
栃木県足利市 名草中町
この地区の田園地帯にもミサイルが落下。
爆発は周辺の田畑や民家を巻き込み、一部倒壊もしくは炎上、数十戸でガラスが割れるなどの被害が生じた。
住民たちは何事かと思い、脳裏に東京や浜松の攻撃を思い出し、戦慄した。
他にも関東の山間部に3発が着弾。木々がなぎ倒されるだけで被害はなく、着弾した場所も積雪があったため、延焼がなく、小規模な火災で済んでいた。
そして
山梨県甲府市 山梨大学甲府キャンパス上空
一瞬、薄暗い空が白く明るく反転した。
その直後、巨大な爆発。直下の大学キャンパスは外観と骨組みだけになる。
周辺の住宅は炎上し、根こそぎ爆風ととも吹き飛ぶ。
爆炎と爆風はすぐさま南に1キロ程度離れた山梨駅にも到達する。
武田信玄像は爆風にもまれながら、炎の中にただひとり立っていた。
武田信玄像が爆炎で焼かれたころ、近くの山梨県庁も爆炎に晒された。
堅牢な作りのこの建物の一気にガラスが引っぺがされ、内部も炎に焼かれた。
爆風が甲府駅周辺から南にも達しているころ、北に到達していた爆発が山間部を壁に跳ね返ってきた。
爆心地とその周辺にもう一度爆炎と爆風が襲い掛かる。
以後、甲府市とその周辺は2度も爆発の衝撃、そして凄まじい放射線を受けなくてはならなかった。
甲府盆地は爆風が巻き起こり、爆心地から離れたところでも家屋損害の被害が出た。
そして甲府盆地の中心にはきのこ雲が形成された。
さらに
千葉県船橋市夏見台 船橋市運動公園上空
薄暗く、寒い朝が一瞬で眩く、高熱に変わる。
公園上空に火球が出来上がり、それと同時にやはり凄まじい爆風と熱線、さらに放射線が放たれた、
一瞬で周辺は焼き尽くされ、爆風でなぎ倒された。
数キロ離れたJR船橋駅と京成船橋駅も爆炎に焼かれ、爆風で吹き飛ばされた。
周辺のビル群も内部を焼かれながら、炎の中でたたずむよりほかなかった。
被害は周辺の佐倉市、習志野市、市川市、松戸市、千葉市などにも及び、きのこ雲は東京からもよく―――関東平野全体から見えた。
この日、日本は亜細亜太平洋島嶼連邦共和国によって2度の核攻撃を受けた。
これで亜細亜太平洋島嶼連邦共和国から、3度の核攻撃を受けたことになる。




