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第37話 戦時下の日常



 1月13日 東京


 東京が攻撃されてから1日が過ぎた。


 渋谷スクランブル交差点や皇居周辺では、戦闘の跡が生々しい。

 


 例えば渋谷スクランブル交差点の複数のビルの、交差点に面している側、広告などはブルーシートで覆われている。


 それでもコンクリートの地面には弾痕がいくつも残っている。


 


 東京は再度のゲリラ攻撃に備え、陸上自衛隊が展開していた。

 第1師団の主力部隊が大きな公園を拠点に、警戒活動を実施している。また、空にも石川県小松基地にいる航空宇宙自衛隊の第6航空団第303飛行隊を、青森県三沢基地にいる第3航空団第301飛行隊を百里基地に展開、壊滅した第7航空団の代わりに首都圏防空につかせた。

 なお、第303飛行隊はF15戦闘機、第301飛行隊はF35戦闘機で構成される。


 海上は浦賀水道での掃海活動が続いているが、東京湾では海上保安庁が警戒に当たっていた。


 東京の各所を、高機動車や自衛隊のパジェロ、軽装甲機動車が巡回し、要所ごとに陸上自衛隊員が20式小銃を背負って、数人単位で警戒に当たっている。


 隊員たちを輸送するためのトラック数台が乗用車や民間のトラックに混じって幹線道路を走っている。


 東京駅には丸の内口に25式偵察警戒車が待機し。隊員たちが起立して要所要所に配置され、警戒に当たっており、報道のカメラマンや物珍しさに観光客が撮影していく。


 朝、新宿駅の地下改札を降りたら、武装した隊員たちが歩いている。


 96式装輪装甲車が明治通りを走って、新宿区から豊島区に入っていく。


 オートバイに乗った自衛隊員が、やはり20式小銃を背負って、新橋の赤レンガ通りを南へ走っていく。


 87式偵察警戒車がパトロールのため、千代田区の万世橋交差点を慎重に曲って、秋葉原駅近くの中央総武線の高架橋の下をくぐる。


 昨日は戦闘で授業が中止になった小学校の上を、OH1観測ヘリが飛ぶ。窓辺にいた、授業中の小学生がそれを見つめた。


 杉並区の青梅通り沿いで止まっていた、やはり87式偵察警戒車を、先生に先導され、通りかかった散歩中の園児たちが珍しそうに、戦車だ、といいながら眺めている。

 それを操縦席のハッチから顔を出していた隊員が笑って手を振り、園児たちも笑ってけたけた言いながら返した。


 中野区の西武新宿線鷺ノ宮駅すぐ横の踏切では、乗用車に混じって25式偵察警戒車が踏切待ちをしている。

 駅を発車し、踏切を抜ける電車の中で、乗客たちの一部が気が付いて奇異な目で25式偵察警戒車を見る。


 昼下がり、江東区深川の葛西橋通り沿いの個人経営のレストランで、人々が食事をとっていると、窓ガラスには16式機動戦闘車が走っているのが見える。


 国会議事堂前に配備された11式短距離地対空誘導弾の発射装置の前で、マニアがカメラを向けている。

 その様子を近くにいた警戒中の隊員が見つめていた、


 警視庁の前には16式機動戦闘車が鎮座して、警戒任務に当たっている。


 夕方、カーラジオで報道特別番組を流しながら、港区三田あたりで乗用車を走らせていると、軽装甲機動車が前方を走っているのが見える。


 日が落ちかかった頃、品川のビル群の上空を、自衛隊のCH47SA輸送ヘリが飛んだ。


 夜になっても警戒任務は続く。新橋では警戒任務中の隊員たちに、酔っ払いが絡んでいた。


 大塚駅近くの高架橋で、山手線の最終電車の光を浴びながら、16式偵察戦闘車が西に向かって走っている。

 

 そんな東京の上を、2機編隊のF15J戦闘機が飛んでいる。


 日本は数十年ぶりに戦時下にあった。

 しかし、多くの国民は、心情はどうあれ、変わらぬ日常を過ごしていた。

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