第32話 亜連の防御
1月12日14時
亜細亜太平洋島嶼連邦共和国首都ティティリン国防省の地下中央指揮センター。
地下に存在する全軍の指揮所には、広い壁一面に、メインモニターとその左右にいくつかのサブモニターがはめ込まれている。
その前には数十名の将兵たちがヘッドセットをつけて、個々のコンソールを操作している。
その後部には幹部会議区画で、軍首脳部の人々が会議机を囲んでいた。
「状況を説明してもらう」
軍総司令官のイー元帥の言葉に、軍総合司令部作戦部部長のトー少将が起立した。
「はっ、先島諸島、硫黄島を除く小笠原諸島。青ヶ島の占領は成功しました。小笠原諸島の硫黄島は予想以上の抵抗があり、未だ占領には至っておりません。核ミサイルは予定通り浜松市の市街地に着弾、爆発しました。日本の当局の発表によると核攻撃による死傷者は20万人以上に上り、今後増えるだろうと言っています」
トー少将は続けた。
「弾道ミサイルは日本国内に数か所が着弾。うち1発は東京市街に着弾しました。東京襲撃は日本政府の閣僚数名の殺害に成功。しかし、2000名近い陸軍将兵と空母含む艦艇数隻、ヘリ数十機、戦闘機40機をはじめ、空母の艦載機60機が犠牲になりました」
「東京攻撃は日本の政治中枢を狙った攻撃だった。首脳部を生け捕りにできず、空母をはじめとする大きな損害が出たのは残念だ。また硫黄島がまだ占領できていないのも痛いな」
イー元帥は腕組みをしてそう言った。沈黙と緊張が流れる。
「今後はどうする?」元帥は続けた。
「はっ」
トー作戦部長は言う。
「先島諸島、小笠原諸島、青ヶ島の防御を万全にしたいと思います。周辺海域には海軍の主力艦隊をつけたいと思います」
「具体的には?」
「海軍第1艦隊は先島諸島を、第2艦隊は小笠原諸島を、第3艦隊の残りは青ヶ島を、それぞれ守ります」
「その布陣の理由は?」
「航空戦力です。小笠原諸島は硫黄島を未だ占領できず、青ヶ島第2艦隊の航空戦力でカバーします」
「ふむ。これ以上の損害は許されない。硫黄島には増援戦力を投入する。ただちに硫黄島を占領されたい」
了解しました、軍首脳部全員が敬礼をした。
ヤー元帥が部屋に戻ると、トー作戦部長を自室に呼んだ。
元帥が執務机に向かっていると、作戦部長が部屋にやってくる。
「例の首都防衛兵力動員計画はどうなっている?」と元帥。
「はい、第7海兵師団をティティリン近郊に移動を命じました」
「第1海兵師団はどうか」
第1海兵師団は首都ティティリンのあるイケブンブロク島に駐屯している。
「いつでも行動可能だと、師団長より伺っております」
「うむ。こちらも被害は最小限に、いや、無血であってほしいな」
はい、トー作戦部長は頷いた。




