表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/51

第30話 作戦『龍の牙』


 1月12日 午前11時30分


 統合幕僚監部運用部と陸海空の幕僚監部が亜連に占領された日本領土奪還計画を立案した。


 作戦名は『龍の牙』


「龍とはなんだ?」


 服部統幕長は冊子の表紙を見ながら、中央指揮所で、高級幹部たちの会議のなかで、統幕運用部の一佐に尋ねた。


「はっ、龍とは日本列島の形を表したものです。牙は攻撃、反撃の象徴として名付けました」


 空幕の三佐が名付けたのです、と一佐は付け足した。


「ふむ。私はいい名前だと思うぞ」


 統幕長はそう言いながら冊子を開く。作戦が説明されている。





 龍の牙作戦。


 これは亜細亜太平洋島嶼連邦共和国軍に占領された、先島諸島、青ヶ島、小笠原諸島を奪還する作戦である。


 作戦は3つに分けられる。


 まず、さくら作戦。


 沖縄県先島諸島を奪還する作戦。


 統合任務部隊はJTF-龍の牙さくらと呼称される。指揮官は海上自衛隊第2水上戦群司令官。

 この他に陸上自衛隊水陸機動団、第73戦車連隊、航空宇宙自衛隊第9航空団などで構成される。


 まず、海空の攻撃で近海の敵艦隊及び航空戦力を排除し、陸上戦力を削り、最終的に陸上自衛隊戦力で掃討する。




 次に、はす作戦。


 これは東京都伊豆諸島、有人島としては最も端にある青ヶ島を奪還する。


 統合任務部隊はJTF-龍の牙はすと呼称される。指揮官は海上自衛隊第3水上戦群司令官。

 この他に陸上自衛隊特殊作戦団、航空宇宙自衛隊第7航空団などで構成される。


 この島には弾道弾部隊が配置される、まず、海上自衛隊潜水艦が特殊作戦団の一部を送り、弾道弾部隊を排除する。


 次に近海の敵艦隊を排除し、制空権を奪還。最終的に特殊作戦団主力が青ヶ島を奪還する。





 最後に、きく作戦。


 東京都小笠原諸島を奪還する。


 統合任務部隊はJTF-龍の牙きくと呼称される。指揮官は海上自衛隊第1水上戦群司令官。

 この他に陸上自衛隊第1空挺団、第12旅団、第74戦車連隊、航空宇宙自衛隊第3航空団などで構成される。


 硫黄島が所属する火山列島を含む、小笠原諸島を奪還する作戦だ。


 海空で近海の敵艦隊及び航空戦力を排除し、小笠原諸島には第1空挺団が上陸、奪還。

 硫黄島には第12旅団を主力する陸上部隊が上陸し、敵を排除、奪還する。




「この3つの作戦を同時刻に実施、攻撃することで、戦力を分散させたまま、敵に日本国内で戦力を集中させることなく、排除することができると考えます」と統幕運用部の一佐。


「うむ。そうなると、敵の戦略的目標もくじくことができそうだな」


 服部統幕長は言った。

 敵の戦略的目標、つまり我が国への降伏を迫る材料も減るだろう、と統幕長は考えていた。


「この提案に異議のあるものはいないか?」


 誰も異論はなかった。


「よし、この作戦を通すことにする。この作戦を遂行すべく、各員、各部隊は行動せよ。私は総理のところに説明しに行ってくる」







 昼頃、戦傷残る首相官邸に入った統幕長は真っすぐに総理執務室に入り、総理の計画書を見せながら、概要を説明した。


「わかりました。この作戦で進めてください」


 総理は説明を聞き終えた後、ただちにそう返した。統幕長ははっ、と返事をした。


「それと」


 総理は言った。


「お尋ねしたいことがあります」


「はっ、なんなりと」


「自衛隊は亜連の核戦力を排除することができますか?」


 統幕長は答えに窮した。


「……やはり、浜松核攻撃の影響はかなり大きいです。閣僚のうちからも敵の核戦力を排除し、ただちに講和したいという意見が上がっています」


「なるほど……」


 統幕長は顎を指でかいた後、答えた。


「正直に申し上げまして困難かと思います。理由は2つあります」


「まず、敵の核攻撃の手法が分かれています。思いつくだけでも、大型爆撃機による投下、敵原潜からのSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)発射、中距離弾道ミサイルによる攻撃、ミサイルサイロからのICBM(大陸間弾道ミサイル)発射……これらを全て排除するのは、自衛隊単独では困難です。恐らく米軍単独でも無理でしょう」


 統幕長は続けた。


「さらにこれらの方法が広範囲に分散している事。敵のミサイルサイロは地下深度深くにあると考えられます。弾道ミサイル大隊は敵国土に分散して配置されており、敵の原潜は東太平洋に散らばっております。探すだけでも困難ですし、例えばミサイルサイロを発見したとしても、自衛隊にミサイルサイロを貫ける手段はありません」


 総理はそうですか……と肩を落とした。


「外務省は交渉を進めていますが、亜連がなかなか折れる状況ではありません。自衛隊としても、現行の手段で可能な限り……可能な限り、核戦力を排除する方法を考えていただきたい」


「了解しました」


 統幕長もそうはいったが、内心では方法が思い浮かばなかった。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ