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第24話 黙とうと閣議


 相模灘にいた海上保安庁や民間船舶も動員されて、生存したまま海に投げ出された亜連海軍将兵の救助が行われた。

 救助後は、彼らを捕虜として取り扱うと防衛省は発表し、捕虜取り扱い法にそって取り扱うこととなった。


 竹芝埠頭にいて、亜連戦力を運んできた亜連客船『バーバ・ターカ』は停泊しているところを海上保安庁によって拿捕された。

 乗員はやはり捕虜として扱う。


 東富士演習場に大型天幕が設置され、中に簡易ベッドが複数個おかれ、それをぐるっと有刺鉄線と、いくつかやぐらと警備の自衛官も設置されることで捕虜収容所が急造された。

 そこに捕虜たちはただちに収容され、防衛省の官僚たちと自衛隊員たちは捕虜たちの言うことを最大限ききながら、捕虜収容所の形や捕虜たちの具体的待遇の方法を実地でかえていった。




 午前5時30分


 一時間半ほど前から日本の受けた損害は、日本国民全体にとって非常に衝撃的なものとして受け止められた。


 可能性としてあった亜連の武力攻撃、しかしそれが東京の特殊戦攻撃と、浜松市への核攻撃として実行されるとは思わなかった。


 特に浜松市核攻撃は世界3度目の核兵器実戦使用として世界的にも、歴史に名が残る出来事として刻まれた。


 そして、今をもって先島諸島と小笠原諸島、青ヶ島も亜連の占領下にある。


 



 この時間、ほんの30分まで文字通り戦場であった首相官邸に閣僚が集まり、地下危機管理センターの幹部会議室で閣議が行われた。


 まだ戦闘の爪痕が残る官邸のエントランスをくぐった閣僚たちは、会議室に集まり、閣議の前に、殺害された閣僚たちに黙とうをささげた。


(緒方さん……)


 亜連の襲撃を受け、暗殺された緒方副総理兼外務大臣は同じ党の有力幹部であり、鈴木総理にとっても師弟の仲に近かった。


 料亭で、酒を飲みながら、まだ若手だった自分と酒を飲んで、お互い笑いあっていた頃が懐かしい。


 しかしそんな時間はもう二度と来ないのだ。


 緒方はそう思い、黙とうを済ませた時には涙で声を詰まらせそうになっていた。


 だが、咳ばらいをし、何とか自分を取り戻した。




 閣議ははじまった。


 死亡した大臣の代わりには、各省から副大臣が、大臣代行として出席した。


「浜松市の被害は深刻です……」


 そういったのは杉田総務大臣だった。


「総務省消防庁はこれまで1000名の死者を確認、負傷者は10万人以上を確認しました。統計が追い付けていないため、負傷者は増えると思われ、死者は負傷者以上のペースで増えると思われます。まだ火災も大規模に発生し、爆心地にたどり着けない状態です」


 杉田総務相の言葉に、閣議室に重く、沈んだ静寂に包まれていた。


 杉田総務相は続けた。


「現在、浜松市周辺の医療機関や消防が浜松市に駆けつけて、対応に追われています」


「それは放射能汚染の危険性はないのか?」


 とっさにそういったのは文部科学大臣だった。


 場が一瞬黙る。文科大臣も察する。


 放射能汚染があろうが、救助に、救急に行かねば、助かる命も助からない。


「原子力規制庁は専門家チームをただちに送ってください。あと防護服の確保を現地に送ってください」


 鈴木総理がそういうと、管轄する環境大臣は頷いた。


 二宮防衛大臣は言う。


「自衛隊からも大宮駐屯地の化学学校から要員を派遣します」


「よろしくお願いいたします」


 総理はそう言って頷いた。


「他の被害、民間での被害はどうなっていますか?」


 はっ、杉田総務大臣が言った。


「東京都心は戦闘の影響により、民間の死者は100名、負傷者は300名に達しています。またミサイルが人口密集地に着弾した被害で、死者80名以上、負傷者100名以上となっており、正確な数字はわかりませんが50戸は全半壊したものと見られます」


 全員が黙るか、唸った。


「米軍の動きはどうですか?」


 総理は言った。


 二宮防衛大臣が言う。


「大規模な兵力移動などの動きはありません」


 閣僚たちはざわついた。


 日米安保条約はどうしたんだ?


 日本が核攻撃を受けたというのに、反撃もしないのか?


「私は午前7時に会見を開きます。亜連大統領の発表に対しての声明や、非難を行います。各報道機関に会見を7時に開くことを周知してください。また米大統領との電話対談の準備を早急に行ってください




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