第22話 相模灘海戦 後編
亜細亜太平洋島嶼連邦共和国海軍第3艦隊の残存艦艇は海上自衛隊第1水上戦群に向けて照準を合わせた。レーダーを照射する。
損傷を受けた艦も含めて、残存艦艇は全て対艦ミサイル発射可能であった。
ただちに対艦ミサイルが各艦から発射される。
対艦ミサイルが白煙を上げて、一斉に発射されていく。
白煙は束になって、まるで噴火のあとのように煙を艦隊に残していく。
亜連の艦艇の特徴として、ミサイルの大量搭載がある。目標に飽和攻撃をしかけ、敵の対処能力を超えるほどのミサイルを放つようにするのが彼らの戦略だ。
第3艦隊が発射した対艦ミサイルは200発を超え、それらが海上自衛隊第1水上戦群14隻に向かっていった。
『敵艦隊、対艦ミサイル一斉発射。数は200を超えます』
海上自衛隊第1水上戦群旗艦『やましろ』のCDCでは緊張が走った。
司令官の中井海将補はメインモニターを見て、インカムから全艦艇に命じる。
「全艦艇、ECMアクティブモード」
亜連海軍第3艦隊から放たれた対艦ミサイルの群れの一部が電子戦にかかり、目標を反れていく。
それでも数多くの対艦ミサイルが残っている。
中井海将補は状況を見て、ただちに命令を発した。
「全艦艇、対空ミサイル発射」
第1水上戦隊の護衛艦たちからも対空ミサイルが発射される。
こちらも白煙を残し、凄まじい勢いでミサイルが一斉に発射される。
亜連対艦ミサイル群に、空自対空ミサイル群が接触する。
ミサイルがミサイルに命中し、爆発する。
爆風に巻き込まれ、また爆発したミサイルの破片に飲み込まれ、他のミサイルが損傷を受ける。
それによって目標からそれたり、爆発するミサイルも多数あった。
しかし、すり抜けて、三十数発の対艦ミサイルが第1水上戦隊に向かっていく
護衛艦の主砲12発が対艦ミサイルに照準を合わせ、射撃を行う。
対艦ミサイルに対して速射を開始し、弾幕を張る。
対艦ミサイルが次々と迎撃されていく。
しかしまだ対艦ミサイルを発射していく。チャフがばらまかれ、対艦ミサイルの目を狂わせながら、対艦ミサイルをCIWS作動。
護衛艦の付近で水上に落下する対艦ミサイルと、至近で迎撃される対艦ミサイルが出てくる。
海上自衛隊第1水上戦隊ではじめた損害が出た護衛艦は、汎用護衛艦『ありあけ』だった。
ラーワ大型対艦ミサイル1発が後部飛行甲板に命中していく。
大きな爆発を起こし、航空甲板と、その下の機関部にも被害を与えていく。
機関にも大きな損害を上げ、火災が発生した。
『ありあけ』は後部から煙を上げながら、航行不能に陥る。
次はイージス護衛艦『こんごう』だった。不運にも一気に4発の対艦ミサイルに狙われた『こんごう』は懸命に迎撃を行った。
2発の対艦ミサイルを迎撃に成功するも、シラメ対艦ミサイル2発が艦橋に当たっていく。
海上自衛隊初のイージス艦はSPYレーダーと艦橋を吹き飛ばされ、黒煙を上げながら、何とか動いていた。
『すずなみ』にはラーワ大型対艦ミサイルが2発命中するという悲劇に襲われた。
艦首と艦中央にほぼ同時に着弾し、大爆発を引き起こした。直後、艦は海に向かっていくのような形で、途中で横転し、沈没していく。
『あまぎり』はシラメ対艦ミサイルが3発当たった。艦橋に1発、後部飛行甲板に2発命中した『あまぎり』は後部から浸水し、沈没していった。
旗艦『やましろ』にも1発のミサイルが当たる。ラーワ対艦ミサイルが右側面に当たり、爆発する。
大きな衝撃が艦に響き、黒煙が発生する。警報が鳴り、各員がダメージコントロールのために動く。
消火班が防護服をきて消火作業に当たり、ケガを負った隊員に衛生科員をはじめとする他隊員たちが処置を行う。
全ての対艦ミサイルが空から消えた海は、白煙や炎上した艦艇、沈みゆく艦艇もあり、生き残った艦艇も救援を行おうと、総員懸命に動いた。
この戦闘で亜連海軍第3艦隊は以下のような損害を被った。
沈没:空母1 巡洋艦1 駆逐艦1
損害(航行可能):巡洋艦1 駆逐艦2
対して、海上自衛隊第1水上戦隊は以下のような損害を出した。
沈没:護衛艦2 航行不能:護衛艦1
損害(航行可能):航空機搭載型護衛艦1 護衛艦1
亜連海軍第3艦隊は全速力で相模灘を脱出し、海上自衛隊第1水上戦隊も追尾しようとしたが、予想以上に損害も大きかったため、救助に全力を挙げた。
亜連海軍第3艦隊も予想以上の損害を与えたことに驚いたが、同時に仲間を救助しないまま、逃亡したことに対し、悔恨の念に駆られていた。
相模灘海戦はこうして終結した。




