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第21話 相模灘海戦 前編


 5時10分


 亜細亜太平洋島嶼連邦共和国海軍第3艦隊所属の13隻と揚陸艦2隻は相模灘を南下していた。


 海上自衛隊は相模灘侵入後から亜連海軍第三艦隊の動きを確認し、今、反撃に転じようとしていた。


 ここまで侵入された屈辱に、特殊戦による攻撃を受けた東京と、核攻撃を受けた静岡県浜松のかたきを討つべしという気持ちから、上官らが注意せねばならぬほど、自衛官らの士気は危険域まで向上していた。




 海上自衛隊第1水上戦群から対艦ミサイルが一斉に発射され、直後、西の方角へと向かった。


 同時に亜連海軍第3艦隊は全力でECMをかける。第1水上戦隊から放たれた対艦ミサイルの一部が目標からそれていく。


 状況を見て、すかさず、亜連海軍第3艦隊から対空ミサイルが発射され、迎撃に向かう。


 相模湾東方でミサイルがぶつかり合う。


 明るくなりかけていた空が、ミサイルがぶつかり合う瞬間瞬間で昼の様に輝きだす。


 その途中で、ステルスと低空飛行を使って、第101航空群のF35C40機が、熱海の沖合に到達。


 対艦ミサイルを発射する。


 亜連海軍第3艦隊、残った対空ミサイルを発射する。


 第101航空群から対艦ミサイルの一部の迎撃に成功する。伊豆半島の沖合でいくつも爆発が起きる。


 しかし、横須賀からミサイル数発と、熱海沖から発射されたミサイル十数発が亜連海軍第3艦隊の艦艇に向かって行く―――




 亜連海軍第3艦隊は2方向からやってくる対艦ミサイル群に対抗し駆ければならなかった。


 しかし、対空ミサイルはあっという間に撃ち尽くした。


 各巡洋艦、駆逐艦は主砲、迎撃用の自動発射型30ミリ機関砲の方角を変え、迎撃に備える。


 2方向から十数発のミサイル。


 巡洋艦、駆逐艦は射撃を開始する。


 一部のミサイルは撃破される。


 しかし、それをすり抜けて生き残った対艦ミサイルが飛翔する。




 最初に被害を受けたのは『ツホリボ』級駆逐艦『キョーサン』だった。


 まず『キョーサン』艦橋に1発のミサイルが当たった。ミサイルは大爆発を起こし、全艦の通信システムに影響を及ぼした。


 その直後、2発のミサイルが艦首と艦尾にそれぞれ当たっていく。


 艦体は3つに割れ、あっという間に海中に没した。





 大型巡洋艦『ワガシナ』の艦橋右舷ウィングで、『キョーサン』撃沈を見ていたコ・テダン二等兵は言葉も出なかった。

 彼の任務は他の航海科員とともに双眼鏡で周囲を警戒することだった。


『総員衝撃に備えー!』


 全艦放送。それは唐突だった、

 ウィングの航海科員たちは身を屈め、なるべくどこかにしがみつく。


 凄まじい衝撃、


 警報音が鳴り響く。


『総員被害報告!』


「総員被害報告せよ!!」


 艦橋にいた航海長が叫んだ、


 各員、状況を報告する。


 全員無事か、ウィングの士官がきく。


 大丈夫です、とそれぞれ返答をする、


 全員立ち上がる。ウィングの士官が全員無事を報告する。


 その時、コ二等兵は艦尾から煙が上がっているのを確認した。


 その時艦内放送が聞こえた、


『艦尾航空機格納庫に被弾、浸水』


 その時、爆発音が聞こえた、


『ガコネ』級巡洋艦『カイゲン』に2発のミサイルが着弾。爆発し、甲板上部が炎上していく。


 コ二等兵は任務続行を命じられ、そのようにした。


『カイゲン』の艦隊にもう2発のミサイルがあたり、艦体が砕かれたようにいくつもに割れ、あっという間に沈んでおくのをコ二等兵は目撃した。


 コ二等兵はその直後、空母『ハオツマ』に突入するミサイルも見逃さなかった。



 まず『ハオツマ』に被害が及んだのは飛行甲板だった。


 一発の対艦ミサイルが艦載機のいる飛行甲板に突入していく。


 爆発。


 艦載機が巻き込まれ、飛行甲板に穴が開き、航空機用エレベーターが機能停止になる。


『ハオツマ』ではダメージコントロールが行われる。消火班が出動し、鎮火作業に当たる。


 負傷者への救護活動が実施される。倒れた兵士たちに、救護班が担架で負傷者たちを送っていく。


 そこに2発のミサイルが飛び込んでくる。1発は艦橋に、もう1発は被害のあった甲板をぶち破って格納庫内で爆発していく。


 ここで応急措置していた乗員たちも一気に吹き飛ばされ、艦内にあったCDCも損害を受けた。


 さらに2発のミサイルが突入。艦首と、三度飛行甲板内で爆発する。


 艦首は変形し、飛行甲板で起きた爆発は、貯蔵してあった爆弾やミサイルにも引火し、大爆発を引き起こす。


『ハオツマ』は炎上しながら、制御不能に陥った。




『ワカシナ』艦長、フ・ルム大佐は艦隊の損害を見て慄然とした。


 そして自分がどういう立場になったかもわかった。艦隊司令官と連絡が取れない。ということは、自分が指揮官だ。


『艦長、敵艦隊が東方より接近中』


 フ大佐は考えた。空母はやられた。他の艦船もやられている。


 敵艦隊は我が艦隊に迫ってきている。


 フ大佐は、艦隊全艦に通信をつなげ、インカムを口に近づけた。


「第3艦隊残存全艦艇へ、こちらは『ワカシナ』艦長、フ・ルム大佐である。艦隊司令官以下、艦隊司令部と音信が取れない。よって、私が艦隊の指揮を執る。全艦艇水上戦闘準備、対艦ミサイルを発射。直後、全速力で南下する。以上」


 



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