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第17話 ブタイカラオリロ


 4時50分。


 関東全域に暗号が放たれた。


『ア・カル・グエートン(ブタイカラオリロ、舞台から降りろ)』


 これを受診した関東全域に展開していた亜連部隊は反応した。





「なにっ、『ブタイカラオリロ』?」


 通信兵から通信の内容をきいた首相官邸攻撃部隊指揮官、ミン・エイカ大尉は舌打ちをした。


 部隊は地上1階を占拠し、警備隊と交戦しながら地上階を捜索したが、ついに総理は見つけられず、工作隊は地下に入る工作を行ったが、現在に至るも分厚い装甲に覆われた地下に突入することが敵わない。


 彼は一回地団駄を踏んだのち、全将兵に命じた。


「総員、撤収!」





『ブタイカラオリロ』


 これは関東全機に展開している亜連部隊に対し、撤収を命じるものだった。


 各部隊は羽田空港から輸送機で撤収するか、皇居前広場に着陸する陸軍ヘリで撤収する。

 その際、車両は爆破処分する。


 その陸軍ヘリはどこからやって来るのか―――




 相模灘には13隻の亜連海軍第3艦隊と揚陸艦2隻がいた。

 

 横須賀にいる海上自衛隊第1水上戦群が太平洋にいる隙をつき、海上自衛隊の警戒網をかいくぐって、関東の沖合まできたのである。


 揚陸艦2隻から大型ヘリ数十機が飛び、すでに神奈川県南部に到達していた。




「提督、東京湾にいた敵機は全機落としました」


 亜細亜太平洋島嶼連邦共和国海軍第3艦隊司令官、カン・デーラン中将が空母『ハオツマ』CDCにいて、部屋中央の司令官用座席から情報参謀の報告を聞いた。


「よろしい。今、東京の上空には敵はおらんわけだな」


「はっ、しかし上空からみた艦載機によると、羽田にいた輸送機は全滅したそうです」と情報参謀。


「うむ。予備部隊を羽田と都心に出して、救出させよう……あとは日本軍空挺部隊のヘリボーン作戦と陸路による進撃阻止か」


 カン中将は戸惑った。


 報告によると、敵空挺部隊はすでに人口密集地上空を飛行中であり、陸路で進出中の部隊も人口密集地の道路を走っているようだ。


 軍総司令官、イー元帥は敵への攻撃を優先せよと命令を下しており、さもなくばそれ相応の処罰を下す、なお、処罰は貴官の家族にも影響す、と内密に言われていた。


 カン中将はしばし考えたのち、命じた、


「敵地上部隊の攻撃、および飛行中のヘリボーン部隊への攻撃を命じる」


 カン中将は命令を下したのち、自責の念に駆られた。




 4時50分

 

 第1普通科連隊は都心に入るべく、国道254号線を南下していた、、


 先頭を走るパジェロ、その運転席にいた三等陸曹がふと空に何かを見た。


「中隊長、上空に機影らしきもの4つ。空自でしょうか?」


 中隊長も空を見て、目を細めた。物体は急接近してくる。


「違うぞ、敵機だ。警報-――!」


 しかし遅かった。AaF11M戦闘機が上昇と同時に爆弾数発を投下した。


 数発の爆弾は周囲の建物を破壊しながら、車列を吹き飛ばしていった。




 同時刻。


 AaF11戦闘機4機が千葉県上空を飛んでいた。


「こちらムレイ05、編隊各機きけ。現在敵首都西方からヘリボーンを叩く。なお、それによる地上被害は考慮するな。同胞を助ける任務だ。存分にやれ」


 各パイロットから編隊から了解の返答。


 ファイ中尉は任務に心頭を全力傾け、倫理観や自分の感情を一時的に殺した。


 4機は編隊長に続き、降下を開始。飛行中の、陸自のヘリ部隊を襲おうとした。




 第1空挺団を乗せた第1ヘリコプター団のうちの1機、1機のUH47JAが爆発する。


 爆発の振動が、僚機に響く。


 第1空挺団副団長の山下満一等陸佐は編隊の先頭を飛ぶUH47JAの窓から後方を見た。

 

 さらに後方のV22が速力を落とし、地上に落下する。


『山下一佐、上空に敵戦闘機!』


 山下一佐のヘットセットに、パイロットの声が響く。


 やはり空を見ると、敵の戦闘機が通過していくのが見える。


『山下一佐』


 このヘリコプター隊を指揮するパイロットが無線機で呼びかけた。


『回避行動をとりながら、このまま目的地まで行きます!』


 山下一佐は無線で答えた。


「よろしくお願いします!」


 




 AaF11戦闘機が水平で横から進入し、ミサイル発射。


 しかし、チャフをばらまき、速力を上げジグザグで飛行していく。


 ミサイルは回避される。


 また高度を上げ、フレアもまき始めた。


 フレアの火炎が、地上に与える影響を考慮してのことだろう。


 4機のAaF11戦闘機が機関銃を打ち始めた。


 CH47JA2機が墜落していく。


 すでにヘリコプター群は都心上空に達し、警視庁上空を駆けていく。


「降下よーい!!」


 山下一佐が無線機で各員に伝えた。


 ヘリが皇居前広場に下りようとする。


 しかし、戦闘機の妨害で3機しか降りられない。


 この間にも1機のV22が撃墜され、堀に墜落する。


『山下一佐!』


 ヘリ群指揮官が無線で言った。


『自分の指示で各所に、降りられる場所に下ろします! いいですね!?』


「了解!」


 ヘリコプターは各自、皇居の各所、国会議事堂などに降下していく。


 その間にもヘリは落ちていく。なかには落ちたヘリから脱出していく隊員たちもいた。


 赤坂御用地に向かっていたヘリ3機は着陸現場付近に着陸し、ただちに展開した。


 



 山下一佐はヘットセットで各員に言った。


「こちらタカツ01。各員へ、各指揮官は被害報告。また、全隊員に告ぐ。降下後は指揮官の指示に従い、任務を遂行せよ」



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