第13話 東京の戦い その2
皇居、首相官邸の初期対応でも確認できるように、警視庁は武装集団が出現したという通報直後から、機動隊を出動させていた。
警視庁は、武装集団は明らかに警察力を上回る戦力であることを認識していたが、自衛隊も含め、他に機動隊より早く即応する戦力がない.と判断した。
一方、亜連の東京強襲部隊は分散し、行動していた、
彼らの目標は天皇皇后両陛下以外の皇族、さらに総理以外の国務大臣、国会議員だった。
港区元赤坂二丁目に広がる赤坂御用地に、将兵たちが強襲する。装甲車で御用地に突入し、装甲車の重機関銃で警視庁機動隊や皇宮警察官をなぎ倒した。
兵士たちは降車し、御用地にある各皇族邸に突入していく。
そのなかでも待機していた機動隊や皇宮警察の攻撃を受けながら、捜索を開始していく。
ここも皇族各邸の詳細な構造を得られなかったため、皇居と同じく手探りで捜索するよりなかった。
一方、国務大臣私邸を狙って襲撃もしていた。
渋谷区にある緒方副総理邸に、10名ほどの兵士たちが突入していく。
土足で突入し、家族や家政婦たちを押しのけ、私邸の各部屋をあけて確認しながらしっかりとした足取りで回っていく。
そして寝室らしきものを見ると、そこのドアをあけた。
スーツをきて、首相官邸に向かおうとしていた緒方はハッと息を呑んだ。
「お前が緒方大臣か?」
片言の日本語で尋ねた亜連陸軍中尉と数名の兵士たちをみて、緒方は自分の運命を察した。
「そうだ」
「撃て!」
中尉の後ろにいた兵士一名のAM10c小銃と、中尉の自身もメングAH03オートマチックピストルを叩きこんで緒方副総理兼外務大臣を射殺した。
彼らは家政婦や家族の悲鳴をバックに、特殊部隊専用の移動車両に分乗して、次の目標に残った。
緒方副総理をはじめ、飯村外務大臣、佐藤農林水産大臣、江村国土交通大臣がいずれも私邸にいたところを襲撃され、死亡した。
さらに議員宿舎にも部隊が押し寄せた。
衆議院の赤坂宿舎、参議院の新清水谷宿舎、麹町宿舎にそれぞれ機動隊が集結し、攻防戦を敷いていた。
「撃て!」
衆議院の赤坂宿舎では装甲車群から重機関銃や対戦車ロケットで、玄関前で機動隊員やバリケード代わりの装甲車、輸送車で吹き飛ばしていく。
亜連陸軍兵士たちは前進し、残っていた機動隊員たちをSR97サブマシンガンでなぎ倒して、玄関に突入していく。
しかし、この間に警官たちが議員たちを秘密脱出路で外に逃がしていた。
玄関で守備に当たっていた機動隊員たちの目論見は成功していた。
そして、新宿区市ヶ谷の防衛省には敵一個中隊が突入していた。
警備部隊が各遮蔽物を使い、20式小銃を構え、敵に発砲し、侵入を拒んでいた。
「隊長、保管庫から持ってきました」
指揮官の三等陸佐のもとへ、カールグスタフをもった三等陸曹が言った。
「おい、使えるのか?」
隊長は目を丸くして驚いた。防衛省庁舎内に保管されているときいていたが、風の噂程度だった。
「はい。それに防衛出動も下令されました。法的にもクリアです」
「よし。やってくれ」
はっ、そういうと遮蔽物の陰に隠れて、一台の敵MST12装輪装甲車に照準を合わせ、引き金を引いた。
後方から発射炎から出て、弾が前方から放たれる。
弾は敵装甲車に命中。大破する。
「カールグズタフはいくつかあるか?」
「はっ、保管庫から数名が持ち出しています」
隊長は口角を思わず上げた。
なんとも頼りになるじゃないか。
「よし、敵に攻勢をかけるぞ」
隊長は別の隊員に声をかけた。
「各自、攻撃を積極的に実施せよ、と各隊員に伝えよ」
隊員ははっ、と頷いた。




