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第9話 硫黄島の戦い



 硫黄島には、陸上自衛隊第12旅団第13普通科連隊を主力とした諸兵連合部隊、第13戦闘団が派遣された。

 第13普通科連隊が派遣された理由としては、山岳地に駐屯し、日本で唯一山岳レンジャーを育成している点が、島でのゲリラ戦に適していると考えたからだ。


 第13普通科連隊連隊長にして、第13戦闘団団長の天野一佐は不思議な感慨を抱いた。

 硫黄島と言えば、太平洋戦争における硫黄島の戦いが有名だったが、この戦いの日本側指揮官の栗林中将は長野県出身、この連隊の駐屯する県もまた長野であったからだ。

 天野は群馬の水上出身だったが、山の人間として、またかつて陸幕でゲリラ戦を研究していた身としてこの戦いを勝ってみせると誓った。

 彼は短時間ながらかつての硫黄島の戦いを研究し、硫黄島にやってきた。

 なお、硫黄島の多くの土地は防衛省管轄の土地であり、彼らは演習という名目でやってきた。


 陣地構築には同じ松本駐屯地の第306施設隊を主に陣地構築を実施した。

 他部隊も動員しながら、島は80年以上経って徐々にであるが、再び要塞化されつつあった。


 そして、戦いのときがやってきた。




 上陸するのは亜細亜太平洋島嶼連邦共和国海軍第1海兵師団だ。


 第1揚陸艦隊によって輸送させられた第1海兵師団は島の海岸に上陸した。


「敵はまず水際で攻撃はしてこないだろう」


 第1海兵師団師団長、リェン・ミン中将はそう考えていた。


 それと同時に島のより内部に潜んでおり、物資も上陸させた途端、攻撃してくるだろうと考えた。

 

 彼もまたかつての硫黄島の戦いを研究したのだ。


 太平洋戦争末期の硫黄島の戦いでは、上陸したばかりの米軍に散発的な抵抗を行った後、日本軍守備隊は、安心し、海岸に物資を集積させている米軍を島の深部から一気に強襲した。

 米軍は抵抗したものの、海岸も火山灰で掘りにくく、塹壕も掘れない環境のなかでまともに攻撃を受け、一時上陸部隊が全滅した経過がある。


 亜連海軍は島内陸部を主に砲爆撃し、島内陸部まで一気に進んで第13戦闘団の主力を壊滅させる手法を取ることにした。






 亜連水上艦隊は島の海岸よりも内陸部を砲撃し、海軍航空隊の空爆も内陸部の方が激しかった。


 揚陸艦隊では第1海兵師団が上陸用舟艇やホバークラフトに乗って、上陸準備に備えている。


 砲爆撃が終わると、揚陸艦隊が島に迫って、やがて上陸用舟艇などが接岸し、上陸する。


 そして兵士たちが上陸していく。


 そのとき、突然砲撃や銃撃が海岸にいたあれ海兵師団兵士たちを襲った。


 自衛隊員たちは沿岸部の陣地から攻撃を続行していく。



「しまった」


 リェン中将は揚陸艦内部に設置された師団司令部で報告をきいて思わずうめいた。


 被害は甚大。しかも対艦ミサイルや榴弾砲も設置されているらしく、沿岸に上陸した兵士たちは甚大な被害を受け、艦艇にも被害が出ている。


「上陸作戦は中止。兵は撤収せよ」




 硫黄島の摺鉢山地下に構築された第13戦闘団司令部で、天野一佐は報告を受け、喜びというよりはほっとしていた。


 敵も硫黄島の戦いを学習してくるはずだ。それならば、我々は逆手にとって、旧軍では採用しなかった水際防衛を取ることにより、敵の裏をかこうと思ったのだ。



 天野の作戦は成功し、亜連は上陸に失敗し、こう着状態に陥った。


 亜連軍は島から兵士は撤収し、島は海軍が包囲し、断続的に砲爆撃は加えているが、上陸作戦は行わないまま、時間が過ぎていくことになった。



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