36話 命の取捨
私は今戦闘不能で地べたに座っているヴァンパイアを見下ろしていた。このヴァンパイアの命は私が握っているのだ。
(私に生かすか殺すかの判断を……どうしてこんな事になるんだ!!)
「どういたしますの?」
「殺すにしてもこっちにメリットは無い、だけどこのまま生かせば一般人に被害が出るかもしれない……どうしたものか」
私たちが戦闘不能になっているヴァンパイアを生かすか殺すかと悩んでいるとヘリコプターの音が聞こえ始めた。
「ヘリコプターの音、何か近づいてない?」
「ドゥーロ、気にしすぎだと思うけどな」
シリウスは何やらソワソワしていて落ち着きが無かった。
(シリウスから落ち着きが無くなった、どうしてだ?)
その時シリウスが透明ナイフを取り出した。
「奴らだ、奴らが来る!」
「奴ら?」
シリウスがそう言ったとき、天井のガラスが割れ、誰かが突入してきた。
「サン、これは一体どういうことだ!?」
「分からない、だけど私たちの敵が突入してきてるかもしれないね」
「これは政府軍がこの場所を突入してきてる、タイミングが悪いぞ」
シリウスが言うに政府軍がたまたまこの場所に突入してきたらしい。にしても運がいいのか悪いのか……
「仕方ない、迎撃するよ!」
「やるしかないよな」
私たちは戦闘態勢に入ったがシリウスは少々疲れが来ていた。
(そうか、シリウスは連戦だから疲れが少し溜まっているのか)
「シリウス、あなたは後ろで休憩してて」
「分かった、だけど危ないときは私が行く」
水銀のバリアをメルクールにつけてもらった、そして私が血の武器を作ろうとしたが水銀のバリアに触れた途端に手が痺れ始めた。
(水銀バリアと私の能力は同時発動できないのか!?だとしたら私は役に立たないかもな)
「ドゥーロ、多分それは自身の血液が足りないからですわよ」
「そうか?水銀中毒だと思うんだが」
「いいえ、明らかに血色がわるくなってますし私が食べようと思わないからですの」
どうやら水銀中毒になっていないようで血液が不足しているようだった。
「貧血だからなんだ……私は動ける……!」
私は向かってくる敵に向かって血の剣を作って斬りつけた。相手の攻撃は水銀バリアで防いでくれるので一方通行の攻撃なのだ。
「斬った!」
「ぐおぉ……」
私が斬った相手はどんどんと体が再生していき、私を狙ってきた。
「こいつら……まさかヴァンパイアなのか!?」
(体が再生した、つまり心臓を壊さないといけないのか!)
「桜!奴らの動きを一瞬でもいいから止めてくれ!」
「分かったよ」
桜が地面から鎖を出してくれると私はその鎖を持って敵の周りを走った。
「これで倒れろ!!」
「ぐっ」
私は政府軍ヴァンパイアを鎖で倒し、心臓めがけて血のナイフを突き刺した。だが政府軍ヴァンパイアは防刃ベストを着こんでいるようで血のナイフが弾かれた。
「硬いなこの野郎!!!」
「お前たちには分からないだろうな、これがヴァンパイアが装備を着た恐ろしさよ!!!」
その時激しく動いたからだろうか、私の胸元からロザリオが飛び出してきた。すると政府軍ヴァンパイアが一瞬だが怯んだ。
(今だ!)
「うおりゃぁああ!!!」
私は政府軍ヴァンパイアの脳天に血のナイフを突き刺した。するとヴァンパイアは泡を吹いて気絶したのだった。
(ヴァンパイアは脳天を損傷すれば数分間は動けないはずだ、その間に防刃ベストを脱がせて心臓を穿つ!)
私は防刃ベストを脱がせ、政府軍ヴァンパイアの心臓に血のナイフを突き刺した。他のみんなを見てみるとフランベルジュで防刃ベストごと心臓を貫いていたり水銀中毒で心臓を破壊していたのだった。
(凄いな……私は人間だから人間臭い事しかできないな)
私の周りはとても強く、私の弱さが際立っていたのだった。そして戦闘不能だったヴァンパイアが続々と起き上がると政府軍ヴァンパイアを退治していった。そして攻めてきた政府軍ヴァンパイアが居なくなると私たちはため息をついた。
「とりあえずは攻撃をしのいだね」
「ああ、ヘリコプターもどこかに行ったし逃げたのだろう」
私たちはさっきまで戦闘不能だったヴァンパイアを見た。
「あなたたち、一般人を襲って食べたりしないでね」
「もしかしてこいつらを生かしてくれるのか?」
「ああ、だけど一般人を食べた時には容赦はしないから」
私はしっかりヴァンパイアたちに釘を刺し、私たちはその場を後にしたのだった。
「生かしておいて大丈夫なの?」
「大丈夫だろうと判断した、あとあいつらはただ政府軍と一般人の見分けが今までつかなかっただろう、だけどこれからはその心配はなさそうだ」
「あなたがそう言うなら従うけどさ……」
「ですが最後の念押し、あれは完璧でしたわね」
「しかしこれで確定したね、政府軍はヴァンパイアを量産していることを」
「そうだな……」
こうして政府がヴァンパイアを軍事利用をしようとしていることが判明し、私たちはこの情報をどうにかして広めたいと考えていったのだった。
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