35話 質量の暴力
サンが持ってきた茶封筒はなんだか落書きが書かれていた。
「この落書き何なの?」
「子供が書いたのかなって思わせるほどに可愛らしいな。そして中身は何だ?」
中身を取り出すとヴァンパイアの退治をお願いする文書だった。
「どうやらまた超常現象対策課の人が投函したんだな。まったく、堂々と名前を書けよな」
「そうですわね」
「メルクールはそう言わないの。それで依頼場所は何処なの?」
「この近くに逃げだしたヴァンパイアが集まってできた集団だ、どうやら人間を無差別に捕まえて食べているというね」
「つまり被害が増えてきたから私たちに依頼をしてきたって事ね」
「そうだな、気張っていくよ~」
こうして私たちは依頼場所まで来るまで向かうのだった。その間に私はメルクールに水銀を操る姿を見せてと言った。
「ねぇ、ここで水銀を操ってよ」
「良いですわよ」
メルクールの手から水銀が湧き出てくるとサンがそれを止めた。
「今は水銀を生み出さないで!」
「どうしてですの?」
「車はアルミのパーツを使ってる、水銀はアルミを腐食させるんだ。だから今ここで水銀を出さないで!」
「わかったですの……」
「ごめん、私が囃し立てたから」
「私がその知識を知ってたから良かったけどさ、知らなかったら今頃車はお釈迦だったよ」
サンはほっと溜息をついた。そして依頼場所に来ると私たちは戦闘態勢をとった。
「さてと、ここが依頼場所。明らかに血の臭いがするね~」
「私からしてみても血の匂いがする、人間の私が匂えるほどになってるから数十人はここで血を吸われてるんだね」
私は近くに落ちていた石に手をぶつけて血を出した。
「これでよし」
「私の水銀と似た能力ですわね」
「血を自由に操るんだ、メルクールと相性がいいのかもね。くしゅん」
私は何故かくしゃみが出てきた。
「ドゥーロ風邪をこじらせたのか?」
「いや、熱は出てなかったはずだ……どうしてだ?」
「それ私が原因ですわ」
くしゃみが出た理由はメルクールが何かをしたらしい。
「私の近くにずっといるとくしゃみをしてしまうのですわ」
「なるほど……くしゅん」
私たちはくしゃみを出しながら建物に入っていった。すると明らかに血の匂いが濃くなっていった。
(凄い血の匂いだ、どれだけ人を吸ってるんだ?)
「凄いですわね……」
「ああ、いつ敵が来てもいいように警戒しよう」
「その点に関しては問題ないですわよ」
その時私たちの周りが少しだけ銀色のスモークが入った。
「水銀の盾ですわよ。これで多少の攻撃は耐えれますわよ」
「ありがとうメルクール、後は私たちが水銀中毒にならないかが問題だね」
「そうですわね、耐えてくださいまし」
水銀中毒になるかならないかのラインで私たちは探索を進めていった、だがどこにもヴァンパイアの影もなかった。
「ちょっとヴァンパイア居なさすぎるんだけど」
「そうだな、ちょっと先を見てくる」
シリウスが走って先を偵察しに行った。するとその瞬間に大きな音が鳴り響いた。
「シリウス!?」
「あちゃ~こりゃシリウス迎え撃たれちゃったかな」
「私がついてながらこんな……」
「いやヴァンパイアは簡単に死なないから」
私たちでシリウスの安否を心配しながら奥に進んだ。だが私たちが想像していた事よりひどくなっていたのだった。
「私は影が薄い!だからここで影の薄さを際立たせる!!」
シリウスは中に居たヴァンパイアの半数を単独で戦闘不能にしていたのだった。
「うっそぉん」
「さすが私の水銀バリア、攻撃をあまり通さない!おーっほっほー」
「メルクールのバリア、とんでもないな」
シリウスは透明ナイフで敵の頭を割っていった。どうやらヴァンパイアは頭を割られれば数分は身動きが取れないようだ。
「残りは私が、はぁっ!!!水銀の砦!」
メルクールは水銀を一気に出すと残りのヴァンパイアを取り囲み始めた。
「質量過多で潰れてしまってですわ」
水銀が音を立てながら捕らえたヴァンパイアを圧縮し始めたが死なない程度に加減をしていたらしく、体の形が無くならない程度で技を止めた。
「さて、最後の審判はこの方にお願いいたしますわ」
メルクールは私を指さしたのだった。
(最後の判断を私にゆだねるなんて困るなぁ~)
こうして戦闘不能になったヴァンパイアの命は私に握られたのだった。そしてこの後どのような裁きを下すのかまだ誰もわからなかったのだった。
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