22話 アイアンメイデンの鎖
午後の営業終わり、店の片づけをしていると店の前に黒塗りの高級車が一台、止まったのだった。
「サン、あれって一体何なの?」
「さぁ、地上げ屋なら叩き潰すけどね」
黒塗りの高級車から出てきた人物、それは朝に来てくれたシスターだった。
「もう来たのか……ちょっと話してくる」
サンはもう少し待ってほしいとシスターに言いに行った。その間に私とシリウスは後片付けをしていったのだ。
「シリウス、あのシスターの服ってなんだかいい匂いしない?」
「確かに近づいた時にフローラルな匂いがしますね。もしかして香水を吹きかけてるんですかね?」
「さぁ、後で暇になったときに聴こうかな」
そしてサンが帰ってくると最後の後片付けをしていった。その前にサンはポストも確認してきたのだが中には何も入っていなかったという。
「急いで支度をするぞ!!」
私たちは急いで各々の武器を持って店の前に出た。
「全員揃ったね。それじゃこの車に乗って」
「これって高級車ですよね……」
「威厳を示さないといけないのよ。その代わりと言って何だけど快適だよ」
こうして私たちは高級車に乗り込み、シスターの依頼場所に向かい始めた。
(確かに軽トラと比べて揺れが小さい。声に出したらサンと喧嘩しちゃうかな)
「凄い静かに動くね~」
「確かに、軽トラと大違いだ。買い換えようかな」
サンも軽トラと高級車のギャップを感じているようで買い換えようかなと言っていた。
「ここだよ、降りようか」
私たちは目的地に着いたので車から降りた、するとそこは森の奥地だった。
「ここって森の奥地だよね?どうしてここに連れてきたの?」
「ここは政府軍のヴァンパイア細胞抽出場所、ここには始祖のヴァンパイアの魂や細胞が植え付けられた始祖ヴァンパイアが居る。私やシリウス、サンもこの始祖ヴァンパイアにお世話になったかもしれない」
「始祖ヴァンパイア……知らないな」
「そりゃ政府の機密情報だから一般市民やヴァンパイアは知らないんだ。それで今の時間帯は警備が一番薄い。攻めるなら今の時間だ」
そう言ってシスターはイメージがぶっ壊れそうな銃火器を持った。
「シスターのイメージがどんと崩れたよ」
「シスターもこんな武器を持たないと奴らには勝てないのよ。いくよ!」
シスターは草むらから飛び出して敷地の中に入っていった。
「サン、今さら感があるんだけどシスターのイメージ、どう思ってた?」
「慈悲深いイメージだったけど……今は殺戮を楽しむシスターって」
私たちも遅れながら敷地の中に入っていき、シスターの後を追って行った。するとシスターは敷地の中にいる政府軍を鉛玉で蜂の巣にしていった。
「ヒャッハー!!!」
「……怖」
「ドゥーロ、私もだ」
私とサンはシスターの暴走の横でびっくりしていた。奥に居たのは恐らくシスターの言っていた始祖ヴァンパイアだろう少女が桜の木の下でペタンと座っていた。
(そう言えばこの地域一帯は温かかったな。もしかして桜を咲かせるためにそうしてるのか?)
「あそこに少女がいるな。もしかして言っていた始祖ヴァンパイアか?」
「そうだ。少し黙って」
シスターは周りの物音を聞いたが全く音が聞こえなかった。
「もう警備の奴はいない。始祖ヴァンパイアの鎖を解くぞ」
私たちは静かに歩いて桜の木の元に来た。
「警備の兵士からこの鍵を盗った。おそらくこれがこの子にかけられてる鍵だろう」
よく見ると始祖ヴァンパイアの体には鎖がきつく縛り付けられていた。
「よし、解くぞ」
シスターが鍵を解き、鎖が地面に落ちると始祖ヴァンパイアの目がゆっくりと開き始め、綺麗な桜色の目が見えた。
(凄い綺麗だ……まるで桜が人間になったような感じだな……)
「ねぇ、あなたを助けに来たよ」
始祖ヴァンパイアはゆっくり手を見るとにっこりと笑い、急に私たちは飛ばされた。
「うわっ!?」
「やっぱりか!!戦闘準備!!ドゥーロを物陰に!!」
シスターがそう言うとサンとドゥーロが私を物陰に連れて行った。
「サンとシリウス!?」
「ドゥーロは人間だからな、遠くから見てて」
「怪我したら駄目だぞ!」
そしてサンとドゥーロは始祖ヴァンパイアと戦いに行ったが私も一応戦えるんだという意思表示をし始めた。
(何か体を傷つけるに最適なものは無いか!?)
私は連れ込まれた部屋で血を出す道具を見つけようとしたが全くと言っていいほどに無かった。
(仕方ないか、最終手段で歯で手を噛むしかないか!)
私は手を噛み、血を無理やり出した。
(少し痛いけどこれで能力を使える!)
その時部屋の出入り口から鎖が伸びてくると私の腕をからめとった。
「何!?」
そのまま鎖で私は線状に引きずられたのだった。
「ドゥーロ!?」
「鎖で引きずられた!いったんそっちに行く!」
私はサンの近くにあったパイプに向かって血を飛ばし、一瞬でサンの近くに転がっていった。
「緊急回避だぞぉ!!!」
「血の匂い……それに珍しい匂い……食べたい」
そう始祖ヴァンパイアが言うと後ろからどんどんと何かが現れた。それはまるでアイアンメイデンに六つの手が生えた姿だった。
「お前たちはいらない」
「危ない!」
私は横から鞭のようにしなってる鎖を血の盾で防いだ。だが鎖の内の一本は血の盾を貫いて私の足に突き刺さった。
「うっ!!!」
足に鎖が刺さったと同時に私は始祖ヴァンパイアが生み出したアイアンメイデンに向かって引きずられだした。
「やばいやばい!!何かに引っかかれ!」
私はとっさの判断で血を縄のように固めると地面に突き刺したのだった。
「いてててて!!!!誰か鎖を断ち切って!!」
「ドゥーロ!私のフランベルジュを!」
サンはフランベルジュを私に向かって投げ、私は片方の手でキャッチした。
「ありだとうサン!」
私はもらったフランベルジュで鎖を断ち切った。どうやらこの鎖は柔らかく、肉のような感じらしい。するとシスターがゴツイ銃火器をセットしていた。
「時間稼ぎありがとう!これで決める!」
シスターは対戦車ライフルを設置し終え、それを始祖ヴァンパイアの脳天にぶち込んだ。当然対戦車ライフルを頭に食らった始祖ヴァンパイアは頭を吹き飛ばされ、動きが止まり、後ろにいたアイアンメイデンが消えていった。
(少し頭が痛い……貧血か)
「これで終わりだね。怪我を見せて」
「シスターさん、私は何とか自己回復できるんで大丈夫です。それよりも血を流しすぎたんで輸血お願いします」
私は度重なる血の使用で貧血気味になっていた。するとシスターはどこかに電話をし始めた
「教会に電話をかけたら今すぐ医療班がここに駆け付ける、耐えてくれ」
「分かった、足の傷は自己治療で治しておく。それよりもあの始祖ヴァンパイアは死んだんですか?」
「いや、ヴァンパイアの弱点の心臓を破壊されてないから大丈夫だ。頭が再生したら何とか話せるだろう」
「とりあえずは良かったのかな?」
「ああ、お疲れ様」
こうして私たちは始祖ヴァンパイアの無力化に成功し、私はその場にへたり込んだのだった。
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