114話 和解
千尋さんたちが部屋から出ていくと私は体を起こそうとした、だが全身骨折しているが故に力が完全に入らなかった。
「こりゃ数か月ここに寝たきりか……」
(幸い血が固まるということは無いだろう。だが寝て食べてだと太っちゃうなぁ~やだやだ)
私は太ることを危惧していると隣から声が聞こえてきた。
「私の好きな人、だいじょうぶなのか?」
「天子だよね、その声」
「ああ……私も見事に全身の骨が粉々だ」
「やりすぎちゃった?」
「いや、あれほどじゃなければお互い倒れなかった。だけどあれほど私を止めようとしていたのか」
「そうだね……さすがにここまで怪我が酷くなるのは想定外だけどね……」
「ああ、ミイラ人間だぞこりゃ……」
私と天子は顔を合わさずに会話をしていた。すると天子はこんな事を言いだした。
「それで戦いはどっちの勝ちなんだ?」
「私の勝ち、だってあなたが先に気絶したからね」
「そうか、分かった。人類は滅ぼさないでおく」
だが私はこの結果に不服だった。天子のパワーなら私を一瞬で葬れたはずなのにと思った。
「天子、実は手加減してたでしょ」
「分かっていたのか?」
「ああ、天子の力だと私を一瞬で葬れたからね」
天子は笑うと羽を天井に突き刺した。
「手加減してたって、冗談で言ってるの?」
「いや、私は天子の事を過大評価したり過小評価していないつもりだ。だが天子は明らかに隙だらけの私を攻撃せずに防戦一方だった。何かを考えていたと思ってるんだ」
「そうだな……唯一考えていたことは目の前の事だったな」
(つまり私の事を考えていた……ということになるな。どうしてだ?)
「どうして私の事を考えていたんだ?」
「傷つけてしまったら嫌われてしまうだろう?だから傷つけずにどう気絶させようか考えていた。だが先に気絶させられたな」
天子はそう言うと翼同士をこすり合わせていた。
「つまり私と戦う気はなかったって事だよね?」
「そうなっちゃうな」
私はその言葉を聞いた瞬間、笑いが止まらなかった。
「そうかそうか」
「どうして笑ってるんだ?」
「いやだってさ、人類を皆殺しにすると言ってる奴が私が好きだからっていう理由で止められるなんて、面白いなって」
「何だよそれ……」
「また人類を皆殺しにしたくなればまた私に言ってくれたらお互い全身骨折になろうぜ」
「次はそうならないからな」
私は天子と会話をして時間を潰していった。だがあまりにも動けなさすぎるためか私の体が鈍ってきていることが少しだけ分かってきているのだった。
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