エピローグ&次作予告
数か月後、全身の骨折がほとんど治った私と天子はやっとこの国の首都から出る事が出来るのだった。
「ここに数か月居たけどもう冷食は嫌だ」
「だな……後で上にご馳走をねだらないと割に合わないでござるな」
「ごめんね、私の都合で帰るタイミングが遅れて」
「いやいいんだ。何日居たって私たちには冷凍食品があったから」
そう言う千尋さんはもはや冷凍食品が嫌いな食べ物になっていそうな感じだった。
「それじゃ帰ろうか……さすがに肩こりもすごいしなんやかんやで疲れた」
「やっと帰れる~」
(私の都合で帰るのが遅れたけど……どうしてこんなに寛大なのだろう)
私と天子は最後に電車に乗り込むと扉が閉まった。
「マスターは私たちの事心配しているだろうな」
「サン、マスターが心配しているのはそうなんだけど……何だよそのお土産の量!?手提げ袋10個って!?」
「これぐらいじゃないとマスターが納得しないだろうなって」
「マスター……?」
天子は私にマスターとは誰かと聞いてきた。
「私が働いている喫茶店の店長だよ……って喫茶店どうするの?」
「マスターが必死に働いてるでしょ、知らないけど」
(何だかマスターに対して辺りが強くなってるのは気のせいだろうか?)
こうして私たちは無事に帰ることになり、サンはどこかに電話をかけ始めた。
「マスター?私だ私」
私はおもむろにサンの近くに行くと聞き耳を立てて何を話しているのか盗み聞きした。
「生きていたのかサン」
「ええ、勝手に殺さないでください。それで現地で仲間にした人が居るのでまた人が増えます」
「またか……まぁいいけどな。それでテレビでサンの活躍を見ていたがよくやったな」
「ええ、とりあえず政府の黒かった部分を民衆に見せることが出来ました。人間には戻れないですけどヴァンパイアはヴァンパイアで生きて行けると思ってます」
「そうか、気を付けて帰ってこい!何か催し事を帰って来てからしてやる!」
「分かりました、桜に伝えておきます」
サンが電話を切ると今の会話聞いていただろうという目で私を見つめてきた。
「今の聞いてた?」
「催し事だよね?」
「ああ、疲れているだろう?ご愁傷様」
サンは私の肩を軽く叩き、桜にもこの事を伝えた。
「もぉ~私の骨はまだ完治してないからね?」
その時天子は窓の外からとある広告を凝視していた。
「天子、何を見てるの?」
「仮想現実……そこって人殺しって大丈夫なの?」
「あーあのアプリ?なんだか神経がアプリと同期して触覚や嗅覚、視覚とか痛覚とかを感じるんだけど……どうしてそんな物騒な事を言うの?」
「仮想現実だと人殺しできるのかなって」
「普通は出来ないと思う、だけど特定のマップでPVPは出来るって聞いた気がする……私も全く情報が無いからね」
「やってみようかな」
天子はそう言うと私のスマホを奪ってきてアプリを調べていった。
「へぇ、ヘッドセットで数十万……アプリは無料なのに」
「格安のヘッドセット打ってるけど絶対粗悪品だよね」
「人間って欲にどん欲すぎるな」
私と天子は仮想現実アプリの話題になっていると千尋さんが声をかけてきた。
「このアプリ知っているな。なんなら同僚がそのアプリにはまってるな」
「本当か?」
その時千尋さんはわざとらしくこう言った。
「あっ、そういえばフローズンがヘッドセットを頼んだけど誤発注でヘッドセットが4台届いたって言ってたなー」
「それもらえたりしませんか!?」
「あなたも貪欲なのね」
「フローズンに掛け合ってみないとな」
千尋さんは電話を持ちフローズンさんという人にかけ始めた。
「いいってさ、だけど今いる場所でアプリを起動したらいろいろと凄いらしいって言ってた」
「なら行ってみていい?」
「天子、帰ったら催し事があるの、だから後で行きます」
「そうだ、催し事があるんだった!後で行く、だから操作方法を教えてって伝えてて!」
「はいはい」
こうして私たちは平和になったことで気が抜け、仮想現実を体験してみることにするのだった。そして仮想現実を体験して数日後、まさかとあることに巻き込まれるなんて今の私や天子は想像もしていなかったのだった。
第六部 真っ赤なドレスと純白のフランベルジュ 完……?
時は3日前に遡り、本州のY県B市。暗い部屋に一人の少女がVRのヘッドセットをつけて眠っていた。その少女はヘッドセットを外し、体を伸ばした。
「ん……んぁ~」
少女は太陽の光を頼りに冷蔵庫から昨日の残りものをレンジに投げ込んだ。するとキッチンの端にあった受話器が鳴り響いた。
「……もしもし、夜見円です……何かありました……?」
この電話は夜見円にとって人生の転換点になり、そしてこれから起こる事の心の支えになるのだった。
第七部 仮想現実のエゴイズムゲームで私は生き残る
To be continued……
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