110話 搦め手、そして力の差
私たちは和風な空間を進んでいき、敵が居ないか探していた。
「しかしひと昔前の内装だなぁ」
「ああ、昔の人たちは頭をぶん回して防衛設備を作っていたと聞いたことはある。ここにもない保証はないからゆっくり進もうか」
「だね……どこから敵が飛び出してくるか分からないからね」
私たちは警戒を強めていった、だが私たちの予想外から攻撃が飛んできた。
「痛っ、何か踏んづけたかも」
「ドゥーロ、足から血が出てるぞ」
「本当だ……これまきびしだね」
サンは私の足からまきびしを抜き取り、とりあえずの応急処置を行った。
「危ないかも」
「天子、翼で包んでくれてるの?」
「うん」
その時、天子の翼が大きい動きをすると敵を弾き飛ばしていた。
「敵か、私に任せて桜とドゥーロは後ろ……いや天子に守ってもらってて」
「分かった、守るよ」
「私はサンが危ないときにドームを展開する、だから安心して戦って」
「ああ、そっちも気をつけろ」
サンはフランベルジュを両手に握り、敵と向き合った。
「日本刀……なまくらじゃないよなそれ」
「なまくらだと体が鈍る、無駄話は無駄だな」
敵はそう言ってサンに向かってスタートを切った。
「日本語の意味が支離滅裂だぞ、勉強しなおせ」
サンは敵の刀に合わせ、片手のフランベルジュで刀を抑えた。刀とフランベルジュの間には火花が散っていて力は拮抗しているようだ。
「おおっ!」
「片方で受けきれるんだとしたら、弱いなお前!」
だが敵の懐から導火線に火が付いた黒い玉が出てきた。
「ってここで爆破したらまずいだろ!?」
「一旦仕切り直しだ」
サンは一気にバックステップを踏んだが爆発に巻き込まれた。
「ぐおぉ、さすがに至近距離では避けれないか……天子来てるぞ!」
敵は最初から天子を狙っており、爆発物を使ってサンとの距離を取らせたのだった。
「無意味だよ。だって私は最強だから」
「最強なら戦って証明してみろ」
奴は六角を手にしていて天子に投げていた。それを天子はじっと見ていた。
「ドゥーロと桜、後ろに逃げて」
「分かった、桜行くぞ!」
天子が翼を広げ、そして羽を撃ちだしていった。その羽は六角に当たり、そして落としたのだった。
「早く来て、最強を証明してくれるんでしょ?」
「ならこれはどうだ?」
敵は灰色の球に火をつけようとした、だがそれよりも先に天子が飛んで敵のすぐそばに居た。
「私に狙われた敵の行動は無に帰すんだ」
「もうここに!?」
「ってあれ!?」
サンは片方のフランベルジュが無くなっており、代わりに天子の手元にはフランベルジュが握られていた。
「これでしまい」
「ふごっ」
天子は敵のどてっぱらにフランベルジュを突き刺しており、そのまま飛んで地面に叩きつけたのだった。
「ガァァ!!」
その時の天子の表情はまるで反撃をする瞬間を奪い、恨みを晴らすような顔だった。
「ドゥーロ、桜、こいつ死んだよ」
「お……おう」
「早すぎて見えなかった……」
天子はサンにフランベルジュを返した。
「勝手に奪ってごめん、だけどとどめには必要だった」
「奪われたという感覚は無かった、いったいどれほどまでに速いんだ……?」
「多分人間では認識できない速さ……」
その時私の目には天子が一人の少女だが明らかに何者かの意識が混在している事に気が付いた。
(もしかして天子はサンや桜と同じく造られた人間……?だとしたらどんな遺伝子を組み込まれてるんだ?)
「ドゥーロ、何を考えてるの?」
「ねぇ天子、あなた本当に人間なの?」
私はふとこの言葉を言った。
「何を言ってるの?」
「見ていて思ったんだ、明らかに天子とは違う何者かの意識が混ざってると私には思えたんだ」
私がそう言うと天子は胸に手を当てた。
「確かに私とは違う意識が混ざってるのは分かってる。それは遠く、だけど近くで見ているんだ」
「あなた、一体どんな遺伝子を組み込まれてるの?」
「分からない、でも私の意識とは違う意識の遺伝子だとは思うんだ」
天子は翼をゆっくりと動かしていた。
「この翼も違う意識の物だと思うんだ」
「そうなのね」
「だから、私が私じゃなくなった時、私の心臓を貫いて」
天子は私に近寄ると手を掴み、天子の心臓のある場所に手を置いた。そこからは微かに心臓の鼓動を感じられた。
「いい?ここが私の心臓」
「……そうならない事を祈るよ」
「それなら覚えなくてもいいか」
そう天子が言うと別の意識もそう感じ取ったのか天子は微笑んだ。その表情には裏表が無く、天子の意識も別の意識もこの会話を聞いているという表れだった。
「重苦しい話はここまで、ここからは敵を倒していくことにしようか」
「だね、好きな人が傍に居たら何でもできそう」
「そうだな。そう言えば天子、このフランベルジュをあげる。武器なしだと心もとないだろう」
「さっき奪い取ったフランベルジュ……ありがとうサン」
「私はこの愛用しているフランベルジュだけで十分なんだ。それは予備だから使ってもいいよ」
こうして私たちは敵を天子の独り舞台で勝利し、前に進んでいったのだった。そしてここから天子と協力して敵を倒していくのだった。
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