それぞれの思惑 -ケイ Side-
エレンの街から少し離れたところに俺の家はある。
湖の畔に佇む我が家には、朝ならば、
ちょうどいい湿度が保たれた心地良い風が吹くのだが、
夜は静寂に包まれ、どこか冷たさを感じる闇だけが辺りを支配する。
その闇に一際、光を放つのは俺の家の灯りだ。
暖炉の炎は不規則に揺らめいていた。
ずっと見ていても飽きさせないように、
誰かが仕込んだかの如く、その炎は燃え盛る。
「・・・ふう、やはり家は落ち着くな。」
やっぱり、簡単な仕事だけじゃ、収入が少ないか・・・。
とは言ったものの、面倒な仕事は請け負いたくないものだ。
今のグダグダ~って感じでずっとやって行きたいところだけど、
最近の収入が減少しつつあるから何とも言えない。
剣の腕もなまり気味だし、
とりあえずは明日からマトモな依頼を受けるか。
「どうした?珍しく真面目な顔をしとるな。」
考え込んでいたせいで、アルベールが近づいてきた事に
全く気が付いていなかった。
「ふふ、ちょっと、な。」
不覚にも真面目な顔をしていた自分に対しての笑いを抑えながら答えた。
「何だ、その笑みは。」
「いや、平和だなーって思ってさ。」
俺は適当な事を言って、誤魔化した。
「平和か。今のところはな。」
とりあえず、この話題は重くなりそうだ。他の話にしよう。
「それよりさ。どうだ?最近の調子は?」
「特に問題はない。この体にも馴染んできたところだ。」
「それは良かった。」
「・・・・・・・・。」
「あれから、数年は経ったな。」
何故、昔の話の流れになってしまったのか・・・。
昔の話はあまり気乗りしない。数十年前の事はあまり思い出したくない。
もう、忘れたくてしょうが無い事だ。
「もう、寝ようぜ。」
「ああ、私はもう少し調べ物をしてからにする。」
アルベールは、そう言うと書斎の方へ歩いて行った。
「・・・・・・・・・。」
俺は寝室に移動しながら、現状の解決策を考えた。
大型モンスターの討伐。入手困難なアイテムの採取。
そんな事を考えながら、俺は眠りについた。




