それぞれの思惑 -ヒロ Side-
事務所を後にした俺は、真っ先に酒場に寄った。
酒場「海の風」ここはエレンの街、唯一の酒場だ。
少し呑んだ後に潮風に当たるのが、とても気分がいい。
それはさておき、今日はいろいろあって大変だったな。
「・・・ふう。」
俺は安堵のため息を吐きながら辺りを見渡した。
最近、賭博に凝ってボロ負け中の近所の青年と、
エルフ族の男?珍しいな、ハンターか?
「・・・・・・・・・・・。」
何人かしか入らない小ぢんまりとした酒場だが、
逆にこれくらい小さい方が良い。大きな酒場だと落ち着かないからな。
「マスター。最近、何か話題になってることあるかい?」
定番だが、暇なので聞いてみることにした。
「そうですね・・・。」
「最近はこの近くの神殿で幽霊を目撃したという声が、
多数寄せられていますね。」
幽霊ねえ、悪いが俺には縁のない話だな。
「へえ、洗礼の神殿とかいう、あの廃墟の神殿で?」
「ええ、神殿の内部には財宝が隠されているとか。
そういう噂が流れてましてね。」
「おかげで、うちの常連さんが減っちまったよ。」
マスターは少し寂しそうに笑いながらそう言った。
「何にせよ。噂ですので、鵜呑みにしないで下さいね?
これ以上、常連が減っては困りますのでね。」
「ああ、分かったよ。」
ありがとな。マスター。心でそう呟く。
「・・・・・・・・・・・・・。」
さてと、そろそろ帰るか・・・。
俺はお代を払うと、外に出た。
魔物・・・か・・・。
戦い。非日常。何かワクワクするが、
反面、恐ろしくもある。
夜の街を歩きながら俺はそう思った・・・。




