魔物
早足で歩くアルベールからは怒りを感じた。
さっきの事で怒ってるようだけど、アルベールはそれくらいで
絶縁するくらいの器ではないことは知っているので別にいい。
問題はヒロを魔物との戦いに巻き込んでしまったこと・・・。
ある程度は危険もあると思ってたけど、まさか最初に狙われるなんてね。
まあ、いろいろ考えても仕方ないか。
「アルベール?怒ってるの?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「ねえねえ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
強力な魔力が近くにいることは分かっている。
だからこそ、ヒロの恐怖心を煽ってはいけない。
俺はそう思いながら、明るく振る舞った。
「ヒロ。やっぱりアルベール怒ってるみたいだね。」
「あんなにおちょくれば誰だって怒るだろ・・・。」
呆れ気味な顔でヒロはそう言った。
どうやら、強力な魔力には気付いてなさそうだ。
「・・・・・・・・・。」
黙々と歩き続けると、水の音が聞こえてきた。
話に聞いていた通り、洞窟の奥には湧き水の泉があるようだ。
「・・・!?」
残念な事に、そこには先客がいた。
「あらら・・・。」
強力な魔力を放っていた主といったところだろう。
さっき、ヒロを襲った野生の狼と2匹と
その中心に見るからに異様な魔力を放つ狼がいた。
できれば戦いたくはないが、獣相手じゃ無理だろうな。
「どうする?」
困ったような表情でヒロは聞いてきた。
「話は通じないんだ。やるしかないよ。」
「無論だ。」
「・・・・・・・・・・・。」
「準備はいいか?」
「いいぜ。」
まず、最初の2匹はヒロと俺で、ボスはアルベールに任せた。
俺は携えていた双剣を抜いた。ヒロも構える。
俺は考えるよりも先に剣を振った。
少々危なっかしいが、回転斬りをかました。
続いて狼の脳天に強力な縦斬りを放つ。
(回転十字!)
脳内で勝手に技名を口走り。敵を倒したことを確認した。
そして、ヒロの加勢へ向かう。
攻撃の機会を覗っている両者の元へ駆けつけた。
(狼へ奇襲攻撃!)
俺の一撃が直撃した。
「今だ!ヒロ!」
俺が叫んだと同時にヒロは止めを刺しに走った!
「うおおおおおおおお!」
狼の脳天にヒロの槍が当たった!
「よし!」
後はアルベールのところに・・・。
しかし、アルベールは既に奴を仕留めていた。
「何とかなったな。」
さて、本来の目的である湧き水を採取しないとな。
「・・・・・・・・・・・・。」
泉の水は驚くほど澄んでいて綺麗だった。
この泉は魔力以外でも、惹かれるものがあるのかもな。
「ヒロ。頼む。」
「オーケイ。」
ヒロは持ってきた瓶に水を汲んだ。
「よいしょっと。」
「よし、水を汲んだぜ。」
「なら、さっさと帰るぞ。ここはもう無用だ。」
アルベールはぶっきらぼうにそう言うとさっさと行ってしまった。
「あらあら。じゃあ、帰りますか。」
「そうだな。」
俺達は出口へと歩き出した。




