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でびるハンター  作者: 片山翔
第五章 与える者と与えられる者
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資料館

私と次郎は砂漠の村の資料館に行くことになった。

次郎は村人達に資料館の場所を聞き回っている。全くもって面倒だ。

やはりケイに付いて行くべきだったか・・・。

いや、別行動を取りたいという事は一人で会いたい人物でも居るのだろう。

私が付いていった所で情報を十分に引き出せない可能性が生まれてしまうだけだ。

「アルベール君。資料館の場所が分かったぞ。」

やっとか・・・。私はとりあえず、次郎の方を見た。

「それがだね。この村の地下に在るらしいんだ。」

「地下だと?」

「ああ。村の外れにある井戸。そこが資料館の場所だ。」

次郎はその場所の方向を指さしながら言った。

「ならば早く行くぞ。」

「分かった分かった。焦らなくても資料館は逃げないぞ。」

こいつ・・・。私を馬鹿にしているのか!?もう怒りではなく呆れという感情が脳内を支配した。全く、時間の無駄だ。場所が分かったのなら、さっさと案内すれば良いのだ。次郎は村の外れへと歩いて行った。私もその後を追った。


「・・・・・・・・・・・・。」


村の外れ、そこには古ぼけた井戸が佇んでいた。本当に使われていないようだ。

地下など人間にしてはよく考えたものだ。


「井戸の中に資料館ねえ・・・。なかなか凝ってるな。」

「先に行くぞ。」


私は井戸の中へと飛び降りた。地下は外よりも涼しく、とても居心地が良い。多分、この地下水のせいだろう。私の目の前には地下水が貯水されていた。

「俺が見つけたんだぞ~!先を越すなんてズルいじゃないか~!

 アルベール君!」

井戸に付いているハシゴを降りながら次郎は喚く。それにしても、本当にケイと同じ臭いがする。この男の行動の意図が逐一読み取れない。

「おお!ここは涼しいな!なあ!アルベール君!」

「・・・・・・・・・・・。」

「更に地下へ行けるみたいだな!ということはこの奥が資料館だな!」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「どうしたんだ?アルベール君?」

「いい加減にしろ・・・。」

「ん?」

「いい加減にしろと言っているのが聞こえんのか?」

「・・・・・・・・・・。」

「貴様の無駄口に付き合っていれるほど私は暇ではない。これ以上私に関わるな。」

「・・・・・・・・・・。」

やっと静かになったか。全く面倒な人間だ。

私は地下へ続く階段へ足を運ぼうとしたが、次郎が私の前に立ちはだかった。

「待ってくれ。」

まだ何かあるのか?減らず口を封じたと思ったが、

やはり叩きのめさなければ分からん様だな・・・。

「・・・何だ?」

私はいつでもこいつを吹き飛ばせるように拳を固めた。

「俺と君は仲間だ。仲間なら無駄な話はするし、無駄な所が人間だ。

 君は人間の姿をしているが人間じゃないって事くらい俺も知ってる。」


驚いた・・・。私が人間じゃない事を知っている?こいつはどこでそれを知ったのだ?

私はそれを知るためにこいつに問いた。


「・・・・・答えろ。どこでそれを知った?」

「君と初めて会った時からさ。」

「何だと?」

「君の中に隠されている魔力を俺は感じ取っていた。」

「・・・・・・・・・・・・・・。」

「君が何故、人間の姿をしているかは知らない。だが、人間の姿を借りるという事は、

 人間を監視、あるいは何かを調べているといったところかな?」


こいつ、何か知っているな?ハンターギルドの人間か?それともどこかの国の密偵か?


「貴様は何者だ?誰に頼まれた?」


その問いに次郎は驚くべき事を口にしだした。


「俺は誰かに頼まれて行動している訳じゃない。それに、俺はこの世界の人間ではない。」


「この世界の人間ではないだと?何を言っている?」

訳の分からない事を言う奴だ。他の世界から来たとでも言うのか?

こいつが次元を超越する魔法でも使えるとでも言うのか?考え難いものだ。

問いに対して、次郎は黙ったままだった。私は沈黙を断った。

「・・・答えろ!」

私は次郎を睨みつけた。固められた拳は次郎へと向けられた。

「俺から語れるのはここまでだ。」

「それに今は、ケイが酒場に行っている間に資料館で調べ物を済ませるんだろ?

 アルベール君も調べ物があるならそれを先にすべきだろ?」

「貴様ッ!どうあっても話さない気だな・・・。」

私は拳を下げた。次郎はこれ以上は何があっても語る気はないだろう。

私の魔力で圧を加えたにも関わらず、この男は怯えもせず平然としている。

「仕方ない。この話の続きは後でたっぷりと聞かせてもらうとしよう。」

「そうしてもらえると助かるよ。アルベール君。」

後で自分がどうなるかも知らずに次郎は笑顔で受け答えをした。

「それと・・・その呼び方をやめろ。」

「ん?ああ。ちゃん付けの方が良かったのか。」

私は次郎を睨みつけ、拳を固め直した。

「冗談だ・・・。アルベール。これでいいだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

こいつと話をするとふざけた時のケイと相手しているのと同じくらい疲れる。人間にとってはこういう戯事が一種の息抜きにもなるのだろうが、私にとっては苛つきの種にしかならん。


拳を再度下し、次郎より先に階段を下りた。

その先には赤絨毯が敷かれた豪華な資料館が姿を現した。

「こりゃあ、すごいな。話によると国営の資料館らしいぞ。」

次郎は後ろで感嘆の言葉を呟いていた。

私はそれを無視して早速、本を漁った。目的は勿論、「魔の遺産」に関しての資料。それ以外は必要ない。魔界百科、魔石一覧本、悪魔の祓い方。


「・・・・・・・・・・・・・・。」


どれも役に立たんな。まあ、「魔の遺産」に関しての資料など、

そう簡単に見つかるはずが無いか。それに国営の資料館にそんな奇っ怪な書物が有るという発想自体が根底として間違っていたか。ついでに、この大陸の歴史に関しては全くのデタラメだな。

偽りの歴史など読み漁った所で、何の意味もない。やはり、あの事件は隠ぺいされたか。この地の者は間違った歴史を記憶しているのだろう。その歴史が間違っている事なども知らずにノウノウと暮らしているに違いないな。さて、そろそろケイの所へ行くか。


結局、無駄足だったか・・・。

私は本を全て戻し、資料館を出ようとした・・・。


「おや?アルベールく・・・アルベール。探しものは終わったのかい?」

「次郎か。何だ?」

「俺も探しものが終わったからね。一緒に行こう。」

「そうか。勝手にしろ。」


奴が何を調べていたかも気になったが、それも後で全て聞き出すとしよう。

私と次郎は資料館を出た。井戸の外ではもう既に陽が傾き始めていた。


「ケイは酒場に行っているらしいな。まずは酒場に行こうか。

アルベール。」


言われずとも分かっている。私は記憶力が無い人間と一緒にされてもらっては困る。私は黙ったまま、酒場へと歩き出した・・・。

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