砂漠の地
熱気が肌に触れる。元居た大陸では感じる事の無かった
日差し以外の焼き付けるような暑さ・・・。洞窟内は熱気がこもっており、
体中から汗がふき出る。まるで夏の暑さの様な耐え難い暑さだった。
これが嫌だったんだ。基本的に汗をかくことが嫌いだった俺はすぐに上着を脱いだ。例え全裸になっても暑さは俺を苦しめるだろう。そして、砂漠地帯特有の夜の寒さ。どっちかにしろよ!と叫びたくなるほどの寒暖差。
「・・・やはり、暑いな。」
俺は率直な感想を述べた。暑いというから暑くなるんだ!という何の根拠も無い事を言う奴がたまにいるが、あまりにも暑い場所で寒い!と言ったからといって、本当に寒くなるわけでもないだろう。全ては心の持ちようだ。
つまり、一人が「暑い。」と言えば、その「暑い」という現実を聴覚的に脳へと送り込まれ、「どれくらい暑いのか?」を体が再確認してしまい、余計に暑く感じる。そんな感じだろう。それともただ単に声のトーンで暑苦しくなるような言い方をしてしまって周りのコンディションを悪化させる。マイナスの号令とでも言おうか・・・。
「ほんと・・・暑すぎるよ・・・。」
ヒロもそう思っていた様だ。ていうか誰でも思う事か。
「で?これからどうするんだ?」
次郎が訊いてきた。これからか・・・。
「そうだな・・・。とりあえず情報を集めないとな。」
まずは・・・そうだなあ。酒場にでも行ってくるか。
「俺は酒場に行ってくるから、他の奴は自由に行動してて良いぞ。」
「それは構わないが、何で一人?」
ここの知り合いに会うためと答えたいところだが、俺はその事を隠したくてしょうがなかった。
あらゆる過去に関係することを知られたくないという気持ちが強くなった。
「まあ、あれだ。よそ者が大勢で押しかけるのも怪しいだろ?」
我ながら素晴らしい対応だ。
「ここの人間はよそ者が嫌いなのか?」
ヒロ・・・。こういう時にだけは納得してくれないのかよ。
俺は少し間を空けてしまった。とりあえず何か言わないと怪しまれる!
「いや、そうじゃないんだけども・・・。」
「・・・?」
クソ!怪しまれてる!何とかしないと!
何か良い誤魔化しの台詞を思いつけ!
その時、次郎がヒロの肩を叩いた。
「ヒロ。まあ良いじゃないか。丁度、俺もこの村で調べることがあるん
でな。別行動させてもらった方が都合が良い。」
俺としても都合が良かった。ナイスだ次郎。
「たしかこの村には資料館があったはずだ。俺はそこに行くんだ。」
「ケイは酒場で情報を仕入れている間に俺はそっちに行く。
それでどうだ?」
「異議はない。」
アルベールは頷きながらそう言った。
「じゃあ!そういう事でよろしく!」
俺は直ぐにその場を立ち去った。
洞窟を出ると、太陽の光がギンギンと降り注いでいた。
そして、熱気に巻かれた空気を肺に含むと焼けつくような感覚になった。息苦しい。暑さに慣れてない俺は熱と光を跳ね返す魔法を使おうとしたが、村の中で使うには危険すぎると思った。俺に向けられている熱と光を全て跳ね返す場合、近くにいる人間には少なくとも俺が感じているこの暑さを倍くらいに感じさせてしまうだろう。そう言う訳で、人が周りにいる環境ではむやみに反射魔法を使うのは恐ろしい事だ。
さて、まずは酒場に行くとするか・・・。俺は酒場の近くまで来た。
この砂漠の村・ショーンは小さな村だからそんなに歩かなくて済む。
俺が酒場の入り口に近付いたその時、「冒険家の道具屋」という看板が目に止まった。その店は酒場と繋がっているようだった。俺はもしかしてと思い、その店に入った。
「いらっしゃーい!」
元気な娘が店番をしていた。俺は一目見て誰だか分かった。
「相変わらず、元気そうだな。リューア。」
「・・・え?」
彼女は困惑して俺の顔をじっと見た。
「もしかして・・・?ケイ!?」
「久しぶりだな。冒険家用の道具屋か・・・。お前らしい店だな。」
「そう?まあ、そうかもね・・・。」
リューアはこの村に昔から住んでいる少女で、過去にあったある事件の時に
俺達は知り合った。俺はその時の事を思い出した。
「あの時の・・・。」
「久々に会ったんだから重い話はナシ!!今度ゆっくり話そうよ!」
俺が話そうとするのを彼女は止めた。俺も昔の話を掘り返すのはやめた方がいいと思った。
「そうだな。」
「それより、何でケイがここに?まさか!
また事件を解決しに来てくれたの!?」
彼女は嬉しそうにそう言う。
それよりも俺を驚かせたのは彼女が発した言葉だった。
「また事件?どういう事だ?」
「最近、この村に集まってきたハンターが消えてるらしいの。
詳しい話はよく分かんないけど、何かあの時と同じ感じが
するんだよねえ。」
「まさか!そんな訳ないだろ。」
「私もそうは思う。けど、人が消えてるのは確かだよ!村長さんも何も話し てくれないし、父さんも何も話してくれない。」
「成る程、詳しく調べる必要があるな。」
また・・・か。まさかな。俺は悪い事を思い出しそうになった。
「ケイ。気を付けてね。あんたまで居なくなったら悲しいから。」
「ふッ・・・。心配すんな。俺は死なないさ。」
「とりあえず、詳しい話は酒場の親父さんから聞いてくる。」
「うん。事件が解決したらまた寄ってね。」
「ああ。分かった。」
とりあえず、情報を集めなければな。話はそれからだ。
この事件がレイアだけでなく、ハンターを陰で操っている奴等とも関係してるかもしれない・・・。
俺は焦る気持ちを抑えながら酒場へと向かった・・・。




